17歳の喪失と恋愛を描く『Winter boy』がいよいよ劇場公開!
©2022 L.F.P・Les Films Pelleas・France 2 Cinema・Auvergne-Rhone-Alpes Cinema
父の死によって喪失感を抱えた少年が、兄の住むパリで刺激的な日々を送る様を描く『Winter boy』が12月8日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『Winter boy』…
冬のある夜。寄宿舎で暮らす17歳の少年リュカは父が事故死したとの連絡を受け、アルプス山麓の実家に帰る。愛する父の死に直面し、大きな悲しみと喪失感にさいなまれるリュカ。葬儀の後、兄に連れられて初めてパリを訪れたリュカは、兄の同居人である年上のアーティスト、リリオと出会う。優しいリリオに心惹かれるリュカだったが、リリオにはある秘密があった。
本作は、『愛のあしあと』『今宵、212号室で』等で知られるフランスのクリストフ・オノレ監督が自身の少年時代を題材に、思春期の恋愛や父の死による喪失と再生を描いた半自伝的映画。俳優イレーヌ・ジャコブを母に持つ新星ポール・キルシェが主人公リュカを演じ、2022年の第70回サン・セバスチャン国際映画祭で主演男優賞を受賞。『イングリッシュ・ペイシェント』のジュリエット・ビノシュがリュカの母、『アマンダと僕』のバンサン・ラコストが兄を演じた。『フラワーズ・オブ・シャンハイ』『プラスティック・シティ』の半野喜弘さんが音楽を担当している。
©2022 L.F.P・Les Films Pelleas・France 2 Cinema・Auvergne-Rhone-Alpes Cinema
映画『Winter boy』は、12月8日(金)より全国の劇場で公開。関西では、12月8日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都や神戸・三宮のシネ・リーブル神戸、12月29日(金)より大阪・難波のなんばパークスシネマで公開。
思春期真っ盛りで多感な17歳の主人公が、ある日突然に父親を亡くしてしまったら、目の前が真っ暗になったような気分になり、自暴自棄になってしまいかねないだろう。死というものを通じて、自らを見つめ直し、アイデンティティを確立する機会に成り得る可能性もあるが、簡単なものではない。そんな状況下、彼を支えたのは、残された家族やその友人らだ。心を癒すと共に、良い意味で刺激的な日々を過ごせそうでもあるが、やはり危うさは隠しきれない。そんな非常に繊細な役をオーディションによって選ばれた新人俳優が演じているのだから、両親も俳優とはいえ驚かされる。なお、最後まで観終えると、本作が監督の自伝的ストーリーであることを認識すると共に、その父親を自ら演じていることにも気づかされた。また、音楽は半野喜弘さんが手掛けており、少年の危うさや脆さを奏でると共に、寄り添うような優しさも織り込んでおり、光や希望を感じさせてくれる一作に仕上げられている。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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