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僕たちが一つずつ丁寧に変わっていければ、世界が変わるのかな…『平行と垂直』安田章大さんとのんさんと小林聖太郎監督を迎えジャパンプレミア試写会開催!

2026年7月2日

カウンセラーの女性が、結婚を前に自立して暮らすASDを持つ兄と向き合う様子を映しだす『平行と垂直』が8月28日(金)より全国の劇場で公開。7月2日(木)には、大阪・堺のTOHOシネマズ鳳に安田章大さんとのんさんと小林聖太郎監督を迎え、ジャパンプレミア試写会が開催された。

 

映画『平行と垂直』は、SUPER EIGHTの安田章大さんとのんさんが主演を務め、自閉スペクトラム症の兄と結婚を控える妹の温かくも強い絆を描いたヒューマンドラマ。自閉スペクトラム症の大貴と、幼い頃から彼を支えてきた妹の希。母を早くに亡くした彼らはネグレクト気味の父から距離を置き、ふたりで懸命に生きてきた。現在、大貴は清掃の仕事に就き、周囲のサポートを受けながら自立した生活を送っている。大貴はほとんど会話をせず、表情もあまり変わらないように見える。独自の規則を持つ彼は、すべてを平行と垂直に並べるほど几帳面でこだわりが強く、机に並ぶ食器もていねいにそろえる。週に1度の希との食事の時間は19時ちょうどで、1分でも過ぎると落ち着かなくなる。カウンセラーとして働いている希は、ある日恋人からプロポーズを受け、一抹の不安を抱えながら大貴とともに恋人の両親に会いに大阪から東京へ向かう。希の結婚話をきっかけに、兄妹は思いがけずお互いの過去と未来に向き合うことになる。劇団ふくふくや主宰で俳優としても活躍する山野海さんによるオリジナル脚本に感銘を受けた安田章大さんが製作を熱望し、企画から参加。自閉スペクトラム症の専門家の監修のもと約2年かけて脚本を練り、安田さん自身も専門家のレクチャーを受けて撮影に臨んだ。監督は『かぞくのひけつ』『毎日かあさん』の小林聖太郎さんが務めた。[配給:東映ビデオ]

©2026「平行と垂直」製作委員会

 

今回、上映前に、安田章大さんとのんさんと小林聖太郎監督が登壇。作品に対する真摯な思いが丁寧に届けられる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

ロケ地となった堺市での舞台挨拶となり、安田さんは「たこ焼きが好きです。ホンマにたこ焼きが好きで、家でもよくするし、自分の大事な作り方みたいなのもあるし、家にソース5種類用意しているし。たこ焼きのために料理をしていて、醤油の味付けにしたり塩にしたりとかもやっていますね」と拘りを披露。秘伝の作り方がありそうだが、山芋を入れていることだけは明かした。のんさんは、お好み焼きが好きで「豚玉に餅トッピングで食べます」と話し、ご満悦の様子。

 

 

作品の企画段階から安田さんは参加しており「幼少期から、世の中の”普通”というものに対して違和感を抱いていた、と云いますか…勿論、法律を犯せば駄目なことですけど、それぞれにとっての”普通”というのはあるもので…世の中が勝手に作った”普通”に振り回されてしまっているような気がしていて。とある誰かにとっての”普通”は誰かにとっての異常でしょうし、あなたにとっての異常はあなたにとっての普通だ、ということになってくるから、そこの言葉に引っ張られて、自分自身が隅っこに追いやられていたり、考えが発言できなくなっていたり、行動に起こせなくなっていたり、みたいなことが定型発達の皆さんの中でもあるし、ASDと呼ばれる皆様、他の障害を患っている方々でも、自分なりの意見があったり、自分が伝えたいことがあったりする」と述べ「それを、僕たちがちゃんと受けとめられるかどうか、というところが、今問われていることだと思うんですよね。それを一つでも僕たちが一つずつ丁寧に変わっていければ、世界が変わるのかな、という風に思っていて。だから、こういう風に一つ一つ自分が思うことを届けられたらな、と思い、作ることになりました。皆さんが協力してくださってるので、全員で作れたな、という感覚はありますけどね」と真摯に語っていく。この思いを受けとめ、脚本を担った山野海さんと小林監督とプロデューサーの佐藤現さんも含めた4人は、自分達の幼少期からの思い出を語り合うことができ「一つ一つ自分自身をさらけ出しながら、それをすることによってちゃんとさらけ出した作品に仕上がっていく形になったのかな」受けとめていた。

 

