自分の心に寄り添ってくれるような作品を大スクリーンで観る時こそ、実りある大事な時間になる…『大事なことほど小声でささやく』田村芽実さんを迎え舞台挨拶開催!
スナックのママとバーテンダーの元に集まる悩みを抱えたジム仲間たちとの交流を描く『大事なことほど小声でささやく』が10月28日(金)より関西の劇場でも公開。初日には、大阪・心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋に田村芽実さんを迎え、舞台挨拶が開催された。
映画『大事なことほど小声でささやく』は、森沢明夫さんの小説を実写映画化したハートウォーミングなヒューマンドラマ。昼はジムで肉体を鍛え、夜はジム仲間たちが通う「スナックひばり」を営むゴンママこと権田鉄雄。スナックに集まる個性豊かな面々は、それぞれ悩みや悲しみを抱えていた。ゴンママとバーテンダーのカオリは、そんな彼らに「カクテル言葉」を小声で添えて、悩みに寄り添うカクテルを用意する。ある夜、歯科医の四海良一が来店する。マシンガントークが売りの陽気な良一だったが、実は大きな悲しみを抱えており、妻との関係も冷え切っていた。悩みを語り始めた良一に、ゴンママはあるカクテルを出す。
Netflixドラマ『全裸監督』の後藤剛範さんがゴンママ役で主演を務め、深水元基さんと遠藤久美子さんが良一とその妻、ミュージカル界の新星である田村芽実さんがカオリを演じる。監督は『ゆらり』『こはく』の横尾初喜さんが務めた。
上映後、田村芽実さんが登壇。イオンシネマシアタス心斎橋独特のラグジュアリーな雰囲気があるシアターの中で和やかな舞台挨拶が繰り広げられた。
実は、ミュージカル『ヘアスプレー』公演により10月21日頃から大阪に滞在している田村さん。直前には、たこ焼きを食べており「美味しいものが沢山あるな」と大阪を満喫。劇場が入っている心斎橋PARCOにあるクレープ屋さんの噂を聞き、テイクアウトを楽しみにしている。
本格的な映画出演が田村さんにとって初めてとなる今作。「正直、私は、ミュージカルや舞台を中心に活動しています。映像の仕事が務まるのかな」と悩んだこともあった。だが、原作を読ませてもらい「温かい作品だな」と感じると共に「カオリちゃんという女の子が、とても魅力的な女性だ」と受けとめ、本作に挑戦している。とはいえ、映画とミュージカルについては「全く違います」と断言。「舞台だったら、1~2ヶ月間の稽古を重ねています。現在出演している作品は3ヶ月間毎日出演しています」と述べ「映画は”初めまして””用意スタート”で撮影が始まってしまうので、そこまでの1人での役づくりの段階がとても大事になります。その瞬間に自分の感情にスイッチを入れて、相手役の方と心を通わせることが一発毎に真剣勝負なんだな」と違いを感じている。
なお、今回は出演だけでなく主題歌も担当。オファーを受けた時は「田村芽実が歌うことではあるんだけれども、カオリちゃんを演じているあなただからこそ歌ってほしい」と依頼され「作品の中でもキーとなる役」だと感じ、レコーディングに挑めた。原作小説の中から『四海良⼀の蜻蛉』編を中心にした本作に対し「カオリちゃんもゴンママも、1人1人が悩みを抱えている」と理解し「ゴンママのように、1人1人に寄り添う音楽だな」と受けとめている。
完成した作品を実際に鑑賞し「自分の演技を映像で見るのは無かった経験。とてもドキドキしました」と打ち明けながらも、何度も鑑賞し「毎回新しい発見があります」とお気に入り。原作小説を読んだ際には「とてもあたたかい、本当に心温まる小説だな」と感じ、映画化され「立体的になって肌に食い込んでくる」と体感。また「横尾監督のスバイスが入って、原作では流していたシーンが、映画となるとおもしろくて、クスクスと笑うシーンもあり、それぞれ違った魅力があるなぁ」としみじみしている。監督からは「カオリちゃん自身も重たい過去がある女性なので、表現してほしい」と云われながら「主役のゴンママと2人でいつもスナックにいるので、寄り添ってね」とアドバイスを頂いた。カオリちゃんの役作りにあたり「暗い過去、重たいものを背負った女性になる。どんな過去なのか、映画の中では明かされていないですが、小説の中に答えがあります。そこから自分が演じるカオリちゃん像を作り上げた」と苦労を重ねている。だが、小説の中では、”美女バーテンダー”と書かれており、個人的にプレッシャーになっていた。なお、共演の峯岸みなみさんも”美女”と書かれていることにプレッシャーを感じていたことが分かり「同じところでプレッシャーを感じていた方がここにもいたんだぁ。仲間がいたな」と一安心。ゴンママを演じた後藤剛範さんについては「凄かったです。初めてお会いした時に、触らせてもらいました。凄いムキムキでした」と驚くばかり。
