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モノマネという意識を止めて、ビートたけしさんの魂の部分を演じましょう!『浅草キッド』劇団ひとりさん迎え舞台挨拶付き試写会開催!

2021年11月30日

若かりし頃のビートたけしさんが師匠の深見千三郎さんと過ごした日々が描かれる『浅草キッド』が12月9日(木)よりNetflixで全世界独占配信される。11月30日(火)には、大阪・福島のABCホールで監督・脚本を手掛けた劇団ひとりさんの舞台挨拶付き試写会が開催された。

 

Netflix映画『浅草キッド』は、ビートたけしさんが自身の師匠である芸人の深見千三郎さんと過ごした青春をつづった自伝「浅草キッド」を映画化。劇団ひとりさんが監督・脚本を手がけ、多くの人気芸人を育てながらも自身はテレビにほとんど出演しなかったことから「幻の浅草芸人」と呼ばれた師匠の深見さんや仲間たちとの日々と、芸人としてビートたけしさんが誕生するまでを描き出す。昭和40年代の浅草。大学を中退し、「お笑いの殿堂」と呼ばれるフランス座のエレベーターボーイをしていたタケシは、深見のコントにほれ込んで弟子入りを志願。ぶっきらぼうだが独自の世界を持つ深見から、“芸ごと”の真髄を叩き込まれていく。歌手を目指す踊り子・千春や深見の妻・麻里に見守られながら成長していくタケシだったが、テレビの普及とともにフランス座の客足は減り、経営は悪化していく。やがてタケシはフランス座の元先輩キヨシに誘われ、漫才コンビ「ツービート」を結成。深見の猛反対を押し切ってフランス座を飛び出し、人気を獲得していく。深見を大泉洋さん、タケシを柳楽優弥さんが演じる。

 

上映後、劇団ひとりさんが登壇。お客さんにスクリーンで観て頂くのは初めての機会となり、貴重な舞台挨拶となった。

 

大阪には2,3年に1回程度来る劇団ひとりさん。「大阪の番組にはハマんないみたいで。リピートがないんですよね。1回は呼んでもらえるんですけど。妻が大阪の人なんで相性は良いはずなんですが」と自虐的に話す。「大阪に来た時は551の豚まんは必ず食べるんですけど」と気に入っており、豚まんは4つと焼き餃子10個をお願いして、お腹いっぱいになり「3つぐらいでちょうど良かった」と短い時間を満喫している。

 

ビートたけしさんの自伝「浅草キッド」について、これまでにドラマ化は2回(天宮良さん主演の連ドラと、水道橋博士が主演したドラマ)あるが、映画化は今回が初めて。劇団ひとりさんは、7年前から脚本を準備しており「『どうにか映画化できませんか』と脚本を持って様々な映画配給会社をまわりまして、なかなか実現できずに。厳しいですね。最終的にNetflixさんに拾って頂いて」と苦労を重ねた。「ラストチャンスに近い感じで。Netflixに断られたら諦めようかな」と断腸の思いだったが「拾って頂いて。有難いですよね」と感謝している。スクリーンに上映しされた本作を観たお客さんを眺めながら「劇場でやりたかったな。浜村淳さんのラジオに出演して、『劇場でやるべきでしたね』と云われて」と悔しさを漏らす。

 

「浅草キッド」は、劇団ひとりさんが中学生の時に、近所の古本屋さんで手に取ったん本だった。「本なんか全然読まない少年だったんですが、本を読むのが格好いいな、大人っぽいな、と思って、古本屋さんにぷらっと入って。どれも難しそうな本の中で、背表紙にビートたけしと書いてあったので、読みやすそうだな、と思ったのが出会いというか」と懐かしみながら「読んでその世界に一気に惚れ込んじゃいました。その後はたけしさんの後を追うように芸能界に入ってたけしさんが昔所属していた太田プロダクションに入って、自分も小説を書いて、いよいよ映画を」と自身の活動に一区切りついて感慨深い。

 

