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『ラストタンゴ・イン・パリ』の撮影で一生消えない傷を負った女優マリア・シュナイダーの人生を描く『タンゴの後で』がいよいよ劇場公開!

2025年9月2日

2024 © LES FILMS DE MINA / STUDIO CANAL / MOTEUR S’IL VOUS PLAIT / FIN AOUT

 

ヴァネッサ・シュナイダーの著書『あなたの名はマリア・シュナイダー…』を基に、映画『ラストタンゴ・イン・パリ』の製作の裏側で、トラウマを負った女優を描く『タンゴの後で』が9月5日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『タンゴの後で』は、大胆な性描写と心理描写が大きな反響を呼んだ1972年のベルナルド・ベルトルッチ監督作『ラストタンゴ・イン・パリ』の舞台裏にあった出演女優の葛藤と怒りを描き、エンタテインメント業界における権力勾配や搾取といった問題に鋭く切り込んだドラマ。19歳のマリア・シュナイダーは気鋭の若手監督ベルナルド・ベルトルッチと出会い、『ラストタンゴ・イン・パリ』への出演でまたたく間にトップスターに上りつめる。しかし48歳のマーロン・ブランドとの過激な性描写シーンの撮影は彼女に強烈なトラウマを与え、その後の人生に大きな影を落とすことになる。

 

本作では、ベルトルッチ監督作『ドリーマーズ』でインターンとして働いた経験を持つジェシカ・パルーが監督を務め、マリアのいとこであるジャーナリストのバネッサ・シュナイダーの著作「あなたの名はマリア・シュナイダー:『悲劇の女優』の素顔」をもとに映画化。映画の撮影現場での問題について声をあげた最初の女性の1人であるシュナイダーの波乱に満ちた人生に焦点を当てて描き出す。『あのこと』のアナマリア・バルトロメイが主人公マリアを演じ、マット・ディロンがマーロン・ブランド役で共演した。

 

2024 © LES FILMS DE MINA / STUDIO CANAL / MOTEUR S’IL VOUS PLAIT / FIN AOUT

 

映画『タンゴの後で』は、9月5日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマで公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開予定。

今や撮影現場にインティマシー・コーディネーターがいることは求められ、必須にもなっている時代だ。俳優らの身体的接触やヌードなどが登場するシーンにおいて、役者の尊厳や心身の安全を守りながら、出演者側と演出側の意向を調整してシーンの真実性や正確性を担保することは必要である。だが、そんな存在などが気にもされなかった時代においては、どれほどに肉体的にも精神的にも過酷であったことだろうか。実際、『ラストタンゴ・イン・パリ』の主演であるマーロン・ブランドは「役者として拷問のような体験だった」と語っており、ヒロイン役のマリア・シュナイダーは波乱万丈の人生を余儀なくされ、この映画に出演した事を「人生最大の痛恨」と語っている。そういった作品について、ベルナルド・ベルトルッチ監督が亡くなって数年後の今こそ改めて検証するがごとく本作を製作する意義があるだろうか。だが、そんな作品においてマリア・シュナイダー役を演じることも負担が大きいものだ。そういった役を『あのこと』のアナマリア・バルトロメイが演じる事には否が応でも意義深さを感じざるを得ない。そして、インターンとしてベルナルド・ベルトルッチ監督の作品に携わったことがあるジェシカ・パルー監督が手掛けるならば、一方的な批判姿勢ではなく、真摯に向き合うことが出来ただろうか。本作の観客は、当時の撮影現場にいたかのような追体験をしながらも、マリア・シュナイダーの心情をより深く理解しながら、彼女の名誉を取り戻すことになるのならば、意義ある作品になることを願いたい。そして、世界の撮影現場で同様の事態にならないことを願うばかりだ。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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