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知ることが積み重なって、無関心が関心に変わっていくことで、社会が少しでも変われば…『マイスモールランド』舞台挨拶開催!

2022年5月8日

幼い頃から日本で暮らしてきたクルド人の女子高校生が、在留資格を失い、ある少年との出会いを通して悩みながらも成長していく姿を描く『マイスモールランド』が5月6日(金)より全国の劇場で公開中。5月8日(日)には、大阪・難波のなんばパークスシネマに嵐莉菜さん、奥平大兼さん、藤井隆さん、川和田恵真監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『マイスモールランド』は、在日クルド人の少女が、在留資格を失ったことをきっかけに自身の居場所に葛藤する姿を描いた社会派ドラマ。是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」の若手監督である川和田恵真さんが商業映画デビューを果たし、自ら書き上げた脚本を基に映画化した。クルド人の家族とともに故郷を逃れ、幼い頃から日本で育った17歳のサーリャ。現在は埼玉県の高校に通い、同世代の日本人と変わらない生活を送っている。大学進学資金を貯めるためアルバイトを始めた彼女は、東京の高校に通う聡太と出会い、親交を深めていく。そんなある日、難民申請が不認定となり、一家が在留資格を失ったことでサーリャの日常は一変する。自身も5ヶ国のマルチルーツを持つモデルの嵐莉菜さんが映画初出演にして主演を務め、『MOTHER マザー』の奥平大兼さんが共演。2022年の第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に出品され、アムネスティ国際映画賞スペシャルメンションを贈られた。

 

上映後、嵐莉菜さん、奥平大兼さん、藤井隆さん、川和田恵真監督が登壇。商業映画デビュー作品を祝う記念すべき舞台挨拶となった。

 

 

6年前、大阪に来たことがある嵐さん。今回、たこ焼きを初めて味わい「本当にトロットロで美味しくて、本場は違うなぁ」と絶賛。奥平さんは、大阪に来ること自体が初めてで「初上陸でたこ焼きはソースの有無で2種類あって。大阪にはこんなものがあるのかぁ」と驚いた。卒業旅行で大阪に来たことがある川和田監督は「大阪芸術大学が様々な映画監督を輩出しているので、憧れだった。高校生の時はなかなか遠くまで行けないので、大阪に行ってみたい気持ちが強かった」と振り返る。藤井さんは「大阪、初めてなんです〜本当に緊張してます〜」と、とぼけながらも「失礼しました。(本作の)舞台挨拶は初めてなんです。嬉しいです」と喜んだ。

 

映画初出演にして初主演となる嵐さんについて、藤井さんは「こんな可愛らしい衣装で…ファンになりませんか?」とアピール。撮影現場は本番が始まるまでマスクをする必要があり、なかなかコミュニケーションできなかったが「マスクをしていても楽しそうに表情がコロコロ変わって、なんども愛らしいんですね。本番となると、一気にサーリャになり、こちらを引っ張って頂ける。素敵な女優さんとお仕事をご一緒させて頂いているんだな」と感謝している。サーリャのバイト先で店長役を演じた藤井さんについて、嵐さんは「劇中は嫌な感じの店長さんですが、藤井さんは優しくて。休憩時間は話し相手になってくれたり、『VIVI』とか見てるよ、と云って下さったり」と助けられた。嵐さんと奥平さんと共演するシーンが多かった藤井さんは「お二人は共に緊張なさってますけど、自分をコントロールして楽しい気持ちをキープしながら、お二人で話し合ったり監督に相談したりしながら、撮影を一生懸命に挑みながら、楽しんでおられた」と見守っていたが「内容は考えなきゃいけないことが沢山ありますし、お二人や監督から頂くメッセージが重たいものですが、お二人だったからこそ爽やかな青春のシーンを観ることが出来ました」と満足している。藤井さんについて、川和田監督は「現場でも明るく、チームを作って頂いた。そもそも大好きな方なので、ご一緒出来るだけ嬉しい。最高の時間を一緒に作り上げました」感謝していた。作中では、藤井さんが、お笑いコンビのパイレーツによるギャグ、”だっちゅーの”を披露しており、川和田監督は「私は分かる世代なんですよ。二人は、なんのことだろう、ってギリギリのラインのギャグなんじゃないかな」とジェネレーションギャップを想定。奥平さんは「僕はギリギリ分かると思います。ガッツリではなく、聞いたことあるな、みたいな…」と話し、嵐さんも「私も聞いたことあるんですけど…」と同様の反応。藤井さんは「実は、自分のためだけ細かいことをやっています」と違いを説明すると。川和田監督は「藤井さんにやって頂くのを見たかった」と明かす。すかさず、藤井さんが監督の為にパフォーマンスしてみせた。

