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山田洋次監督が新しい撮り方に挑戦し、どの世代が観ても共感できるしスリリングでハラハラもする…『こんにちは、母さん』吉永小百合さんと大泉洋さんを迎え舞台挨拶開催!

2023年7月10日

家族問題に頭を悩ませる男が活き活きと暮らす母に感化され、見失っていたものに気づいていく姿が描かれる『こんにちは、母さん』が9月1日(金)より全国の劇場で公開される。7月10日(月)には、大阪・阿倍野の あべのアポロシネマに吉永小百合さんと大泉洋さんを迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『こんにちは、母さん』は、山田洋次監督が吉永小百合さんを主演に迎え、現代の東京・下町に生きる家族が織りなす人間模様を描いた人情ドラマ。同じく山田監督と吉永さん主演の『母べえ』『母と暮らせば』に続く「母」3部作の3作目にあたり、劇作家の永井愛さんによる戯曲「こんにちは、母さん」を映画化した。大会社の人事部長である神崎昭夫は、職場では常に神経をすり減らし、家では妻との離婚問題や大学生の娘との関係に頭を抱える日々を送っていた。そんなある日、母・福江が暮らす下町の実家を久々に訪れた彼は、母の様子が変化していることに気づく。いつも割烹着を着ていた母は艶やかなファッションに身を包み、恋愛までしている様子。実家にも自分の居場所がなく戸惑う昭夫だったが、下町の住民たちの温かさや今までとは違う母との出会いを通し、自分が見失っていたものに気づいていく。
母の福江を吉永さん、息子の昭夫を大泉洋さんが演じ、永野芽郁さん、寺尾聰さん、宮藤官九郎さん、田中泯さん、YOUさんが共演した。

 

今回、上映前に吉永小百合さんと大泉洋さんが登壇。親子役での共演もありアットホームな雰囲気の中で舞台挨拶が繰り広げられた。

 

山田洋次監督作品には8年ぶり6本目の出演となる吉永さんは「今回の監督は今までになく気合いが入っている。新しい映画を作るんだ、という思いが込めらています。だから、叱られることもありましたけれども、新しい作り方で作った家族の映画だと思います」と紹介し「私も家族の一員になって一生懸命にやって、映画を皆さんに観て頂くのが今から嬉しくてワクワクしている」と楽しみにしている。大泉さんは、吉永さんと初共演であり、山田監督作品への出演も初めてで「吉永さんと私が親子。今並んでいると見れないかもしれませんが」と控えながら「現場に入りますと、お母さんにしか思えなかった。こんなに美しい母はいないんですけど。私の母はこんな人ではないんですけども」と謙遜。「撮影現場でもお母さんにしか思えないような。とにかく幸せでしたね、2ヶ月間も、こんな素敵な母と過ごせたというのは」と懐かしみながら「山田洋次さんとの撮影は本当に楽しくて。色んな事を話してくれるんですね。そのシーンに入る前に、『実はね、こんなことがあって僕はこういうシーンを書いたんだ』と話してくれるもんですから、非常に自分の役も膨らませやすかったですし、楽しい撮影でした」と感謝している。

 

 

役作りにあたり、吉永さんは「”役作り”というような役作りはないんですが」と留めながら「今回は、足袋屋の女将さんなんですよね。下町で夫が死んでしまって、その足袋屋で一生懸命生きている人なんで、おばあちゃんの気概みたいなものを出したい」と意気込みながら「東京の隅田川の近くというのは、皆とってもおもしろい人達が住んでいます」と紹介。台詞に関して「息子に向かって『おまえ』って言うんです。映画の中で『おまえ』って息子に声をかけたのは初めてなんで、かなり画期的なことでした」と驚いており「自分でも『あぁ、こういう風に言うんだ』と思って、言い聞かせてやりました」と話す。今となっては「とてもおもしろい楽しい仕事でしたね」と懐かしんでいる。人事部長役を演じた大泉さんは「人事部長は始めてやりましたね。ついこないだまでは刑事をTVでやらせて頂きましたけども」と表しながら「同僚の肩を叩かなきゃいけない役というのは辛いんだろうな」と想像。「自分の辛さみたいなものを、どこかお母さんに甘えたくて、なんとなく実家に行くんですけれども。そこで母親に甘えているんでしょうけども。お母さんに対して辛いことを言ってしまう」と演じたキャラクターを紹介しながら「男にとって母親はそういう存在になるには分かるな。私も北海道に帰ると、愚痴みたいなものをつい言ってしまったり、言い合いをすると、つい『うるさいよ、分かっているよ』と言ってしまったりするものですから、今回の昭夫さんの気持ちはよく分かるな。辛いんだろうな」と共感できた。

