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生きていたら色々あるけれども、それでも明日も生きていこう、と思ってもらえたら…『はこぶね』木村知貴さんと高見こころさんと大西諒監督を迎え舞台挨拶開催!

2023年9月1日

小さな港町を舞台に、事故で視力を失った男が、帰郷した幼なじみの女性と再会する様子を描く『はこぶね』が、「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」の一作として9月1日(金)・9月2日(土)に大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で公開。9月1日(金)には、木村知貴さんと高見こころさんと大西諒監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『はこぶね』は、新人監督の大西諒さんが、視力を失いながらも感性を失わずに生きようとする男が周囲の人々に影響をもたらす姿を描いた作品。事故で視力を失った西村芳則は、小さな港町で、ときに伯母に面倒を見てもらいながら生活している。かつて一緒に通学していた同級生の大畑碧は、東京で役者をしながら理想と現実の狭間で憂鬱なときを過ごしていた。ある日、西村は大畑と偶然再会する。窮屈だが美しい町を眺める2人は、その景色にそれぞれの記憶と想像を重ねていく。中途視覚障害の青年という難役でもある主人公の西村を、インディーズから商業作品まで数多くの作品で活躍する木村知貴さんが務めたほか、大畑役で高見こころさん、西村の伯母役で内田春菊さんなど実力派の俳優が共演している。若手監督の登竜門である第16回田辺・弁慶映画祭で弁慶グランプリ、観客賞、フィルミネーション賞を受賞し、主演の木村知貴さんにもスペシャルメンションが贈られた。また、第23回TAMA NEW WAVEでもグランプリおよびベスト男優賞を受賞するなど初長編作ながら高い評価を獲得している。

 

上映後、木村知貴さんと高見こころさんと大西諒監督が登壇。高見こころさんが司会を担い、現場の空気感が伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

伊藤亜紗さんの新書「目の見えない人は世界をどう見ているのか」を読んだことがきっかけで本作を制作した大西監督。2020年3月に短編作品として脚本を書き終えた頃、木村さんも台本を読んでいたが、コロナ禍を迎え撮影に臨めない状態に。そこで、木村さんから「長編化しないか」と提案してもらった。高見さんは、木村さんが演じた西村について当て書きだと感じ取れたが、実際はあくまでオーディションによって木村さんが選ばれており、大西監督は「木村さんと直接お話しする機会はなかった。普段の姿を知らなかったので、偶々話し方等が近かった」と明かす。木村さんは短編作品のシナリオが公開されているオーディションを見つけて応募しており「バス停でのシーンがラストになっているシナリオを読んだ時、短編でも纏まっていて、心地良いな、と思った。その後が観たくて、長編にしないか、と伝えた」と振り返る。

 

高見さんは木村さんから本作のオーディションを紹介してもらい参加してみることに。オーディションでは、このバス停でのシーンを演じており、印象深かった。大西監督は脚本を書きながら「目の見えない自分は相手からどのように見えているか分からない不安感をどのように表現したらいいか」と木村さんと相談し、”透明人間”というキーワードが思い浮かんだ。木村さんは、長編作品の脚本について、自身が言いたい台詞を依頼しており「俺、昔はゴールド免許だったから」の件を追記してもらっている。実際、木村さんはゴールド免許を保持しており、高見さんは木村さんの運転技術を絶賛。現場では、主人公の祖父を演じる外波山文明さんが、主人公の名前を間違えたことがあり、木村さんはその姿をチャーミングに感じた。大西監督は、主人公の西村と高見さん演じる大畑がバス停で最初に出会うシーンを気に入っており、高見さんも共感し、キュンとするポイントになっていた。

 

西村を演じるにあたり、木村さんは監督と共に東京・新宿にある支援センターへ訪問し、お話を伺っている。とはいえ、西村の芯にある部分について「自分に近いところがある。あぁいう男です、僕は。あぁいう感じでいつも過ごしている気がする。感覚的に近いところがあるので、演じにくいところがなかった」と話す。だが、普段の木村さんを知っている高見さんはツッコミを入れるばかり。大西監督は、木村さんと本作の脚本を共に作る時間が長かったことから「役作りの擦り合わせが進められた」と助かっていた。その際に「中途失明者の代表者として演じてもらうのではなく、あくまで西村という人間が何を感じているのか」と考えて、脚本に盛り込んでいる。

 

ここで、8月31日に45歳の誕生日を迎えた木村さんを高見さんが可愛くドレスアップ。記念撮影を経て、高見さんは「大阪で『はこぶね』を観てもらえて凄く嬉しいです。もっといろんなところに行きたいと思っていますので、是非ともSNSに感想をアップして頂けたら嬉しいです」とメッセージ。劇場の近所に住んでいたことがある木村さんは感慨深くなりながらも、本作を観たお客さんに向けて「生きていたら色々あるけれども、それでも明日も生きていこう、と思ってもらえたら」と願いを込めていく。最後に、大西監督は「テアトル新宿で1週間上映し、観終わったお客さんにお声がけ頂いたりSNSに感想を書いて頂いたりすることが嬉しいです。様々な方とお話しできたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『はこぶね』は、「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」の一作として大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で公開。9月2日(土)も木村知貴さんと高見こころさんと大西諒監督を迎え舞台挨拶が開催される。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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