1960年代のフランス、5月革命の勃発によって家政学校から自由に生きる権利を求める姿を描く『5月の花嫁学校』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C) 2020 – LES FILMS DU KIOSQUE – FRANCE 3 CINEMA – ORANGE STUDIO – UMEDIA
夫の急死に伴い、旧態依然とした花嫁学校を改革していく女性たちをコミカルに描く『5月の花嫁学校』が6月4日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『5月の花嫁学校』は、“完璧な主婦”を育成するための花嫁学校を舞台にしたコメディ。1967年。フランスのアルザス地方にある花嫁学校、ヴァン・デル・ベック家政学校には今年も18人の少女たちが入学してきた。経営者である夫の突然の死をきっかけに、校長のポーレットは学校が破産寸前であることを知る。ポートレットが、なんとか窮地から抜け出そうと奔走する中、パリで5月革命が勃発する。抗議運動がフランス全土に広がってゆくのを目の当たりにしたポーレットや生徒たちは、これまでの自分たちの考えに疑問を抱き始め、ある行動に出ることを決意する。
本作では、フランスを代表するオスカー女優ジュリエット・ビノシュ主演、『ルージュの手紙』のマルタン・プロボが監督を担う。ビノシュがポーレット役を演じるほか、『セラフィーヌの庭』のヨランド・モロー、『カミーユ、恋はふたたび』のノエミ・ルボフスキーらが顔をそろえる。
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映画『5月の花嫁学校』は、関西では、6月4日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、6月25日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田と神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
2020年代を迎えた現在からみれば、”花嫁学校”と云われる家政学校なるものがかつてはあったのか、と驚いてしまう。家庭の中で妻と呼ばれる人間はこうあるべき、だと教えられるなんて…!幼少時の女の子が”将来の夢はお嫁さん”と云っていたのを実現するための学校なのかと思ってしまう。だが、実際は、フランスにおける地方社会を生きていくには、家政学校に入らざるを得ない状況があったと気づかされる。
本作が映し出すのは、1967年のフランス。翌年には五月危機が大きく社会に影響を与える頃なので、少しずつ地方にも立ち上がろうとしている若者が出てきた頃だ。旧態依然とした父権的な権力の在り方自体が問われるようになった。家政学校に通うことは父権的な権力を肯定することにつながる。家政学校に入学してくる学生の数が減少傾向にあり、学校経営も窮地に追い込まれていることも自ずと理解できた。されど、どうにか学校経営を維持しながら良妻賢母を育てることに励むか、新しい時代に向かって彼女達も立ち上がって革命に賛同するか。古き時代を映し出しながら、多様性の意味を現代に伝えていく一作に仕上がっている。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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