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なぜ彼は死を選んだのか?『そこにきみはいて』がいよいよ劇場公開!

2025年11月24日

©「そこにきみはいて」製作委員会

 

入籍を間近に控えた恋人を失い、心を閉ざした女性が、彼の知られざる内面を知るために恋人の親友である作家を訪ねる『そこにきみはいて』が11月28日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『そこにきみはいて』は、名づけられなかった感情や誰にも理解されない痛みを繊細かつ大胆な詩的リアリズムでつづったドラマ。海沿いの街を旅する香里と健流は、恋人というよりどこか家族のような関係だった。しかし入籍が近づいたある日、健流は突然、自ら命を絶つ。お互いにとって一番の理解者だと信じていた香里はショックを受け、健流と出会う前のように、他人に対して心を閉ざしてしまう。そんな中、香里は健流の親友だったという作家である中野慎吾のことを思い出し、彼のもとを訪ねる。健流の知らなかった一面を知るため、香里と中野は街をめぐる。

 

本作は、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』『四月の永い夢』等の映画監督で詩人としても知られる中川龍太郎さんが原案、『蜃気楼の舟』『の方へ、流れる』の竹馬靖具さんが監督・脚本を手がけた。『あの娘は知らない』『湖の女たち』の福地桃子さんが主人公の香里、『ナミビアの砂漠』『せかいのおきく』の寛一郎さんが健流を演じ、兒玉遥さん、朝倉あきさん、筒井真理子さんが共演。原案を手がける中川龍太郎さんが自ら中野慎吾役を務めた。

 

©「そこにきみはいて」製作委員会

 

映画『そこにきみはいて』は、11月28日(金)より全国の劇場で公開。関西では、11月28日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や心斎橋のkino cinéma 心斎橋や京都・烏丸御池のアップリンク京都、11月29日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

ポエトリカルで繊細な作品をインディペンデント映画として手掛けてきた竹馬靖具監督。遂に商業デビュー作品が公開となることが心から嬉しい限り。そして、タッグを組んだのは、中川龍太郎監督。彼の親友の自死をどのように受け止めていくか、について実体験をもとに描き、主人公の痛切な感情が観る者に熱く迫る『走れ、絶望に追いつかれない速さで』をさらに突き詰めたような内容であり、本作の原案として携わるだけでなく、出演していることに驚かされた。中川監督が演じた中野慎吾という作家の役は中川さん自身としか考えらず、自らが感じた絶望とさらに対峙して演じているようにしか感じられない。中野慎吾の親友である健流が本作では自死に至っているが、なぜ自死を選んだか、明確には表現されず…だが、本作の登場人物が抱えているものが次第に明かされていく中で、感じずにはいられないものがしっかりと描かれていく。まさに、ポエトリカルで繊細な作品を手掛けてきた竹馬監督だからこそ表現できた作品だと感じずにはいられない。本作を観ていると、中学生時代に自死を選んだ後輩のことを思い出さずにはいられなかった。彼は、健流が抱いたような絶望を感じていたのだろうか。今となっては分かるはずもないことだが…本作は、観る者によって様々な出来事に思いを馳せずにはいられない秀逸な一作である。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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