精神障害者の隔離制度「私宅監置」に迫るドキュメンタリー『夜明け前のうた ~消された沖縄の障害者~』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)2020 原 義和
精神障がい者を隔離する国家制度、“私宅監置”の実態に迫ったドキュメンタリー『夜明け前のうた ~消された沖縄の障害者~』が4月9日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『夜明け前のうた ~消された沖縄の障害者~』は、かつて日本に存在した精神障害者を隔離する制度「私宅監置」の実態に迫ったドキュメンタリー。1900年に制定された精神病者監護法に基づき、精神障害者を小屋などに隔離した私宅監置制度。隔離された人々は人生を奪われ、尊厳を深く傷つけられた。日本本土では1950年に禁止となったが、沖縄では本土復帰の1972年まで続けられ、その後も公的な調査や検証は行われていない。沖縄でこの問題を追い続けてきたテレビディレクターの原義和さんが、1964年に東京から沖縄へ派遣された精神科医の岡庭武氏が記録した写真と当時のメモを基に、犠牲者の消息をたどる。
(C)2020 原 義和
映画『夜明け前のうた ~消された沖縄の障害者~』は、4月9日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、4月10日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ。4月17日(土)より神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開。なお、シネ・ヌーヴォでは4月10日(土)に原義和監督とNHK「バリバラ」プロデューサーの森下光泰さん、京都シネマでは4月11日(日)に原義和監督と精神科医の高木俊介さんを迎えトークショーが開催される。
3年前に『夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年』という作品が公開され、100年前の日本では、多くの精神障害者が自宅の座敷牢に幽閉されていたことを知り、衝撃的だった。だが、沖縄県にスポットを当ててみると、本土復帰までに、とんでもない制度が残っていたなんて…!沖縄の気候を考えてみると、どれだけ酷いことだったのか。優生思想の恐ろしさを改めて考えさせられてしまった。本作を手掛けた原義和監督は、愚かな制度の犠牲者にさせられてしまった人々の消息を真摯に辿っていく。ならば、実際に幽閉される経験を以て、犠牲者の気持ちに近づこうとした。もう二度とこのようなことが起きないことを願うばかりである。
しかし、現在でも、これに近い事件が実際に起きている。彼らは犯罪者ではない。悪いことをしたわけでもない。周囲がどうすることもできなかっただけで…彼らを救おうとした人物もいた。ただ単に世に訴えるのではなく、しっかりと現状を調査しまとめ上げ、確固たる証跡づくりと研究を行っていく。その成果が現代でも役に立つことを願って止まない。国の在り方として触れておきたい内容が十分に備わっている大事な一作である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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