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『ドライブ・マイ・カー』共同脚本の大江崇允さんの監督作品特集上映!「大江崇允、映画の術(すべ)カンヌ2021受賞記念凱旋上映」京阪神の劇場で開催!

2021年11月9日

『ドライブ・マイ・カー』で濱口竜介監督との共同脚本を担い、第74回カンヌ国際映画祭の脚本賞に輝いた大江崇允さん。彼の監督作品をまとめた特集上映「大江崇允、映画の術(すべ)カンヌ2021受賞記念凱旋上映」が、11月13日(土)より、京阪神の劇場で順次開催される。

 

大江崇允さんは、1981年生まれで大阪府出身。近畿大学で演出家の大橋也寸氏からフランスの演技システムであるルコックシステムを学び、演出や俳優として舞台芸術に携わる。その後、映画制作を始め、監督・脚本として活動。初監督作『美しい術』(2009)でCINEDRIVE2010監督賞を受賞、2作目となる『適切な距離』(2011)は第7回CO2グランプリほか国内外で評価を受けた。短編『かくれんぼ』(2012)は第二回大阪アジアン映画祭インディフォーラム部門に出品された。濱口竜介監督との共同脚本『ドライブ・マイ・カー』で第74回カンヌ国際映画祭で日本映画として初めて脚本賞を受賞している。今回の特集上映では、『美しい術(すべ)』『適切な距離』『かくれんぼ』を上映。

 

映画『美しい術(すべ)』は、2009年にシネ・ヌーヴォで自主公開しリクエスト上映もされたデビュー作。いつも不倫をしている無職の雨宮と、仕事で叱られてばかりいる公務員の太田。ある日、雨宮は太田の同僚である森谷と出会う。森谷が気になる雨宮だったが、森谷は太田が気になっていた。

 

映画『適切な距離』は、コミュニケーションがとれなくなった親子が“嘘の日記”を使ってコミュニケーションをとる姿を通して、嘘の中に埋もれている現実世界で生きる上での真理を巧みに描き出す。複雑な構成の作品だが、三浦大輔さんの撮影も高く評価され他の作品を圧倒し、第7回CO2では審査員全員が一致して大賞を受賞。また男優賞に主演の内村遥も輝いた。その後、東京・大阪で自主上映されたが正式な公開は今回が初となる。

 

特別上映となる『かくれんぼ』は、ワークショップ生と共に話し合って作るという大江作品としてはかなり異例の製作体制となった作品。山本一家はどこかおかしい。親戚が久々に遊びにきても、市役所職員が訪ねてきても。奇妙な家族の滑稽な一日の記録。第二回大阪アジアン映画祭インディフォーラム部門出品。

 

 

集上映「大江崇允、映画の術(すべ)カンヌ2021受賞記念凱旋上映」は、11月13日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催。また、神戸・元町の元町映画館と京都・出町柳の出町座でも順次開催。

 

『適切な距離』

同じ家に住んでいても会話が一切ない母親と息子がお互いに嘘の日記を盗み見る。母親は亡き双子の弟に理想の息子像を投影し、息子は離婚した夫と仲良く会話していく。お互いに当て擦りにしか思えない日記だが、そこに想いや願いが隠れている。今作は、母と息子が適切な距離を掴むまでの物語だ。

 

そもそも人と気持ちを通じ合う行為は難しい。家族のようなとても身近な人なら尚更だ。どこまで自分を開示し、自分を隠すのか。当たり前のようにやっているつもりだけど思い悩む事は多々ある。特に息子は自分を表現するのが苦手そうだし、鬱屈したルサンチマンを抱えていた。一方で母親も息子に対して気持ちを上手に伝えられず、長年かけて生まれた溝は簡単には埋まらない。しかし、嘘の日記という架空の物語がお互いの気持ちを雄弁に語ってくれることでようやく歩み寄れるようになっていく。棚の上にあるお餅を取ってほしい、という些細なことから根底にある思いやりまで、直接語り合うことは出来ないが物語としてなら伝えられる。物語論としてもコミュニケーションの難しさを描いた映画としても見事な語り口だ。

 

『かくれんぼ』

何かがおかしい。アメリカ帰りのイケイケな2人組YouTuberのテンションも、彼らが訪れる親友の家族の挙動も、何もかも不穏で不気味だ。何か良くないことが起こりそうな漠然とした不安がずっとつきまとう。漠然とした不安が隠れていることで映画の推進力が増していく。なんとも不思議な映画だ。そして、目を引くのが37分間長回しで1日の移り変わりを描く手法。例えば、長回し風で撮られた『1917 命をかけた伝令』では途中で暗転して昼から夜のシークエンスに移行するが、今作では、しっかりとすた長回しを昼から夜、そして朝という1日の時間の流れを表現する。固定されたロケーションかつ中編という規模感だからこそ為せる技。この長回しと独特な雰囲気は一見の価値ありだ。

fromマリオン

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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