ミステリアスな風貌と包み込みそうな懐の広さも感じる一ノ瀬さんにピッタリの役!『四月の余白』一ノ瀬ワタルさんと吉田恵輔監督を迎え舞台挨拶開催!
ある地方都市に佇む全寮制の更生施設を舞台に、人の痛みや常識を理解できず逸脱した子供たちに“人は変われる”と信じて体当たりで向き合おうとする元受刑者の男性を描く『四月の余白』が6月26日(金)より全国の劇場で公開。初日には、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマに一ノ瀬ワタルさんと吉田恵輔監督を迎え、舞台挨拶が開催された。
映画『四月の余白』は、『ヒメアノ~ル』『ミッシング』の吉田恵輔監督が、人の痛みや常識を理解できない少年たちと、彼らに真正面から向き合い続ける大人たちを描いたドラマ。田監督自身が多感な時期に出会った非行少年や彼らを取り巻くコミュニティをモデルにオリジナル脚本を手がけた。元半グレで元受刑者という過去を持つ西健吾は、海の見える地方都市で全寮制更生施設「みらいの里」を運営している。自身の体験を糧に、道を踏み外しかけた子どもたちに体当たりで向き合う西だったが、体罰も辞さない更生方針は教育関係者から批判されていた。ある日、彼は中学校教師の冬子から、手に負えない生徒の海斗と鑑別所帰りの悠について相談される。2人に会った西は、一瞬にして海斗の狂気を見抜く。海斗の激しい家庭内暴力に疲れ果てた母親も、息子を「みらいの里」に託すことを決める。しかし海斗は施設でも寮生とトラブルを起こして脱走し、さらに傷害事件で逮捕されてしまう。
Netflixドラマ「サンクチュアリ 聖域」の一ノ瀬ワタルさんが西役で主演を務め、不良少年の海斗役には新星の上坂隼人を抜擢した。中学校教師の冬子役で夏帆さん、海斗の両親役で篠原篤さんと占部房子さん、海斗の不良仲間である悠役で和田庵さん、施設の寮生役で山﨑七海さん、高田万作さんが共演している。
今回、上映前に一ノ瀬ワタルさんと吉田恵輔監督が登壇。作品に漂う空気感とは違った賑やかな舞台挨拶が繰り広げられた。
一昨日から吉田監督は来阪しており「行きたいサウナが色々…3ヶ所ぐらいあって…サウナ泊、サウナ泊、今日出たのに、またサウナ行ってからココに来ている。俺が行きたい1、2、3を全部やっつけて来たんです。素晴らしかったです」と満喫。また、うどんを食べたり、”BOTANI CURRY”に行ったり、かき氷を食べたりと大阪の”食”も味わっていた。他にも、大阪にある古墳を訪れたり、埴輪を見たりと存分に楽しんだことが伝わってくる。一ノ瀬さんは、大阪について「大阪の人は、みんな優しいな。道に迷っていたら、すぐに聞いてくださる。優しい人が多いな」といったイメージがあるようだ。
本作について、吉田監督は「様々な問題をはらんでいるので、その問題について、終わった後に自分なりに考えたくなるような映画なんだろうな、と思って作っております」と話しながらも、上映前であるために楽しそうな話題へと導こうとしていく。脚本執筆について「最初に書いていた時は、もう少し暗い感じの雰囲気だったんだけど、とんでもなく暗い映画になっちゃいそうだったので、もう少しポップにしたいな、と思った時、一ノ瀬さんみたいなキャラクターを思って、少し明るくしていった。そして、一ノ瀬さんがやってくださることになったので、さらに寄せていった」と振り返りながらも「ただ、一ノ瀬さんは、子供からは若干歯向かいづらいぐらいに体がデカいな、と。ちょっとだけ歯向う割合は減らしておこう」と配慮したようだ。
役作りにあたり、撮影現場での一ノ瀬さんは「西は、孤独が大事だと思ったんですよ。”みらいの里”の子達だけを無性に愛したい、と思っていたッスから、オール蒲郡ロケでやっていたんすけど、撮影中は1回も外に出てないッスね。現場とホテルだけ。あとはコンビニで飯買うぐらい。それ以外誰とも喋らなかったッス、キャストの方とも、スタッフさんとも。だから、辛い撮影ではあったッスかね」と思い返す。吉田監督はクランクイン前に一ノ瀬さんと話しており「あとは、来てもらったら、自分の中で作ってきたキャラクターと演技はすごい良かった。一ノ瀬さんに関しては、現場で、こうでもない、あぁでもない、ということをやった記憶がないですもんね。自由に演じておられた」と評していく。

ストーリーについて、吉田監督の実体験が基になっており「昭和の時代なんでね、僕の地元自体がけっこう荒れていて、僕自身も色々やんちゃなことをしていたんですけど、人のこと言えないけどヤバい先輩とか結構いらっしゃった…そういう人たちが集まってこの海斗というキャラクターが出来上がっているので、基本的には、起こっているような事件はほとんど起きているので…」と控えめに明かした。『四月の余白』というタイトルについて、一ノ瀬さんは撮影中に吉田監督に聞いたことがあり「”意味ない”って言っていた。ただ、この言葉を羅列していって、”四月の…鯉のぼりじゃ格好悪いから”」とうろ覚えで話していく。改めて、吉田監督は「タイトルつける時、脚本を書いて作る時のイメージの文字をいっぱい出していく」と述べ「例えば、これは白だな、とか、空だな、とか。いろんなモノがあって、今回は、余白だな、とか。なんか、四月だな、とか。何個か考えていた時に、パチンッとくるものがあって。だから、単語を、自分の中から、このテーマのものを抜いていく。単語もあれば、文字1文字もある。そして、プロデューサー陣と、どの組み合わせがいいかね、と話をしていってコレに決まった」と明かす。とはいえ「ホントはね、もう少しカタカナのタイトルとか考えたんだけど、一ノ瀬ワタル主演でカタカナのタイトルはエッジ強すぎそうな感じ。だから、このぐらい少し柔らかい感じ」と本音を話していく。
