映画という共通言語を基に会話ができるし、一緒に笑い合えるし、モノが作られる…!『ブルックリンでZ級監督と恋に落ちた私』三原羽衣さんと宇賀那健一監督を迎え舞台挨拶開催!
方向性に悩む多忙な女優が、気晴らしに恋人と訪れたNYで、売れないZ級映画監督と出会う『ブルックリンでZ級監督と恋に落ちた私』が2月13日(金)より全国の劇場で公開中。2月15日(日)には、大阪・梅田のテアトル梅田に三原羽衣さんと宇賀那健一監督を迎え舞台挨拶が開催された。
映画『ブルックリンでZ級監督と恋に落ちた私』は、『ザ・ゲスイドウズ』の宇賀那健一監督が、全編ニューヨークロケで撮りあげたロマンティックコメディ。日本の人気俳優シイナは、世間に注目されながら多忙な日々を過ごすうちに、自分が何のために役者を志したのかさえ忘れてしまっていた。ある日、ひょんなことから炎上した彼女はヤケになって仕事も事務所も放り出し、ボーイフレンドのレンとニューヨークへ向かう。シイナのわがままに振り回されっぱなしのレンは、大ゲンカの末に彼女をニューヨークに置き去りにしてしまう。英語も話せず、絶望してバーでひとり泥酔したシイナは、現地の小さな映画制作プロダクションで働く売れない映画監督ジャックと出会う。新作映画の主演女優にドタキャンされ困っていたジャックは、泥酔したシイナを見てあることを思いつく。三原羽衣さんが主演を務め、ボーイズグループOWVの中川勝就さんがボーイフレンドのレン、『アイニージューデッド!』のエステバン・ムニョスが映画監督ジャックを演じた。『デッド・ドント・ダイ』等に出演した俳優・監督のラリー・フェセンデン、『悪魔の毒々モンスター』で知られるカルト映画の巨匠ロイド・カウフマンが特別出演している。
今回、上映後に三原羽衣さんと宇賀那健一監督が登壇。シネ・リーブル梅田の頃に『みーんな、宇宙人。』で舞台挨拶に登壇して以来となった宇賀那監督は、嬉しそうに本作について語った舞台挨拶となった。
ファッション&カルチャー誌であるNYLON JAPANの創刊20周年を記念して製作されたオリジナル作品『みーんな、宇宙人。』に三原さんが出演し「また何かご一緒したいな」とずっと思っていた宇賀那監督。そんな折、本作のプロデューサーから「一緒に映画を作らないか」とお誘いが。そこで「ラブコメを撮りたい」「ニューヨークで撮りたい」「三原さんとご一緒したい」とお願いし、今作の企画が進んでいった。その後、プロットを呼んだ三原さんは「宇賀那さん、こんなの書くんだ」とビックリ。過去にラブコメ作品として『魔法少年☆ワイルドバージン』を撮っているが、周囲の捉え方は違ったようだ。とはいえ、三原さんとしては「この作品をきっかけに、今後の自分のお芝居感が変わるかな」と思い、初主演の機会を喜んでいる。だが、ニューヨークで撮ることについて「英語も全く喋れないし、食べ物が合わないんじゃないか。フライト時間が長いけど大丈夫かな」と不安は隠せず。宇賀那監督も「物価は高い…円ドルのレートが変わる毎に出来ることが変わってくるので、毎日、レートを見ている…外部の不安が色々あった」と同感。
そして、ニューヨークでクランクイン後、ジャック役のエステヴァン・ムニョスが翻訳アプリを用いてコミュニケーションを取ろうとしてくれたことから、三原さんはどうにか会話ができるようになっていった。撮影は可能な範囲で順撮りで薦められており、劇中と同じように中を深めていったようだ。撮影を進めながら、宇賀那監督は「Z級映画をニューヨークで撮っている、という設定の映画を撮りながら、実際の2人も最初は、どのように接していいか分からない。ジャックとシイナも、三原さんとエステヴァンも、徐々にコミュニケーション取るようになっていった。スタッフも同じ。僕はその中で精一杯バカバカしいことをやる。それをモニターで見ながら、自分も同じようなことをやっている」とメタ的で不思議な感覚があった。
食事に関しては、アメリカならではのジャンクフードを期待していたようだが、現地では、ピザが2回以上も出る現場は、ホントに低予算すぎる現場だから絶対ダメ、という定説があるらしく、パンダエクスプレス(Panda Express)によるアメリカ風中華料理が提供されたようだ。三原さんは、クランクイン日の衣装合わせを終えた後の自由時間にハンバーガーを食べに行き、意外と安かったことに驚いていた。なお、プロデューサーが食べに行ったハンバーガーは9,000円もしたとのこと。

撮影が始まると、大変でありながらも三原さんは大いに楽しんだようだ。しかし、長編監督デビューして10年で15本の映画を撮ってきた宇賀那監督としては、近作の中では一番大変だった。それ故に「2人にも大変な思いをさせているよな」と心配だったが、2人から「全然大変じゃないですよ」と云ってもらえたことで、大変な現場を乗り越えられたようだ。特にクライマックスシーンの撮影では、公園での撮影許可を取っていたが、同じ場所でロックフェスが開催されていたことから一悶着があったが、どうにか公園の隅っこで撮影を敢行。血糊を用いた撮影であり、三原さんは「血糊がとにかく甘くて、匂いが…全身に浴びたので、髪の毛についた匂いとかも全く取れなくて…お風呂入っても取れない。次の日までめっちゃ甘い匂いがする」と困惑してしまった。このシーンは、Hi8 (ハイエイト)のビデオカメラで撮っており、 撮影部は血糊を被ってもいいようにTシャツに水着でビーチサンダルにビニール袋を被って穴を開けてHi8 のレンズが出ている状態になっており、宇賀那監督は「めちゃめちゃシュールな光景でしたね。 だから、Z級映画を撮ってる設定で、Z級映画を撮っている。すごい不思議な光景ではありましたね」と思い返す。
