元カノの亡霊に会うため幽体離脱によって死霊の世界に足を踏み込む『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』がいよいよ劇場公開!

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霊の存在を信じるタイ東北部を舞台に、亡き恋人の亡霊と話がしたいと願う男性が、死者の世界へ行こうと試みる『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』が9月26日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』は、亡霊となって街を騒がせる元カノに会うため、幽体離脱の術を会得しようとする青年の姿を、ホラー、マルチバース、ドラマ、コメディなど多彩なジャンルを織り交ぜて描いた異色のタイ映画。タイ東北部のイサーン地方。霊の存在が信じられているこの土地で、多数の住民が妊婦バイカーオの亡霊を目撃する。しかし、同じ街に住む元カレのシアンのもとには、彼女の亡霊が現れない。どうしてもバイカーオに会って話がしたいシアンは、街でただひとりの葬儀屋を訪ね、幽体離脱の術を伝授してほしいと頼み込む。霊体になってバイカーオのいる死者の世界(マルチバース)へ行こうと考えたのだ。老い先短い葬儀屋は、息子とともに葬儀屋を継ぐことを条件に、指南を開始するのだが…
本作は、本国タイでは2023年に公開され、小規模上映から全国へ拡大し、その年の興行収入1位(日本円で約30億円)となる大ヒットを記録した。日本でも2024年の第19回大阪アジアン映画祭で上映され、反響を呼んだ(映画祭上映時のタイトルは『葬儀屋』)。
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映画『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』は、9月26日(金)より全国の劇場で公開。関西では、9月26日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、10月11日(土)より神戸・新開地のCinema KOBEで公開。

関西では、大阪アジアン映画祭を契機にして話題になっているタイ映画。本作は、昨年の映画祭で日本発上映され、『葬儀屋』(原題は、葬儀屋を意味するスラング「The Undertaker」)というシンプルなタイトルでありながら、独特のおもしろさが話題になっていた。そして、『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』という本作のストーリーを顕著に表した邦題によって劇場ロードショー公開されることが実に喜ばしい。まさに、タイのイサーン地方にある片田舎で、夜に遭遇する幽霊が主人公の元カレであり、どうにかして主人公が元カレに会うために四苦八苦する物語である。幽霊に遭遇する描写はホラーであるのだか、どうしても笑ってしまう描かれた方である。ホラーであるのだが、基本的にはコメディであるのが本作だ。昨今の日本で劇場公開されるタイ映画は、どちらかといえば、へなちょこなキャラクターが多い。本作においては、葬儀屋にはなれそうもない弱気なキャラクターだ。だからこそ、コメディとして成立している作品である。そんな彼がいかにして元カレに会おうとするか、がある種の魅力を放っている。そこから、マルチバースとして死者の世界が描かれていくのだ。最終的には、なぜだかほろっと泣けてしまうような作品に仕上がっているのが、タイ映画ならではの魅力である。気づけば、あらゆるジャンルの要素が詰まっていながらも、一つの作品に仕上げている監督の手腕に驚くばかり。現在、本作の続編について撮影が終了し、現在編集作業中とのことで、また日本の映画祭や劇場で上映される機会が今から楽しみな限りだ。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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