40年も理髪店を営んできた女性が店を休ませ常連客の自宅へ向かう『本日公休』が第18回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で海外初上映!
40年も理髪店を営んできた女性が店を休ませへ病の床に伏した常連客の自宅へ向かう姿を描く『本日公休』が第18回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で海外初上映された。
映画『本日公休』…
常連客に支えられて40年、昔ながらの理髪店を営んできたアールイ。一人息子に二人の娘、元娘婿に幼い孫、微妙な距離感の家族との関係もそれなりに、アールイの毎日は穏やかに過ぎていく。そんなある日、遠くの町・彰化から通い続けていた男性客が病の床に伏したことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、彼の散髪をするために、古き良き時代の愛車VOLVO 240GLに乗り込むのであった…
本作は、日本でもマギー・チャン共演のアン・ホイ監督作『客途秋恨』で知られる台湾の名優ルー・シャオフェンが『小卒戰將(原題)』以来に久々の映画出演作。『マイ・エッグ・ボーイ』のフー・ティエンユー監督が、3年の月日を費やし、自身の母をモデルに、台中の実家でロケ。メインキャストには映画やテレビドラマでお馴染みの実力派俳優を揃え、人気スターのチェン・ボーリン(陳柏霖)とリン・ボーホン(林柏宏)がゲスト出演。製作は『多桑/父さん』の監督ウー・ニェンチェン(呉念真)が務めている。
映画『本日公休』は、3月17日(金)15:50よりABCホールでも上映。
幼い頃は家の近所にあった理髪店に通っていたことを思い出させてくれた作品。台湾映画を観たり現地を旅行した時に感じる、古き良き時代の日本を感じさせるような街中や田舎の風景が本作には収められている。…と考えていると、日本と同じように昔から馴染みの理髪店は後継ぎがおらず、オシャレなヘアサロンや格安店(台湾にもQBハウスが進出しているんだね…)が台頭している現状は同じなんだなと感じてしまう。そういった状況下においても、馴染みの常連客に髪を切るタイミングを見計らって連絡していく姿は営業力の賜物。どうしても来店できない事情があるならば、お店を休ませてでもお客さんのところまで伺うんだなぁ。そんな姿を本作では愛らしく描いていた。それは、3年の月日をかけて、自身の母親をモデルに描いたからこそ出来上がった、と言えるだろう。理髪店を長年営んできた人がいるからこそ制作できたハートウォーミングなヒューマンドラマである。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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