Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

みんな何かを抱えている…熊切和嘉監督・金田敬監督と大阪芸大の学生がタッグを組んだ『メイソウ家族』がいよいよ劇場公開!

2025年8月26日

©大阪芸術大学

 

大阪芸術大学が所蔵する学生作の3つの脚本を在学生がアレンジし、これまで交わることのなかった平凡な家庭の崩壊、あるカップルの顛末、失声症の少女と教師の交流がひとつの世界を作り上げる『メイソウ家族』が8月29日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『メイソウ家族』は、西日本最大級の総合芸術大学として知られる大阪芸術大学映像学科の学生達が、映像業界のプロとタッグを組んでドラマや映画を製作する「産学協同プロジェクト」にて生まれたオムニバス映画。お互いに向き合わなくなった4人家族の崩壊と思いがけない修復の糸口を描いた第1話「YUI」、第1話の5年後を舞台に、正体不明の生物を車で轢いて死なせてしまったカップルの運命を追う第2話「MONOS」、失声症で言葉を話せなくなってしまった中学生と彼女の個別指導を任された国語教師の交流を瑞々しくつづった第3話「UMI」で構成。

 

本作では、第1話には戸田菜穂さん、永野宗典さん、三浦理奈さん、高村佳偉人さん、第2話には大阪芸術大学の現役学生である秋庭悠佑さん、第3話には西岡奏さん、木村了さんが出演。大阪芸術大学に所蔵されていた学生作の3本のシナリオを在学生たちがアレンジし、交わるはずのなかった3つの物語が1つの世界でつながっていく様子を描き出す。大阪芸術大学の卒業生・教員である熊切和嘉監督が第1話と第3話、同じく卒業生・教員の金田敬監督が第2話のメガホンをとった。

 

©大阪芸術大学

 

映画『メイソウ家族』は、8月29日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。

大阪芸術大学の卒業生であり、教員でもある熊切和嘉監督と金田敬監督。1990年代に台頭した大阪芸術大学出身のエッジの効いた監督である2人が、学生によるシナリオを携えて作品化する本企画は、大変に興味深い。学内に所蔵されていた学生による3本の独立したシナリオを、現在学生たちがアレンジし、繋ぐことが出来たのだから、才能を発揮できる機会があることは喜ばしい限りだ。それぞれの作品をつなぐキーアイテムがある。また、物語の中で起こる事象についても、原因が最初から明確には描かれていないので、ストーリーのリンクが気になってしまう。最終的には全てが繋がっていることが明らかになった時、まるで伊坂幸太郎さんの小説を読んでいるかのような気分になった。そして、3つのシナリオの共通しているテーマのの根底には”すくう”というキーワードがあるように感じられてならない。第1話「YUI」と第2話「MONOS」に関しては、各監督の個性や作家性を大いに発揮しているように感じられる。そして、3話「UMI」に関しては、熊切和嘉監督の『武曲 MUKOKU』を観ているかのようなエモーショナルな作品でもあった。その傍らには、”あらかじめ決められた恋人たちへ”の池永正二さんによる劇伴が大いに功を奏している。産学協同プロジェクトとして、世界を繋ぎ光をもたらすような作品を手掛けるのなら、今後のプロジェクトも大いに期待したい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts