友情と愛情の間で流された若い2人の青春時代を描き出す『はじめて好きになった人』が第17回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映!
友情と愛情の間で流された若い2人の青春時代をノスタルジックでほろ苦く描き出す『はじめて好きになった人』が第17回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映された。
映画『はじめて好きになった人』…
29歳独身、映画監督として成功し始めたウィンラムが受けたのは、ブライズメイドをしてほしいというサムユからの電話だった。名門女子校の同級生だった2人。友情と呼ぶにはあまりに激しい想いに流された若き日。学校から叱責を受けサムユが転校することで2人の関係は一旦幕を引いた。数年後、偶然の再開。ボーイフレンドが出来たとサムユから知らされ傷ついて自棄になるウィンラム。30歳になってもお互い独身であれば結婚しようというサムユの言葉だけを支えにしてきたウィンラムは、あの時の気持ちは愛だったのかという問いの答えを得られないままブライズメイドを引き受ける。しがみついてきた自分の気持ちにケリを付けサムユの幸せを願うウィンラムの複雑な笑顔。隠し続けてきた自分の気持ちに決着をつけ真っ直ぐに夫を見つめるサムユ。最良の友でいることを決意して歩き出す2人。
本作は、TVB傘下アーティストとして10年以上のキャリアを持つヨン・チウホイが、映画制作者として実績を積み上げてきた大学同窓のキャンディ・ンと組み、長年の夢であった初監督を務めた作品。2021年香港亞洲映画祭での上映ではチケットが数分で売り切れたという話題作である。
映画『はじめて好きになった人』は、3月16日(水)12:30よりABCホールでも上映。
風紀委員長として真面目な女の子を演じるウィンラム。かたやシングルファーザーの下で自由に思いやりをもって振る舞うサムユ。名門女子校の厳しい校則の中で、2人は友情と愛情の狭間で揺れ動きながら成長していく。30歳になってもお互い独身であれば結婚しよう、という形のない約束の下で、ウィンラムはサムユが成し遂げられなかった目標を自身のものに置き換えて果たしていく。一方、サムユは、ウィンラムの気持ちをはぐらかすようにボーイフレンドを作りながら大人の女性へと成長する。あの時に交わした約束に対して憤りを感じながらも、大人になったウィンラムがサムユに寄り添うブライズメイドとして振る舞う姿は切なくも美しい。淡く白色のフィルターを通した映像の先に映し出す画づくりはいつまでも観たくなってしまう。大阪アジアン映画祭で上映され、後に劇場公開された香港発の青春映画は近年高く評価されており、本作も劇場公開されることを願うばかりだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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