時代の変化についていけない映画監督の悲喜交々を描く『チネチッタで会いましょう』がいよいよ劇場公開!
©2023 Sacher Film-Fandango-Le Pacte-France 3Cinema
時代の変化に適応できず次々とトラブルに襲われる映画監督の姿を、巨匠たちの作品へのオマージュや、ナンニ監督の過去作品を交えてユーモラスに描く『チネチッタで会いましょう』が11月22日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『チネチッタで会いましょう』は、時代の変化についていけない映画監督が痛い目にあって初めて大切なことに気づく姿をユーモラスにつづったヒューマンドラマ。イタリアの映画監督ジャンニは、これまで40年間、プロデューサーの妻に支えられながら映画を制作してきた。チネチッタ撮影所での新作撮影を目前に控え、頭の中はアイデアでいっぱいのジャンニだったが、順調だと思っていたのは本人だけだった。女優は演出に口を出すばかりか政治映画をラブストーリーだと言い出し、娘に紹介されたボーイフレンドは自分ほどの年齢だという。誰にも理解されず、ひとり帰宅して目を覚ますと、今度は妻から別れを切り出されてしまう。さらにプロデューサーが詐欺師であることが発覚し、資金不足で撮影が止まってしまう。
本作では、『ローマ法王の休日』『息子の部屋』等で知られるイタリアのナンニ・モレッティ監督が、主人公の映画監督ジャンニを自ら演じ、モレッティ作品の常連俳優マルゲリータ・ブイ、フランスの名優であり映画監督でもあるマチュー・アマルリックが共演。2023年の第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された。
©2023 Sacher Film-Fandango-Le Pacte-France 3Cinema
映画『チネチッタで会いましょう』は、11月22日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
イタリア出身のナンニ・モレッティは、40歳にして、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭の世界三大映画祭全てで賞を受賞したイタリアを代表する映画監督である。そして、作品によっては、監督・脚本・原案・出演・製作の全てまでこなすマルチプレイヤーである。まさに生粋の映画好き監督だ。そんなナンニ・モレッティが本作において21世紀における映画製作の大変さを自らを以て本作で表現している。演じるのは、主人公である映画監督ジャンニ。自分にとってはこれが最高の表現だと思っていても、相手にとっては同じようには感じられず、ひたすらに空回りしてしまう。自身の作品だけならまだしも、妻の監督作品にまで口を出してしまう始末。挙句の果てには、巨匠の映画監督友達のマーティン・スコセッシのアドバイスまでもらおうとするのだから、周囲は誰も止められない。そして、今や配信映画のニーズがある中で、表現の規制がない風潮では、映画芸術の未来まで絶望しそうにもなってしまう。そんな現代において彼がどのような作品を求めるのが是非とされるのか。自らの身を以て現代の映画業界における悲喜交々を描いていく。様々な皮肉を込めながらも、改めて現代に求められる総合芸術としての映画とは何なのか訴えていた。…と書いてしまったが、肩ひじ張らずに存分に楽しめる作品なので、是非とも劇場で観てみよう。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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