バーテンダーの役を演じたが、今日は、ソルティドッグをイメージしたネイルにしており「先の方を塩っぽい白を」とっ紹介。なお、カクテルにはカクテル言葉があり、田村さん自身はお酒に詳しくなかったが、本作に携わることで、カクテルにカクテル言葉があることを初めて知った。カロアミルクには「臆病」と「いたづら好き」というカクテル言葉があり「私にピッタリなんです。いたずらがとにかく好き。何かしてやろう、何か驚かしてやろう、と毎日思っています」と共感。「とにかく隠れるのが好きなんです。皆で食事に行った時、お会計してくれている間に、他の人を巻き込んで、柱の裏に隠れる、と初歩的なことを」と挙げたり「子供の頃は、いたづらをして母に本気で怒られたことが沢山あった」と振り返ったりしながら「大人になっても、いたずらは辞められなくて。何より大好きです」と満面の笑み。臆病なことについては「子供の頃、いたずらで家中に自分の名前を書いて回っていた。いたずらが親に見つかるまでの時間のドキドキが大好きだった。自分の中でドキドキソワソワする感覚が凄く好き」と云いながら「怒られると凄くシュンッとなっちゃうので、自分の中のギャップが、いたずら好きと臆病さにつながるのかな」思い返していた。なお、流石に大人ってからはやっていない、とのこと。
登場人物について各々に不安を抱えており、田村さんは「寝つきが悪く”寝れなかったらどうしよう”と思ってしまって、この思考に夢中になってしまって、更に目が冴えて寝れなくなってどうしよう、と負のスパイラルに陥いることが毎日のようにある」と告白。また、自宅でガーデニングをしており「今は地方に滞在中なので、東京に残してしまったお花達の様子が凄く心配です。雨ちゃんと降っているかな、と東京の天気予報を気にしちゃいます」と心配。また「妄想好きなので、明日こんなことがあったら、こういう話をしようかな」と次の日のシミュレーションをして、寝れなくなることも。
演じる立場としては、ゴンママとの阿吽呼吸で乾杯するシーンが印象に残っている。個人的には、四海夫婦によるお互いの感情がボロボロになってしまうシーンに対し「この感情を一発や二発でぶつけ合えるのは凄いな」と感心していた。そして、明後日の10月30日が誕生日で、24歳を迎えることになり、サプライズでお花のプレゼントが。近年を振り返り「一昨年は、コロナ禍で予定していた仕事が沢山飛んでしまって本当に寂しい毎日を送っていたんですけれども、23歳は映像やドラマ、舞台という場所を飛び出して様々なジャンルの作品に出演させて頂けたな」を思い返し「24歳は、心の優しい人間になれたらいいな」と願っている。
最後に「本当に心温まる映画だと思います。自分の心に寄り添ってくれるような作品を大スクリーンに向かって座って観ることが、様々な情報が飛び交い時間に追われている私達には、とても大事な時間であり、実りのあることなんじゃないかな」と願いながら「私自身、上映中のスクリーンでまた一度も観られていないので、私も早く客席に座って観たいな」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『大事なことほど小声でささやく』は、関西では、10月28日(金)より大阪・心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋、11月4日(金)より神戸・三宮のkino cinéma神戸国際、11月11日(金)より京都・九条の京都みなみ会館で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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