少女と少年の「恋ではない、なにか。」の物語『カフネ』が第18回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映!
世界遺産の街である熊野市を舞台に、とある男女の心と心の通い合いを描く物語『カフネ』が第18回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映された。
映画『カフネ』…
高校三年生の瀬川澪は、彼氏である遠山渚との間に、子を妊娠してしまう。澪は、妊娠したことを渚や家族に打ち明けられずにいたが、たった一人、親友である峯田夏海には話すことができた。澪は、様々な困難に直面しながらも、今まで言葉にしてこなかった気持ちを伝えるために、渚の元へ向かう。世界遺産の街・熊野市を舞台に、この街に生きる彼らの、これまでと、これからを描く。少女と少年の「恋ではない、なにか。」の物語。
本作は、大阪芸術大学在学中の杵村春希さんによる初長編監督作品。中高生の頃から映画に興味を抱き、写真や動画撮影などの制作活動を始め、大阪芸術大学映像学科入学後は撮影や監督として数々の自主映画に携わっていく。佐々木原保志撮影監督や三原光尋監督をはじめ、学科内から高い評価を受けた『カフネ』は、三重県熊野市でのオールロケを敢行。「この街を舞台に、映画を撮りたい」と資金調達のためクラウドファンディングも実施した。スタッフも大阪芸術大学を中心とした現役の学生たちが務めている。
映画『カフネ』は、3月15日(水)12:10よりシネ・リーブル梅田でも上映。
高校生や未成年の妊娠が題材の作品はこれまでも多く作られてきた。だが本作は既存の作品とは違う。多様性を大切にした作品であり、大阪芸術大学在学中の監督が2020年代に作るべくして作られた作品である。特に、主人公が妊娠したことを彼氏や家族に打ち明けられなかっただけで、友人に打ち明け一緒に病院へと向かう件、友人にとっては主人公の一番の〇〇でありたいという思いを持っていることから判明していく関係性の描き方が実に素晴らしい。とはいえ、主人公にとっては、彼氏が一番の〇〇であってほしいことから現代的な三角関係が生じてくる。そして、切り離すことが出来ないそれぞれの親子関係。特に父親の在り方については十分に熟考した上で脚本が書かれたようにも感じる。最終的に主人公が決めた選択にはグッとくるものがあった。学生映画が学生映画のままに終わらず映画祭を通じて広く知られていくことが実に望ましい作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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