”不都合な真実“から目をそらす家族の約30年間を描いた『架空の犬と嘘をつく猫』がいよいよ劇場公開!
©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会
弟の死をきっかけに現実から目をそらす母を中心に、それぞれが嘘を抱えて生きる家族が、過去と向き合う姿を描く『架空の犬と嘘をつく猫』が1月9日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『架空の犬と嘘をつく猫』は、不都合な現実から目をそらし、それぞれが嘘を重ねながらも、ともに生きる一家の30年を通し、家族の”嘘”と”絆”を丁寧に描き出すヒューマンドラマ。羽猫(はねこ)家の長男である山吹(やまぶき)は、弟の事故死をきっかけに心を閉ざし、空想の世界で生きるようになった母のため、まるで弟が生きているかのような嘘の手紙を書き続けていた。父は変わってしまった妻を受け入れられず愛人のもとへ逃げ、祖父は裏山に遊園地を作ろうという現実離れした夢を語り、祖母は骨董屋で「嘘」を扱いながら暮らしている。唯一まともに見える姉の紅(べに)は、「嘘と嘘つきが嫌い」と言ってすべてに反抗している。それぞれが不都合な真実から目をそらしている羽猫家の人々だったが、ときに「家族をやめたい」と思いながらも、互いに寄り添って生きている。
本作は、「川のほとりに立つ者は」で本屋大賞にノミネートされた寺地はるなさんの小説を、『愛に乱暴』の森ガキ侑大監督が映画化した。主人公の羽猫山吹を高杉真宙さんが演じる。そのほか、山吹の幼なじみで恋人となる佐藤頼に伊藤万理華さん、山吹の初恋の相手である遠山かな子に深川麻衣さん、母の雪乃に安藤裕子さん、姉の紅に向里祐香さん、父の淳吾に安田顕さん、祖母に余貴美子さん、祖父に柄本明さんと、実力派キャストが顔をそろえる。

©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会
映画『架空の犬と嘘をつく猫』は、1月9日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。
分かちがたい存在である家族だからこそ、咄嗟についてしまう”嘘”ってあると思う。自分自身にも心当たりがあるし、その嘘の裏側を家族は気づいていたりするのかもしれない。本作『架空の犬と嘘をつく猫』はそんな嘘と家族がテーマだ。
主人公の山吹には、年の離れた姉の紅と弟の青磁がおり、両親と祖父母による7人で暮らしている。あることがきっかけで青磁は亡くなってしまい、その現実を受け入れられない母親 雪乃は青磁が生きているように毎日気にかけている。父の淳吾はそんな母親を受け入れられずに愛人のもとへ逃げ、姉の紅は「嘘と嘘つきが嫌い」と反抗的な態度をとる。山吹は根っからの優しさなのか、弟の青磁のフリをして母親へ手紙を書く。その嘘の手紙で青磁の近況を知る母の幸せそうな顔を見ると、なんとも言えない気持ちになる。山吹が青磁として嘘をついてからの30年を追った今作。嘘をつき、次第に家族の心が離れ、嘘や心のしこりがどうほどけていくのかが丁寧に描かれている。
家族の他にも2人の女性が描かれる。1人は、山吹の小学校の同級生である頼。ジョンという犬を飼っており、山吹はジョンが大好きである。もう1人は、山吹の中学校の先輩で初恋の相手、かな子。実母と離れて暮らしており、塾を経営している叔父の家で暮らしている。その塾で山吹と出会う。2人は正反対の存在で、”不器用だけど真っ直ぐ”な頼を伊藤万理華さんが、”無意識に相手に取り入ろうとしてしまう”かな子を深川麻衣さんが演じている。両者ともにアイドル活動後、本格的に役者として活動を始め、今やドラマに映画に活躍している。筆者の体感では、お互い普段演じることの多い役回りと反対の役どころではあるものの見事に演じきっている。2人の初共演は見逃せない。
30年という期間を物語る本作。主人公家族の子供達のキャスティングが実に見事である。主人公の山吹と姉の紅は特に力が入っていて、小学生から大人になるまで違和感が全くない。福岡や東京で500人規模のオーディションで選ばれたらしいのだが、成長するに当たってあまりにも自然なキャスティングに脱帽してしまった。紅の子供時代を演じた藤中璃子さんの演技は圧巻で、演技経験がないにも関わらず圧倒的な存在感を醸し出している。
描かれていることは、辛い現実に向き合う意味で、しんどさはあるものの、それが淡々と丁寧に紡がれているので、ストーリーがすんなり入ってくるのも今作の優れている部分だ。音楽的な演出は極力抑えられているものの、自然な演技と空気感で充分なほど伝わってくる。特に注目してほしいのは、山吹の優しさと本音が出る2つの場面。なかなかに緊迫した場面だが、過剰ではなく思いがストレートに伝わってくる。ぜひ劇場で確認してほしい。
嘘は良くない、と云うけれど、時に慰め、時に励まし、時に鼓舞する。人には優しい嘘に救われる瞬間があると思う。その嘘が綻びを見せた瞬間は受け入れられなくても、自然と解けて交わる時が来る。それが家族ならなおさら。どこにいようと、何をしてようといい。家族だから。
fromブライトマン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

















