罪を背負いもがきながら自分の愛し方をまっとうしようとする姿を鮮烈に描く『熱のあとに』がいよいよ劇場公開!
©2024 Nekojarashi/BittersEnd/Hitsukisya
愛する恋人を刺した過去を持つ女性が、服役を終え、違う男との結婚を経て愛し方を模索していく姿を描く『熱のあとに』が2月2日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『熱のあとに』は、愛する男を殺そうとした過去を持つ女の一途で狂気的な激情を静謐な映像で描いたドラマ。自分の愛を貫くため、ホストの隼人を刺し殺そうとして逮捕された沙苗。事件から6年後、彼女は自分の過去を受け入れてくれる健太とお見合い結婚し、平穏な日常を過ごしていた。しかしある日、謎めいた隣人女性の足立が沙苗の前に現れたことから、運命の歯車が狂い始める。
本作では、2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得て描かれる主人公である沙苗を橋本愛さんが演じ、沙苗の夫である健太役を『すばらしき世界』の仲野太賀さん、物語の鍵を握る謎の隣人である足立役を『わたし達はおとな』の木竜麻生さんが演じ、坂井真紀さん、木野花さん、鳴海唯さん、水上恒司さんが共演する。東京藝術大学大学院での修了制作『小さな声で囁いて』で注目された若手監督の山本英さんによる商業映画デビュー作。2023年の第28回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門、第24回東京フィルメックス・コンペティション部門に出品された。
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映画『熱のあとに』は、2月2日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件。現在も被害者と加害者が生きている中で、よくぞ独自のインスパイアでここまでの作品を仕上げたことに畏れ入る。主人公の女性は、何者でもない存在として設定しながらも、内に抱える思いは、スイッチが入れば、いとも簡単に狂気に満ちていく。出所して何事も起こさないように平然と日々を過ごすことに努めようとするが、周囲にいる者は彼女を許そうとはしない。それでも結婚に至る者がいれば、じわじわと近づき狂気に目覚めようとする者もいる。狂気は伝播していくことを体現したような物語でもあった。作品を観る側にとっては、いつとんでもないことが起きてもおかしくない、と腹を括って観ることになるだろう。だが、彼女の深層心理を見極めていくと、クライマックスに至るまでの展開に納得できる。最終的には、日常にある非日常的な出来事を見せられたような気がした。或る種、鮮烈な物語の終わりであり、商業映画デビュー作にして至高の作品を作り出した才能に驚かざるを得ない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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