“少しだけ人の気持ちが見えてしまう”高校生たちの青春ラブストーリー『か「」く「」し「」ご「」と「』がいよいよ劇場公開!

©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会
ある生徒の不登校をきっかけに、5人の高校生たちの思いが交錯する『か「」く「」し「」ご「」と「』が5月30日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『か「」く「」し「」ご「」と「』は、“少しだけ人の気持ちが見えてしまう”という能力をそれぞれ隠し持つ高校生の男女5人が織りなす、もどかしくも切ない日々を描く青春ラブストーリー。引っ込み思案で自分に自信が持てない高校生・大塚京は、ヒロインではなくヒーローになりたいというクラスの人気者・ミッキーこと三木直子が気になって仕方ないが、マイペースなパラこと黒田文と一緒に楽しそうにしている彼女のことを遠くから見つめるだけの日々を送っていた。京の親友で三木の幼なじみでもあるヅカこと高崎博文の存在を通して、卒業まで“友だちの友だち”として過ごすはずだった。そんなある日、内気なエルこと宮里望愛が学校に来なくなったことをきっかけに、5人の思いが動きだす。
本作は、『君の膵臓をたべたい』などで知られる作家の住野よるさんによる小説を、『MOTHER マザー』の奥平大兼さんと『赤羽骨子のボディガード』の出口夏希さんの共演で映画化した。京を奥平さん、ミッキーを出口さんが演じ、アイドルグループAぇ! groupの佐野晶哉さんがヅカ役、『月の満ち欠け』の菊池日菜子さんがパラ役、『違国日記』の早瀬憩さんがエル役で共演。『少女は卒業しない』の中川駿さんが監督・脚本を手がけた。
©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会
映画『か「」く「」し「」ご「」と「』は、4月25日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のなんばパークスシネマ、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。

非常に繊細な感情の描写を描くことに長けている中川駿監督の作品。特に『カランコエの声』以降は、高校のクラスを舞台に、中高生でしか感じ得ない複雑で繊細な感情を緻密に描いてきた。今回は、『君の膵臓をたべたい』『青くて痛くて脆い』の住野よるさんによる小説であり、住野さんがプロデューサーと共にじっくりと探した上で中川監督を選んだことが資料によって知ることができた。原作小説は、連作短編として構成されており、その魅力を落とさずに素晴らしい映像化が成されているように感じる。高校生ならではの繊細な感情を作中では象徴的に“少しだけ人の気持ちが見えてしまう”という能力として扱っており、予告編にもある通り、誰がどのような能力を用いているか、はここでは書かないでおく。また、個々人の能力に視点を置いたストーリーテリングの分量も絶妙なバランスで配分されていることが秀逸だ。連作短編を束ねていながらも、1つの作品として成立するように巧みな脚本を中川監督が手掛けていることにも驚かされるばかり。さらには、蓮沼執太さんを筆頭に手掛けている劇伴の音楽が、繊細な感情に寄り添うように奏でられており、観る者もこの繊細な感情の変化を感じ取ろうとすることに集中することができる。ふと気づけば、タイトルにある”かくしごと”は、不思議な能力を指し示しているだけでなく、各々の感情や揺れ動きでもあるように感じられた。繊細な感情を表現している箇所が至るところが込められており、最終的には実に味わい深く愛おしい作品として胸に残っている。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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