台詞を極力排し、高校球児の青春を紡ぐ『郷』がいよいよ劇場公開!
©郷2025
野球に打ち込む高校生の夢と挫折、そして故郷での記憶を通じて、心の幸福、人生の意味とは何かを問いかける『郷』が1月9日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『郷』は、鹿児島の雄大な自然を背景に、17歳の高校球児の挫折と再生をつづった青春叙事詩。プロ野球選手を目指す高校球児の岳は、怒号の飛び交うグラウンドで軍隊のような規律にしばられ、声が枯れるまで叫び続ける日々を送っている。野球部内の理不尽な人間関係や、立ちはだかる残酷な現実に苦しむ彼は、優しい担任教師である霧島の励ましの言葉に心を救われ、幼なじみの隆との再会をきっかけに、かつて大自然の中で無邪気に遊んだ日々の記憶に救いを見いだすようになる。四季の移ろいとともに、岳の心境も少しずつ変化し、癒やされていく。
本作では、鹿児島県出身で北京電影学院監督学科卒の新鋭である伊地知拓郎さんが監督・脚本・編集・音楽・撮影を手がけ、構想から約10年をかけて完成させた。セリフを極力排し、音と映像を通して登場人物たちの生命の営みを描き出す。俳優で映画プロデューサーの小川夏果さんが出演・プロデュースに加えキャスティング・衣装・美術を担い、『マスカレード・ホテル』の泉澤祐希さんが語りを務めた。

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映画『郷』は、1月9日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・難波のなんばパークスシネマ、京都・烏丸の京都シネマで公開。
誰しもが持っている”センス・オブ・ワンダー”を一体いつ失ったのだろうか。
今作の主人公的立ち位置の渕上 岳が所属する野球部に限らず、あらゆる部活や習い事を始めた瞬間は”好き”や”楽しそう”から始まっているはず。しかし、自分も周りも環境も大人としての責任や成績などに飲み込まれていき、あの頃持っていた気持ちがすり減っていく。上下関係や嫉妬は高校生にもなればピークに達しており、渕上は一つの理不尽な結末を迎える。
だからといって人生は終わりではない。学生生活の一幕に過ぎないのだ。もちろん、人生をかけて取り組んでいたものをそんな簡単に切り捨てることはできないかもしれないが、一度距離を置いてみて初めて気づくこともある。渕上を気にかけてくれる先生や級友の存在。そして幼馴染の隆と再会し幼き日の情景を思い出す。
遅くとも中学生から競争社会の現実を意識せざるを得ない現代において、鹿児島の大自然が持つ雄大さをじっくり感じる時間が必要かもしれない。楽しいこと、刺激的なことを欲してしまうのも、ストレス過多な社会の中で必然な気がする。だが、草木が生い茂る森や、畦道、美しい桜島、小舟で下る川、海岸でのひと時を心の目で感じ、浸り切るという体験もまた大切なのではないだろうか。この映像美は映画館で味わう他ない。
fromブライトマン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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