柳楽優弥さんがタケシ役を演じており「柳楽優弥さんに特殊メイクをして頂いて、5,6時間かかったと思います。たけしさんに成りきってもらった。たけしさんの付き人でもある芸人の無法松さんが現場で見て、いやぁ、これは殿にしか見えないわ、と」と驚きの演技力を見せつけた。とはいえ、ビートたけしさんは広く世の中に知られている存在であり「選択肢として、まったく真似をやらないという方法もなくはないんですよね。再現VTRはそういう方法で寄せることはしません。まずは真っ向から寄せよう」と思い、まずはモノマネからじっくり演技指導を重ねていく。しかし、最初は苦労しており、松村邦洋にも来て頂いた。「台本を全部読みながらやってもらった。松村さんはモノマネの教え方が上手いんですよ」と説きながらも「『散歩している時は景色が見えるけど、車乗っていたら景色見えないでしょ。ものごとはゆっくりやるとちゃんと見れるから。モノマネもゆっくりやった方が覚えやすいんだよ』と超低速たけしをずっとやってて」と独特の指導風景を見ながら、悶えてしまう。「ホントにこれで上手くなるのかな」と心配したが「どんどんメキメキ良くなっていったんですよ」と喜んだ。だが「不思議なもので、モノマネが上手になっていくと、ただモノマネが上手になってしまって。これは果たしてお芝居する上で邪魔なんじゃないかな」と新たな課題が表出し「結局、クランクインの直前に『柳楽さん、頑張ってもらって申し訳ないんだけども、モノマネの要素を減らしましょう。声色を真似するのは止めましょう。モノマネという意識を止めて、たけしさんの魂の部分でやって、自然と出てくる所作に関しては無理して抑えることはないんですけども。無理してモノマネすることは一旦忘れましょう』と」と提案し、今回はバランスを整えた上でタケシを演じてもらことに。

 

師匠である深見千三郎さんは大泉洋さんが演じた。本作を撮るにあたって、ビートたけしさんから「話聞きたいだろうから良いよ」と云ってもらい、1対1での対面取材を設けて頂いている。「僕が根掘り葉掘り色々聞いて、脚本にも反映させてもらって」と感謝しながら「一番僕が聞きたかったのは、深見千三郎師匠の人柄。どういった人だったのか、人柄という部分をもっと聞かないと演出出来ないなぁ」と深く聞き込んでいった。「とにかく深見師匠は全部逆で、とにかく照れ屋さんで嬉しい時は怒るし、悲しい時はおちょけるし『そういう人だった。あの人は全部逆だったよ』ということを云われた。句読点の如く、”バカヤロー”、”コノヤロー”を云う人だったなぁ、と聞いた」と大泉さんにはそのまま伝えていく。そして、役作りを仕上げた大泉さんについて「しびれました、大泉さんの格好良さには現場でも」と絶賛しており、「浅草キッド」を読んで、頭の中で深見千三郎さんのことを思い浮かべ、自身で偶像化しているたが「頭の中でイメージしていた深見師匠よりも大泉さんの師匠の方が格好良かったですね。イキで不器用で、色っぽくてね」と気に入っている。なお、ビートたけしさんが深見師匠役をどのように観られるか気になっており「たけしさんは今でも必ず盆と正月は師匠の墓参りして掃除しているという話を聞くので。この『浅草キッド』の深見師匠をたけしさんからOKもらえたら、この映画はクリアかな」と反応を心待ちにしていた。

 

また、主演の二人について様々に労力をかけており、撮影に入る3,4ヶ月からタップダンスには時間を割いている。タップダンスの巨匠というべきHideboHさんに振付に入ってもらっており「2,30分踊ったらTシャツが絞れるぐらい汗が出るぐらいに連日やってもらって、撮影入ってからも、撮影所の脇にはダンスの先生が来ていて、練習しながらやって。見事でしたね。短期間であそこまでタップが上達するのは。役者さんって凄いな」と圧巻。練習への勤しみ方は2人で違っており「柳楽さんは練習していることを云わないですよね、陰でやるタイプ。大泉さんは練習していることを無茶苦茶アピールするんです。聞いていないのに、撮影がない日に現場に来て言いに来る。とにかく努力していることを人に褒められたい人なんですよ」と明かした。

 

最後に、劇団ひとりさんは「観終わった直後のお客さんを見れるのがもうないだろうなぁ。Netflixの特性上、皆がそれぞれ見るんで。前の映画はこっそり映画館に行って反応を伺っていたんだけど、今日は本当にうれしい気分だし、やっとこの映画が世に出て行くんだなぁ」と感慨深くなりながら「この映画で様々な人が携わってくれて、エンドロールを観ると、そういう人達に映画の感想を届けたいんですよね。感想を読んで作品に携わったことを嬉しく思っていたらいいなぁと考えているので。出来れば具体的にあると、そこに絡んでいたスタッフさんが喜ぶんでね」と感想をお願いしながら、舞台挨拶は締め括られた。

 

Netflix映画『浅草キッド』は、12月9日(木)よりNetflixで全世界独占配信。

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映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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