Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

人体の神秘と人間の恐怖の根源を探るドキュメンタリー『人体の構造について』がいよいよ劇場公開!

2024年11月18日

©Norte Productions – CG Cinema – S.E.L – Rita Productions – 2022

 

パリ北部郊外の5つの手術室を舞台に、臓器や手術の様子を医師の視点から見つめる他、死と隣り合わせの職場に勤める医療従事者や、霊安室で行われる仕事内容などが映し出される『人体の構造について』が11月22日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『人体の構造について』は、医師の視点から外科手術を見つめ、人体の神秘と人間の恐怖の根源に迫ったドキュメンタリー。パリ北部近郊の5つの病院のオペ室を舞台に、普段は決して見ることのできない手術時の医師視点のカメラや内視鏡カメラなどの映像を使用しながら、脳や大腸、眼球、男性器などさまざまな外科手術や帝王切開の模様を映しだす。さらに、死と隣りあわせの職場で働く医療従事者たちの心境や、死体安置所での「おくりびと」たちの仕事ぶりをとらえ、医療とは何か、そして肉体と魂とは何かという疑問を探る。

 

本作の監督は、2004年の長編デビュー作『リヴァイアサン』で世界的に注目を集めたハーバード大学感覚人類学研究所の人類学者監督コンビ、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー&ベレナ・パラベル。医学者で解剖学者の養老孟司さんが日本語字幕監修を担当している。

 

©Norte Productions – CG Cinema – S.E.L – Rita Productions – 2022

 

映画『人体の構造について』は、11月22日(金)より全国の劇場で公開。関西では、11月22日(金)大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都や神戸・三宮のシネ・リーブル神戸、11月29日(金)より大阪・心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋で公開。

「医療現場の構造について」と言い換えることのできるドキュメンタリーだった。

 

ある看護師は「320日徹夜しても待遇は同じ」とぼやく。昼夜を問わず病院に担ぎ込まれる重症・重病の患者たち。人員や物資の十分な補給ができないまま繁忙している場のことを「野戦病院のようだ」と比喩する表現があるが、街中の大病院で忙殺される医師や看護師、スタッフたちの姿はまさに命を支える戦いの場だ。

 

脳外科手術の最中に談笑する医師たち(もちろんオペは真剣そのもので行われている)。患者の損傷した背骨を機械を修理するように金具とハンマーで治療する金属音。雑談しながら男性器に管を通していくスタッフ(こちらも当然施術は真剣である)。人間の命を構成する臓器や骨格の様子が淡々と映し出され黙々と治療されていく様に、人体とはこれらのパーツの集合なのだな、とあらためて認識させられる。

 

原題の「De corporis humani fabrica」は、意味は邦題と同じ「人体の構造について」であり、神聖ローマ帝国の医師であり学者のヴェサリウスが記した「ファブリカ(解剖図)」の書名として知られている。人体解剖学を切り拓いた始祖によってブレイクスルーを起こした古典の書物である。人類が医療に取り組み、戦ってきた歴史の蓄積を受けて描かれる本作のタイトルにふさわしい。医療の現場に関係しない人であれば、おそらく通常は知りえない場面をいくつも目の当たりにできる硬質のノンフィクションなので、見ごたえは保証したい。

 

エンディングの狂騒は、過酷な職場環境に身を置く彼らにもストレス発散の場があるんだなと受け取るべきなのか、それとも。。。?

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts