独立系の映画館を盛り上げていきたい気持ちが込められている…『銀平町シネマブルース』小出恵介さんと城定秀夫監督迎え舞台挨拶開催!
小さな名画座を舞台に、元映画監督と映画を愛する人々が過ごす日々を描きだす『銀平町シネマブルース』が2月10日(金)より全国の劇場で公開される。1月28日(土)には、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で小出恵介さんと城定秀夫監督による舞台挨拶付き先行上映会が開催された。
映画『銀平町シネマブルース』は、『アルプススタンドのはしの方』「愛なのに」の城定秀夫さんが監督、『れいこいるか』『神田川のふたり』のいまおかしんじさんが脚本を手がけ、つぶれかけの映画館を舞台に繰り広げる人間模様を描いた群像悲喜劇。青春時代を過ごした街である銀平町に帰ってきた一文無しの青年である近藤は、映画好きの路上生活者の佐藤と、商店街の一角にある映画館である銀平スカラ座の支配人である梶原と知り合ったことをきっかけに、銀平スカラ座でアルバイトとして働くことに。同僚のスタッフや、老練な映写技師、売れない役者やミュージシャン、映画の世界に夢を見ている中学生など、個性豊かな常連客との出会いを通じて、近藤はかつての自分と向き合い始める。主人公の青年である近藤を小出恵介さんが演じ、梶原役に吹越満さん、佐藤役に宇野祥平さんと実力派が脇を固める。撮影は、埼玉県川越市にある老舗ミニシアターである川越スカラ座で行われた。
今回、上映後に小出恵介さんと城定秀夫監督が登壇。ミニシアターへの愛情が溢れる舞台挨拶が繰り広げられた。
本作らをきっかけに本格的に復帰する小出さんは「自分自身も近藤と一緒に歩みだす。再生していく、という願いを込めて取り組ませて頂きました」と話し「非常にあたたかい作品。全体的に、映画というメディアに対するリスペクトがあり、愛情に満ち溢れていた内容だったと思うので、自分自身もその気持ちを以って参加しました」と振り返る。これまで、多くのドラマと映画に出演してきたが「僕はデビューが『パッチギ!』という映画でした。18歳の時、大学1年の時に初めてオーディションを受けて受かった。忘れもしない大学2年の濃い春、京都で1ヶ月撮影したんですけど」と思い返し「青春群像劇さながら皆が新人。とにかく合宿して、ずっとリハーサルのようなものをやりながら、監督にしごかれたのが初体験だったので、映画に対して見上げる姿勢、畏れ多さ、ワクワクやゾクゾクも含めて、気持ちを思い起こさせてくれる作品になりました」と本作になぞらえながら語っていく。
主人公の近藤を小出さんが演じることについて、城定監督は「復帰といったことはあまり意識していなかった。誰でもつまずくことはありますし、映画館も他のキャラクターも悲しいことは色々あるけど、まぁまぁ…軽い気持ちで、ちょっとだけ前向きになって帰って頂ける作品になれば」と受けとめていた。映画監督を演じた小出さんは、かつて自主映画を手掛けていたことがあり「高校3年生の時、渋谷にある映画館(シアター・イメージフォーラム)でワークショップをやっていた。フィルム映画を作ってみよう、というもので、そこに通って、1本の8mmフィルムを作ったことがあって…」と打ち明け「映画を観るのがホントに好きだったので、大学の時は自主映画を撮っていた」と思い出す。このエピソードを聞き、城定監督は「僕もデジタルに生まれ変わる過渡期でしたね。僕がギリギリ8mmで、まだ街の写真屋で現像が出来てた時代なんで」と応じていく。
撮影現場について、小出さんは「多彩なキャスト。城定監督の作品に参加している人も沢山いますし、ドラマや映画で観る方々だったので、雰囲気も違います」と驚きながらも「僕は現場で受ける立場として、楽しく撮影していました。2週間があっという間でした」と実感。そんな小出さんについて、城定監督は「気さくで、えらぶらない。言うことなかったですよ」と太鼓判を押し「僕は、まずやってみてください、というスタイルでやりながら、ある程度は小出さんの方から意見もあり、風通しの良い現場だったですね」とお気に入り。今作は、登場人物が多い群像劇であり「1人1人キャラクターが立っている。やっていて楽しかったですね」と満足しながら「皆がここぞとばかりにキャラを出して来るんですよね。さすがに全員をほおっておくと滅茶苦茶になるので、多少は…基本的にはほおっておいて」と独自の演出について説明。小出さんは「皆さん個性が豊かでしたね。ロビーで皆で愛を語る件は1カットで撮っている。脚本上は5,6頁ぐらいある長いシーンですが、一致団結した」と城定監督のテイストを堪能できた。
最後に、小出さんは「ミニシアターで小規模ながらも、少しずつ口コミを拡げて育てていく作品だと思っております。独立系の映画館自体を盛り上げていきたい気持ちもこもっている作品だと思いますので、規模の小さい映画自体を応援するという気持ちも込めて育てていって頂けたら」とメッセージ。城定監督は「小さい映画館は興行も大変で、応援する気持ちをあって始めたプロジェクトです。映画がヒットして映画館を助けたいな」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『銀平町シネマブルース』は、2月10日(金)より全国の劇場で公開。関西では、2月10日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋、京都・出町柳の出町座や烏丸御池のアップリンク京都や桂川のイオンシネマ京都桂川、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際、2月17日(金)より和歌山のイオンシネマ和歌山で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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