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母を亡くし2人きりになった姉弟を軸に子供たちの危険な愛と戯れの世界を描く『恐るべき子供たち』(4Kレストア版)関西の劇場でもいよいよ公開!

2021年11月2日

(C)1950 Carole Weisweiller (all rights reserved) Restauration in 4K in 2020 . ReallyLikeFilms

 

ふたりだけの世界を持つ姉弟の関係が、徐々に変化し、周りに影響を与える様子を描く『恐るべき子供たち』(4Kレストア版)が11月5日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『恐るべき子供たち』(4Kレストア版)は、ジャン・コクトーの小説をジャン=ピエール・メルビル監督が映画化し、ヌーヴェルヴァーグの先駆的役割を担った作品。ある雪の日の夕方。少年たちの雪合戦が白熱する中、ポールは密かに思いを寄せる級友ダルジュロスが放った雪玉を胸に受け、気を失ってしまう。怪我を負ったポールは、姉エリザベートや病気の母と暮らす自宅で療養することに。姉弟は他人の介入を決して許さない秘密の子ども部屋で、危険な愛と戯れの世界を築き上げていくが…

 

本作では、原作者コクトーが自ら脚色に参加し、ナレーションも務めた。『死刑台のエレベーター』『大人は判ってくれない』のアンリ・ドカエが撮影を手がけ、クリスチャン・ディオールが衣装デザインを担当。1950年に製作され、日本では1976年に劇場初公開。今回、4Kレストア版では日本語字幕が一新されており、『燃ゆる女の肖像』の横井和子さんが翻訳を担当、原作小説の翻訳者でもある中条省平さんが監修を務めた。

 

(C)1950 Carole Weisweiller (all rights reserved) Restauration in 4K in 2020 . ReallyLikeFilms

 

映画『恐るべき子供たち』(4Kレストア版)は、関西では、11月5日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸の京都シネマ、11月19日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

ヌーヴェルヴァーグの先駆的役割を担った本作。フランスの詩人ジャン・コクトーが1929年に書いた中編小説が1950年にジャン=ピエール・メルヴィルによって映画化された。また、日本では、1979年に萩尾望都さんによって漫画化されている。初公開から70年を経て、4Kレストア版が公開されることは意義深い。4Kならではの繊細な美しさがある映像と共に、今回の日本公開では、日本語字幕が一新されており、原作小説の翻訳者でもある中条省平さんが監修を務めていることも興味深く感じる。2020年代の今観る意味を改めて感じた。

 

描かれている作品のテーマは、現代の多様性に通ずるものが大きい。そして、姉弟の危険な愛と戯れの世界は揺るぎない。4Kレストア版によって、さらに狂気の世界へと次第に近づいているようにも感じる。ヌーヴェルヴァーグの先駆的役割というより、当時においては先進的な世界を描こうとしたのではないか、とも思えてしまう。後に、ジャン=ピエール・メルヴィル監督はノワールの美学を確立して傑作ギャング映画を作り出していくので、今改めてリストアする意味を様々に考えざるを得ない。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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