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撮影後は“誰かに何かしてあげたい”と思えるように…『愚か者の身分』林裕太さんと永田琴監督を迎えティーチイン付きヤングプレビュー試写会開催!

2025年10月9日

闇バイトの組織の手先となり、暗黒のビジネスに手を染めた少年たちが、兄貴分的存在の男性に助けられ、裏社会から抜け出そうとする『愚か者の身分』が10月24日(金)より全国の劇場で公開。10月9日(木)には、大阪・難波のTOHOシネマズなんばに林裕太さんと永田琴監督を迎えティーチイン付きヤングプレビュー試写会が開催された。

 

映画『愚か者の身分』は、第2回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤さんの小説を、北村匠海さん主演、綾野剛さんと林裕太さんの共演で映画化。愛を知らずに育った3人の若者たちが闇ビジネスから抜け出そうとする3日間の出来事を、3人それぞれの視点を交差させながら描き出す。タクヤとマモルはSNSで女性を装い、身寄りのない男たちから言葉巧みに個人情報を引き出して戸籍売買を行っている。劣悪な環境で育ち、気づけば闇バイトを行う組織の手先となっていた彼らだったが、時には馬鹿騒ぎもする普通の若者だった。タクヤは自分が闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在の梶谷の手を借り、マモルとともに裏社会から抜け出そうとするが……。
犯罪に手を染めながらも被害者を気にかける一面も持つ主人公のタクヤを北村さん、かつてタクヤに戸籍売買の仕事を教えた梶谷を綾野さん、兄のように慕うタクヤに誘われ、軽い気持ちで裏社会に足を踏み入れてしまったマモルを林さんがそれぞれ演じ、山下美月さん、矢本悠馬さん、木南晴夏さんが共演。Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズなどのプロデューサー集団「THE SEVEN」による初の劇場作品で、『Little DJ 小さな恋の物語』の永田琴さんが監督を務め、『ある男』の向井康介さんが脚本を手がけた。

 

今回、上映後には観客とのティーチインイベントが行われ、マモル役を演じた林裕太と永田琴監督の2人が登壇した。

 

まず、本作を振り返り、林さんは「この映画は“リレー”のように、バトンを繋いでいく物語だと思っています」と語り「その最終地点にマモルがいる。梶谷(綾野剛)やタクヤ(北村匠海)が“生きることを託して繋げていく”という話です」と説明。撮影中もそれ以外の時間も、北村さんや綾野さんと、このテーマについて何度も話し合っていたことを明かし「それが映像になって皆さんに届けられるのは本当に嬉しいです」「観終わった後に皆さんとお話しできるのがとても楽しみです」と笑顔を見せた。

 

 

さらに、先日開催された第30回釜山国際映画祭のコンペティション部門で、北村匠海さん・林裕太さん・綾野剛さんの3人がそろって最優秀俳優賞を受賞したことについても触れ「3人一緒に受賞できたことで、役者としても作品としても評価していただけた気がしました」と喜びを語った。そして、「現地で開催された授賞式には僕しか行けなかったんですが、知らせを受けたときは剛さんと匠海さんも一緒にいて、『あとは裕太にまかせた』と言われたんです。その思いを背負って、ガクブルのまま釜山でスピーチしました」と苦笑い。後日、日本でスピーチを見ていた北村さんから「素敵なスピーチをありがとう」とメッセージをもらったことも明かした。

 

続いて観客からの質問コーナーへ。脚本家志望の観客から「監督が日頃から作品づくりに向けて行っている日課はありますか?」と尋ねられると、永田監督は「ヨガです」と即答。撮影の体力作り目的に加えて「例えば自然。突然雨が降ったりとか、いろいろある中で、スタッフとのセッションもそうですし、いろんな事件がある」「それを冷静に<こうしましょうか>と判断をするために、とても大事」と精神面での効果を述べ「今冗談っぽく言いましたけど、そうではなくて、本当にやっています」と説明した。

 

 

また、タクヤが“鯵の煮付け”を調理するシーンについての質問では、永田監督が「匠海さんはこの撮影で初めて魚のさばき方を覚えました」と明かす。「何度も練習してもらいましたし、役柄上、見えない状態でもさばけるように練習していました。匠海さん自身も『料理はよくするけど魚はさばけなかったから、いい機会だった』と楽しんでいました」と思い返す。そして林も「あの煮付けを一緒に食べるシーンがすごく好きです。“いっぱい食べろ”という言葉は、“生きろよ”というメッセージにも繋がっている気がします」としみじみ。

 

「時間がなくて1シーンしか見直せないとしたら、どこを選びますか?」という難度の高い質問には、永田監督が「トイレに行く時間を削ってでも全部観ます!今からでも100回くらい観たい」と作品への溢れる愛を語る一幕も。一方の林さんは「歌舞伎町でわちゃわちゃしているシーン」と答え、「普段の自分では絶対できないことばかりで、あの数時間だけは本当に<僕の街>になりました(笑)」と振り返った。

 

 

また、金歯が印象的な組織の幹部ジョージ(田邊和也)や、彼の部下で関西弁を話す佐藤(嶺豪一)など、個性的なキャラクターについての質問が飛んだ。嶺さんは佐藤役のために10Kg増量、彼が話す関西弁の特訓は関西出身の監督自ら行ったというが、今回は大阪での上映ということもあり、永田監督が「佐藤の関西弁、大丈夫でしたか?」と観客に問いかける場面も。

 

本作のキャッチコピー「生まれ変わるんだ。」にちなみ「撮影前と撮影後で何か変わったことはありましたか?」という質問に、林さんは「すごく人が恋しくなりました」と回答。「この現場では本当に多くの人に支えられました。監督や匠海くん、剛さんだけでなく、スタッフの方々も僕に居場所をくれて、そのことがマモルという役にも繋がったと思います。撮影後は“誰かに何かしてあげたい”と思えるようになりました」と感謝を述べ、それを受けた永田監督が、キャストへの演技指導について「セリフが終わってもすぐにはカットをかけなかった」と明かす場面も。「セリフが終わっても、その後2人がどんな会話をするのか、放っておいたらどうなるのか、そういう“余白”を大事にしていました。カットがかかるまでの時間も役の延長として過ごしてもらえるよう、少しずつ時間をかけて撮っていました」と語るなど、作品づくりへの丁寧な姿勢をのぞかせた。そして最後は、観客に向かって林と永田監督からそれぞれ感謝を述べ、観客からの温かい空気に包まれながらイベントは締めくくられた。

 

 

映画『愚か者の身分』は、10月24日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、兵庫・神戸のOSシネマズミント神戸等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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