運命の悪戯に惑う若者の“青春の終わり”を描く『ソウル・オブ・ア・ビースト』がいよいよ関西の劇場でも公開!
©2021 HESSE FILM GmbH / 8HORSES GmbH
若くして父親になり子育てをしている青年が、子供がいることを隠してひと夏の恋に浮かされる様を描く『ソウル・オブ・ア・ビースト』が12月20日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『ソウル・オブ・ア・ビースト』は、謎めいた女性と恋に落ちた17歳の若き父親が、責任と自由、恋愛と友情、現実と幻想など相反するものの狭間で葛藤する姿を描いたスイス発の青春映画。17歳で子持ちのガブリエルは、息子ジェイミーの母親ゾエが精神的な問題から育児に参加しないため、ひとりで子どもを育てている。まだ遊びたい盛りのガブリエルはネットでジョエルという青年と知りあい、子どもがいることを隠したまま、ジョエルの恋人である謎めいたコリーと強くひかれあう。2人の行動に傷ついたジョエルはコリーの心を取り戻そうと奔走し、3人の恋の炎は激しく燃えあがっていく。
本作は、新星パブロ・カプレツが運命に翻弄される青年ガブリエルを美しくも荒々しく演じ、スイス映画賞で主演男優賞を受賞。『RAW 少女のめざめ』のエラ・ルンプフがコリー、スカウトで発掘されたトナティウ・ラジがジョエルを演じ、『ブルー・マインド』のルナ・ベドラーが共演。日本の美学や歴史、文化に影響を受けてきたロレンツ・メルツ監督が、漫画「子連れ狼」からの発想も織り交ぜながら撮りあげた。
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映画『ソウル・オブ・ア・ビースト』は、関西では、12月20日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、12月21日(土)より神戸・新開地のCinema KOBEで公開。
キャッチコピーだけを見ていると、いわゆる大人向けの青春恋愛映画なのかな?と思っていたら、ファンタジックでカオスな映画であった。ストーリーの大筋としては、17歳でありながらも子持ちであり、可能な限りに子育てを頑張る青年が、友人の恋人に惹かれていく姿を描いていく。だが、時折、ストーリーに関係あるのか判断しづらい日本語ナレーションが入り込んでくる。どうやら、本作を手掛けたロレンツ・メルツ監督が、日本の美学や歴史、文化に大きく影響を受けており、それを作品に反映すると共に、「子連れ狼」からもインスピレーションを得て制作したようで。なるほど…主人公を若き武士に例えている!?凄まじい想像力を発揮する方だな。さらに、本作をカオスにしているのが、動物園から抜け出した危険な動物が人間の生活圏に迷い込んでしまったこと。ストーリーの本流には影響がなさそうな描写をしているのだけれども、まったく登場人物に絡まないわけがない。最終的に、何を本作を見せたいのだろうか、と考え込んでしまう。いや、観る者の感覚に委ねようとしているのか!?それでも、作品として成立しているように感じられる…まさに不思議な映画である。その真髄こそが『ソウル・オブ・ア・ビースト』というタイトルに込められている、と考察してみようか。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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