今回、日本からは、三原さんと中川勝就さんと5人のスタッフが参加した。現地のスタッフとは、宇賀那監督も初めての方がほとんどであったが、現地ならではの配慮があることを実感。なお、ニューヨークでは、1分おきに飛行機が飛び交っていたり、パトカーのサイレンが頻繁に鳴っていたりしていたことから、撮影を止めることが出来ず、受け容れる体制に切り替わった。三原さんは、時差ボケを懸念していたが、実際は、意外と体質に合い、快適な生活リズムとなったようだ。また、1日の撮影スケジュールについて、日本では撮影の開始から終了までのスケジュールを組むが、現地では、準備を初めて準備の終わりで組むスケジュールとなっており、宇賀那監督は驚いたが、それでもバタバタする機会もあった。今となっては、仕事に対するスタンスの違いに気づかされ、良い機会と受けとめている。とはいえ、スタッフの体制が日本と違う点もあり、しっかりと主張を伝えてくれることも興味深く感じていた。さらに、現地では、ショットリスト(撮影現場で必要な全てのカット[ショット]を、カメラの画角、アングル、動き、出演者、場所などの技術的な情報とともに整理した撮影の包括的な計画書)を基にして撮影が行われている。日本では、準備段階で演技を見せてもらってから、カットを割るパターンが多いことから、現地スタッフに驚かれたようだ。撮影方法の違いに困惑していることを鑑みながらも「そこの刺激がお互いに与えられたのは、凄くかったな」と実感している。

本作が完成後、カナダ・モントリオールで開催されているジャンル映画を対象とした映画祭であるファンタジア国際映画祭でワールドプレミアとなった。宇賀那監督と三原さんと中川さんが現地参加しており、三原さんは「めちゃくちゃ笑うし、指笛も鳴らすし、Whoo! とか言ったりもするし、個々が楽しんで映画を観ている」とお客さんの様子を見て、新鮮な気持ちになり、大いに楽しんだ。
なお、中川さんと共演した三原さんは「良いヤツですね」と絶賛。初対面である中で最初のシーンを撮り「まだお互いの空気感も分かっていないし、お芝居の感覚も分かっていない、という上でやったんですけど、暴言を言い慣れてないんだろうな…目が優しい感じがした。レンの優しさとも被る。悪口とかも言ったことないだろうから、重なってきて、良いヤツだな」と印象深かった。宇賀那監督も、中川さんが本気で役と向き合っていたことを讃え、多忙な中で様々な仕事に対応してもらったことに感謝しており「嫌な顔を一つもせずやってくれた。彼だからこそ成立した映画だし、彼だからこそレンが生まれたな」と実感している。昨日開催の舞台挨拶にも登壇しており、お客さんと話していく中で、レンのスピンオフ作品や続編を期待する声も多く受けており「この映画がヒットして、続編が生まれるようになったらいいな」と期待していた。
最後に、三原さんは「私はこの作品に勇気をもらえた。初心を思い出すことができる作品です。宇賀那さんが言っていたんですけど、この作品はラブコメだけど、宇賀那さんにとってのラブコメでもある…」と語り「それは私達も一緒で…余計なことを考え過ぎちゃって、素直に楽しめなかった時期があるんですけど…丁度その後ぐらいに出会った作品なので、みんな心から楽しんで1つの作品を作り上げている、ということは、自分が忘れかけていたことなんだな、と思って、背中をすごく押された。初心を思い出させてくれた。大人になったら節度をわきまえなきゃいけない、とか、はしゃぎすぎたらダメだよな、とかは一旦捨てて、楽しめる時は楽しむ、楽しみたいことは楽しむ、ということの大切さに気づきました。 なので、そういう人の背中を押せたらいいな」と思いを込めていく。宇賀那監督は「僕の最初の海外との作品です。 でも、映画という共通言語が僕らにあるな、ということがすごく励みになったし、その共通言語を基に会話ができるし、一緒に笑い合えるし、モノが作られる、ということの感動を凄く感じた映画でした。そういう映画だからこそ、映画館という場所でぜひ観ていただきたいです」と伝え「映画はいつでも観られる、とか、いつまでもやっているようなイメージを持たれがちなんですけど、映画館でやっている期間は短いので、ぜひこの期間のうちに2度3度お越しいただけたら。そして、周りの方に宣伝いただけたら嬉しいな」と思いを込め、舞台挨拶を締め括った。
映画『ブルックリンでZ級監督と恋に落ちた私』は、2月13日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開中。また、2月20日(金)より京都・桂川のイオンシネマ京都桂川、3月7日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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