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核戦争の脅威を描き、世界的なセンセーションを巻き起こしたイギリス製アニメーション『風が吹くとき』が日本語吹替版でリバイバル上映!

2024年7月30日

©Channel Four Television Corporation 2001

 

素朴で純真な人々が、それゆえ巻き込まれていく戦争の恐ろしさを淡々と描いたショッキングなアニメ『風が吹くとき』の日本語吹替版でのリバイバル上映が8月2日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『風が吹くとき』は、核戦争の恐怖を描いた1986年製作の名作アニメ。イギリスの片田舎で平穏に暮らすジムとヒルダの夫婦は、二度の世界大戦をくぐり抜け、子どもも育て上げ、いまは老境に差し掛かっている。そんなある日、2人は近く新たな世界大戦が起こり、核爆弾が落ちてくるという知らせを聞く。ジムは政府が配ったパンフレットに従ってシェルターを作り備えるが、ほどなくして凄まじい爆風に襲われる。周囲が瓦礫になった中で生き延びた2人は、政府の教えに従ってシェルターでの生活を始めるが…

 

本作は、「スノーマン」「さむがりやのサンタ」で知られるイギリスの作家であるイラストレーターのレイモンド・ブリッグズによる絵本を原作に描いたアニメーション映画。監督は、長崎に住む親戚を原爆で亡くしているという日系アメリカ人のジェームズ・T・ムラカミ。音楽をロジャー・ウォーターズ、主題歌をデビッド・ボウイが手がけたことも話題。日本語吹替え版は大島渚さんが監修し、ジムとヒルダの声を森繁久彌さんと加藤治子さんが担当した。1987年に日本初公開。2008年7月には、デジタルリマスター版が公開。今回、2024年8月に吹き替え版でリバイバル公開。

 

©Channel Four Television Corporation 2001

 

映画『風が吹くとき』は、8月2日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

核戦争の恐怖を描いた名作アニメである本作。ウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ戦争が現在も続いていることで、悲しくも現代においてもリアリティがある作品である。今回、日本語吹替版であることから、原子爆弾を投下された国としても、福島第一原子力発電所事故が起きた国としても、より一層にリアリティがあった。本作冒頭では、戦争が本当に起きているのか分からない光景が映し出されていく。だが、次第に危険なことが起こり得る可能性が徐々に高まってきた。それでも、夫婦の間には、のほほんとした空気が流れていくのがバイアスがかかっているようで、翻って恐ろしい。政府が発行するパンフレットには核爆弾対策が書かれているのだが、モノによっては異なっており信憑性は怪しかった。しばらくすると、核爆弾による強烈な爆風を受けることに…その爆風には何が含まれているか、今なら容易にわかってしまう。だが、目の前に映し出される夫婦には分からない。最終的にどうなってしまうのか、想像できるだろう。観終えた頃にはどんよりとした気分になってしまう方は確実にいると思うが、今だからこそ本作を観る意義がしっかりとある、と受けとめておきたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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