 

撮影前には大泉さんから吉永さんにお写真を渡したようで、吉永さんは「素晴らしい写真を沢山お借りしたんですよね。その中で、小さな坊やが公園で鳩を見ている写真、たぶんお母さまがお撮りになったんじゃないかな、と思うような写真がありましたし。また一方で、お風呂から出てきたばかりの坊や、誰にも見せられないけど『これが私の息子なんだ』と感じさせてくれる素晴らしい写真も見せてくれたんですね」と有り難く感じている。大泉さんは知らなかったようで「どういう写真が送られているんだろうか、事務所経由なので分からない。まさか風呂上りの裸の写真を送っているとは思わなかった」と恥ずかしながらも「吉永さんに観て頂いた、というのは勿論知っていたんですが、それが本編に使われているんですよね。びっくりしました。私も試写で観て『あ、使ってる!』。その許諾は無かったんですけどね」と驚愕。とはいえ「嬉しかったですね。自分の子供の頃の写真が山田洋次さんの映画に使われている」と喜んだ。

 

 

現場では待ち時間に話すこともあり、吉永さんは「大泉さんはとっても聞き上手。普段、私はプライベートの話はしないんですけれども、なんとなく誘われて、ついつい色々あらぬことまで喋ってしまった」と苦笑い。大泉さんは「今回、監督の撮り方が長回しで。ということは、シーンの台詞を全部入れていなきゃいけないから、小百合さんもずっと現場にいてくれるわけではなくて、御自身の控室に戻られることが多かったんですよ。台詞も多いから集中なさっているんだろうな」と察していたが「偶に出てきた瞬間に記者のように張り付いていました。『若さの秘訣は』『どういう運動をなさっているんですか』と雑誌の記者さんのように色々聞いていましたね。でも、くだらないことばっかり聞いてました。『今日はこの後何食べるんですか』『どんなものがお好きなんですか』ですかねぇ」と現場の空気を解していた。

 

印象的なシーンについて聞かれ、吉永さんは「あるシーンで昭夫さんが追い詰められて私の家へ逃げて来るんです。その時に、私がパッとかばってあげて、昭夫さんが私の後ろに隠れるというおちゃめなシーンがあるんです」と詳細。大泉さんは「宮藤官九郎さんが怒って喧嘩になるんです。思わず私は吉永さんを盾にしまして。気が付けば吉永さんの後ろに私は隠れていました」と詳細を話し「情けない男ですよね。本来ならば守らなきゃいけないんですよね。なんか甘えてしまうんですね」としみじみと話す。大泉さん自身は、ラストでお母さんが呑んで駄目になってるシーンを挙げ「小百合さんは、切なくも可愛らしくて素敵でしたね」と感慨深くなりがら「6日間かけて撮らせてもらいましたが、なんとも素敵でしたねぇ。酔っぱらっているところから始まり、最後は爽やかに終わっていくわけなんですけども、どの世代の人が観ても、元気になれる。いくつになっても人を好きになるというのは素敵だな」と本作を評した。

 

最後に、大泉さんは「どこか山田監督らしい映画ではあるんですけれども、山田監督の新しい挑戦もうかがえた。撮り方が斬新で『この台詞をこんな風に撮るんだ』『こんな長いシーンがワンカットなんだ』と撮り方もおもしろい映画でございました。そして、どの世代が観ても共感できるし、スリリングでハラハラもする映画だと思います」と伝え「映画は映画館でその映画を観たい人が集まって沢山の人で観る楽しさが必ずあるなぁ」とメッセージ。吉永さんは「一生懸命に皆で監督の下で作った映画です。ちょっぴり新しい感じがすると思います。監督の作品としては珍しい撮影の仕方をしましたし、私達も一生懸命についていきました」と思い返しながら「私は山田”用意!”監督というあだ名を付けてしまった程にせっかちな監督で、撮影が始まると”用意!”と何度も仰る方なんですけれでも、今回も心を込めて素敵な作品を私達に出演させて頂いて導いて下さったと思います」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『こんにちは、母さん』は、9月1日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のなんばパークスシネマ、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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