“世界の音”を探す青年2人の旅が描かれる『裸足で鳴らしてみせろ』が第七藝術劇場でも公開!
(C)PFF パートナーズ
眼の不自由な母のために音を届けようとする青年たちを描く『裸足で鳴らしてみせろ』が10月15日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場でも公開される。
映画『裸足で鳴らしてみせろ』は、寡黙な青年ふたりの愛と欲望の行方を、偽りの旅と肉体のぶつかり合いを通して描いた青春映画。父の不用品回収会社で働く直己と、市民プールでアルバイトしながら目の不自由な養母の美鳥と暮らす槙。ふたりは美鳥の願いをかなえるため、直己が回収して手に入れたレコーダーで“世界の音”を記録することに。サハラ砂漠、イグアスの滝、カナダの草原など各地の名所の音を記録していく中で、互いにひかれながらも触れ合うことができない直己と槙。言葉にできない彼らの思いは、じゃれ合いから暴力的な格闘へとエスカレートしていく。
本作は、『オーファンズ・ブルース』がPFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワード2018でグランプリを受賞した新鋭の工藤梨穂監督が、PFFスカラシップ作品として制作した商業映画デビュー作。『オーファンズ・ブルース』の佐々木詩音さんが直己、『蝸牛』の諏訪珠理さんが槙を演じる。
(C)PFF パートナーズ
映画『裸足で鳴らしてみせろ』は、関西では、京都・烏丸の京都シネマで公開中。そして、10月15日(土)から10月21日(金)まで大阪・十三の第七藝術劇場、10月22日(土)から10月28日(金)までシアターセブンで公開。
養母の願いを叶えるため、自然音のフィールドレコーディング等を通じて、“世界の音”を記録していく、寡黙な青年の2人。偶々出会った2人が共通の目的に向かって何かに取り組む姿は、嘗ての古き良き時代にあった映画を観ているようでもある。最初は男同士の友情でしかなかったものが、何気ないじゃれ合いから、その一線を超えそうで超えないような繊細かつ狂気な感情へと発展していくようにも見える。それは、単純に”BL”と言葉を当てはめていいような代物でもない。どことなくウォン・カーウァイ監督の『ブエノスアイレス』を観ているような気がしないでもないが、あくまで現代の作品として、工藤梨穂監督ならではの独特の表現を以て展開していく。最終的に、やるせない展開へと向かっていくが、儚げな気持ちを以て観終えられた。PFFスカラシップ作品となる本作を以て、さらに広いフィールドへと工藤監督が飛び込んでいく姿を楽しみにしていこう。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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