初主演作となり、一ノ瀬さんは、先輩俳優から「主演というのは、一番孤独であるべきだ」とよく言われていたことから「今までの脇役をやるよりは、一つ辛いものがあるというか…俺がブレちゃ絶対いけないですから。主演がブレるわけにはいかないですから、どんなことがあっても必ずブレないで。芝居で遊ばない」と認識。クランクイン前に吉田監督と話し合う中で「一ノ瀬ワタルは、様々な作品で劇的なスパイスになる。すごい調味料を入れて全部を味変する起爆剤みたいな役を目指していたんですけど、今回は、全部を受けとめてほしい。様々なすごいキャラクターが出てくるから、それを受けとめている芝居をしてほしい」と言われ、すごく意識していた。完成した作品を鑑賞したが、緊張してまともに見られないようで、お客様の感想を楽しみにしている。
映画にする題材について、吉田監督は「『空白』に、学校とかマスコミが少し出てくることがあった。ただ、描き切る物語じゃないので、宿題としてあったので、マスコミをちゃんと描こうと思って『ミッシング』を作った。学校教育とかの問題を一回ちゃんと深掘りしたい、というようになっていったので、こうなっていった。連鎖的に、世の中に対しての違和感みたいなものを次々に映画化して」と説き「今年、『mentor』という作品があるんですけど、これが兄弟作のような。ココから派生した発生した『mentor』があるので、書いているとずっと続いていく感じはありますね」と述べた。

一ノ瀬さんの魅力について、吉田監督は「このキャラクターというか…愛くるしいんだけど、見方によっては危険な匂いがする。危険な役ばっかりやっていたから、信じていいのか、よく分からない。このミステリアスな風貌と包み込みそうな懐の広さみたいなのも感じるので、この役には物凄くピッタリだし、多分まだまだ引き出しがいっぱいありそうな役者さんだな」と感じている。一ノ瀬さんは「吉田さんの現場は凄い厳しい。凄く怖い監督だ」という噂を聞いていたが「全然そんなことはない。現場の雰囲気から、皆に愛されている監督は本当に初めてやったッスから。スタッフ一致団結、とはこのこと。凄く良い監督だったッスな」と実感。どうやら、吉田監督の作品を観ただけで、会ったことがない方から、正気を失かった方だと思われていたようで「本当にあなたが作っています?」という反応もあったようだ。
俳優への演出について、吉田監督は「基本的には、最初に、好きにやって、というところから始めて…」と挙げ「俺、キャスティングにかなり自信があるんですよ。だから、大体外さない。だから、自由にやって、と言ったのが本当に良いか。もしくは、俺が思っていたのを超えてくる人たちが多くて、もし、ちょっと違うな、と思ったら、ちょっとこういう風にやってみて、と言うぐらい」と説く。一ノ瀬さんの場合も「まず、じゃあお好きにやってみて、と言ったので、大体それで、というので」と戸惑うこともなく「だから、撮影が早かったですよね」と思い返す。一ノ瀬さんとしては「芝居のキャラを掴んでしまえば、あとは何でもいけるッスね」と自負があり「今回は、クランクイン前からずっと話し合いができていたッスから。モデルになる人のような話も聞かしてもらったッスし、けっこう良かった。でも、これから観ていただくにはショッキングな内容ですから、皆さんの反応が怖い、というか、楽しみっスけど」とワクワクしている。
最後に、吉田監督は「ちょっとエッジの効いた作品なので、なかなか大々と宣伝するようなタイプの映画ではないので、口コミとかが大事だと思うので、もし気に入っていただけたら、”良いのあるよ、良いのあるよ”という感じで繋いでいってくれたら嬉しいなと思います」とお願い。一ノ瀬さんは「ホントに、観る人によって思うことが違う、というか、ホントに衝撃作品であると思うッスから、皆さんにホントにどんな形であれ楽しんでもらえたら嬉しいなと思っております。どうか『四月の余白』よろしくお願いします。ありがとうございます」と伝え、舞台挨拶を締め括った。
映画『四月の余白』は、6月26日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都や出町柳の出町座、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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