オファーを受けたのんさんは、脚本を読み「とっても素敵な脚本で、素晴らしい物語だな」と思うと共に「題材的にも、安田さんが山野さんと2人で始めて、皆で大切にしている特別な作品、という点でも、生半可な気持ちではお受けできないな」と実感。「自分がやっていいのだろうか」と悩んだが「皆さんの作品に向かう真摯な気持ちを受け取ったり、小林監督から熱いお手紙をいただいたりして、私はこの役を逃したらとっても悔しい、と思うに違いない」と直感し、現場に飛び込んでいった。安田さんは台本を十二分に理解した上で、ASDに関する専門家の方々からご指導ご鞭撻を受けると共に施設に何度も足を運んでいく中で「役作り、ということじゃないな」と察し「それぞれがそれぞれの性格があるし、考え方があって、自分なりのあり方があるのならば、大貴は僕が演じるけれども、大貴が取り囲まれてる皆様によって性格が出来上がるんだな」と気づかされていく。そして、不安も考えることもなくクランクインして撮影を終えていた。のんさんが演じる希ともコミュニケーションができ「芝居中のコミュニケーションが、大貴のキャラクターが仕上がっていった大きな秘訣」と説く。そして、小林監督から「ドキュメンタリーであっても仕方がない。映画は、ファンタジーのことである。だけども、真実もちゃんと紡ぎながら作っていくから、時にファンタジーを行ったり来たりしながら作っていくのが必要だ」と聞き、向き合って会話することができ、監督に委ねることができた。故に、自然と”大貴”になることができ「今もまだ大貴が生きているんだろうなぁ」と思いを馳せることもあるようだ。のんさんは、希を演じるにあたり「大貴の妹としてどんな風に存在しているかな」と注目し「希は、大貴のことを一番に分かっているのは自分だ、という自負がある人なんじゃないかな」と思って現場に臨むことに。だが、安田さんとの初めてのシーンで「大貴がいる。大貴の佇まいや存在をすごく明確に感じて、この大貴に寄り添えばいいんだ、と安田さんが答えを出してくれた」と気づかされた。故に、撮影中に安田さんがのんさんと打ち合わせをすることもなく「芝居の中で希と大貴が向き合っている時間が積み上がっていって、勝手に物語、そして時間が過ぎていった」と当時を振り返っていく。

 

 

堺での撮影にあたり、小林監督はフィルムコミッションの方々と良き関係性を構築しており、自転車で走り回りながらシナリオハンティングを実施しており「堺の規模としても、車で言われるままに点で見ていくより、その過程も大事だな。空気ごと感じられれば」という狙いで伺った。だが、かなりの暑さがあり「また失敗したな」と思いながら汗だくになり、最後はゲリラ豪雨でびしょ濡れとなり「車の方が良かったかな」と後悔することもあったようだ。安田さんは、商店街の中にある精肉店の出来立てコロッケが思い出に残っており「めっちゃ美味しかったです。スタッフさんも全員で食べました。ちょっとずつ揚げていくので、一番困ったのはお店の方でしたね」と振り返り「小学生の時、必ず商店街でコロッケを買って食べるのを思い出しました」と懐かしんだ。

 

本作に込められた”相手を理解する”ことについて、安田さんは「理解できない、というのは、そんな簡単には変わらないものだとは思っている前提なんですけど」と前置きしながら「知ろうとすること、とか、自分から触れにいくことをすれば、自ずと経験値が増えるので、自分の人生の余白や新しい気づきで、新しい道を歩める瞬間が生まれるのかな、とは思います。ただ、ホントに皆様も分かると思うんですけど、自分に置き換えてみた時、人ってそんなに変われへんな、というのがあるからこそ、それぞれ1人1人が自分と向き合えれば、せめて自分から変われれば、誰かが一緒に変わってくれる可能性があるのかな」と言及。のんさんは「私は20代の頃まで特に、自分の物差しを猛進しているタイプの未熟者だったので、30代になってから、少しずつ丸くなっているんですけど」と自省しながらも「この作品を通して改めて、様々な人がいて、自分の考え方や物差しがこういう風にあって、相手がどんなふうに考えているんだろう、というのを考え続けること、考える幅を広げることはすごい大事だな、というのを、この作品は改めて教えてくれるなぁ、と思いましたね。私は自分の物差しを妄信しているし、相手の表に出てる言葉とか表現しか見れないタイプだったんですけど、その奥にあること、とか、心で感じること、とかをもっともっと見つけて大事にしなきゃな」と語ってもらった。

 

 

最後に、安田さんは「まずは、観ていただいて体験してください。そして、自分が感じたことを行動に移す、とか。今は贅沢な時代で、便利なSNSがあるので、自分の感情をそこに吐露をする。そうすることによって、人に伝搬していく。 それは、友好的な現代の素晴らしい技術だと思うので」と伝えながら「この映画自体は、人と人が繋がり、優しく支え合う、そして、時にすれ違い、僕たちがただ生きてる時に起きてることが写されてる映画です。ただの日常でございます。だからこそ、微々たる成長しかしないし、大きく変化もしません。ですけど、それが人生の上で一番手を取り合える近道だと思っています。僕たちが一番伝えたいメッセージは最後に一言、”全員が全員、あなたの味方だよ”ということでございます。なので、全各部署で作った良い作品をぜひご覧ください。そして、観終わった素直な感想は友達、そしてSNS、言いたいところに全部綴ってください」と伝え、舞台挨拶を締め括った。

 

映画『平行と垂直』は、8月28日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のT・ジョイ梅田や難波のなんばパークスシネマや堺のTOHOシネマズ鳳、京都・三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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