 

なお、サーリャの家族は、演じた嵐さんの実際の家族が出演している。川和田監督は「それぞれがオーディションに応募していた。最初に嵐莉菜さんが決まり、家族のオーディションをしていく中で、組み合わせでオーディションさせてもらって、お父さん候補が数人いる中で、シーンを莉菜さんと演じてもらい、莉菜さんの演技が一番引き出された相手が本当のお父さんだった」と説明。嵐さんは「普通だったら共演はありえないことなので、最初はビックリしました」と打ち明け「撮影前は家族に見られることが恥ずかしかったですけど、完成した作品を観た時に、ラーメンを食べるシーンで、実際の家族だから出せた空気感や雰囲気があったんじゃないかな」と受けとめおり、家族にとっても宝物になる出来事だった。好きなシーンについて、嵐さんは、聡太とのデートシーンを挙げ「帰る間際、打ち明ける時に照れているところは、サーリャが一番幸せそうな顔をしている。辛い時もあるけど、サーリャの笑顔があるシーンは私も好きです」とお気に入り。奥平さんは、橋の上で県境に手形をつけるシーンを挙げ「本番前にスプレー缶で付けた塗料がキンキンに冷たくて。2テイク目の前に再びスプレーをかけるので、思い出に残っていますね。凄い良いシーンだな」と感慨深い。藤井さんは、弟の発言で呼び出された後の帰路について挙げ「お父さんが大事な話をしている時、弟が良いタイミングで石を蹴ったり拾ったりしながらお父さんとお話出来ている」と表現。川和田監督は「何度も撮りましたね。蹴りにくい靴で難しかったですが、良いタイミングで」と振り返り、藤井さんも「石ころにもお父さんの思いがこもっている大事なシーンだから」と印象に残っている。川和田監督は、結婚式のシーンを挙げ「クルドの方々にもエキストラとしてご協力頂いて、沢山集まってくれた。国境を超えて一緒に踊りながら撮影しました。撮影の条件がある中で楽しんで踊ってくださって、莉菜ちゃんも一緒に踊って思い出に残っているシーンなんじゃないかな」と語った。

 

最後に、嵐さんは「この作品は私が初めての映画だったので、監督をはじめ、スタッフの方々、共演させて頂いた方々、作品に関わって下さった皆さんに支えられて最後まで演じられました」と感慨深く「オーディションの時から作品への思いは強くて、公開を迎えられ、沢山の方に観て頂けて嬉しいです。大切な方に伝えて頂けたら」とメッセージ。奥平さんは「この映画を通して、勉強になることが多くて。映画の題材になっているテーマも映画を通して初めて知るきっかけになりました。聡太の成長と共に皆さんが問題を知るきっかけになって頂けたら」と願っており「役者としてこういう演技を通して皆さんに伝えられ、とても幸せです」と気持ちを込めていく。藤井さんは「難しいことを沢山お渡ししたんじゃないかな。私自身がクルドのことを何も分かっておらず、初めて知ることになりました。注意してニュースを見ていると目にも入ってきました。これから何が出来るのか分からないですが、この映画をご覧頂いたことで知って頂けたことが嬉しく思っております」と願っている。川和田監督は「この映画では、本当に日本で起きていることを描いています。これをきっかけに少しでも知って頂くきっかけになれば。知ることが積み重なっていくことで、無関心が関心に変わっていくことで、社会が少しでも変われば、と信じてこの映画を作りました。今日観て感じたことを様々な方にお伝え頂けたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『マイスモールランド』は、5月6日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema神戸国際で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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