“カリプソの母”の波乱の人生追うドキュメンタリー『カリプソ・ローズ』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)Maturity Music / Dynamo Productions / T TFC
“カリプソの女王”と称され、80歳を超えても歌い続ける歌手、カリプソ・ローズを追ったドキュメンタリー『カリプソ・ローズ』が5月21日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『カリプソ・ローズ』は、トリニダード・トバゴを中心に発達したカリブ海地域の音楽ジャンル「カリプソ」の歌手として、80歳で現役のカリプソ・ローズの人生を描いたドキュメンタリー。やさしく力強い歌声とチャーミングな笑顔で、多くの人びとを勇気づけてきた彼女は、里子、闘病、女性差別、性的暴行といった苦難を乗り越え、トリニダード・トバゴを代表する国民的シンガーとして確固たる地位を築き上げた。カリプソ・キングとして知られるマイティ・スパロウとの貴重なライブをはじめとするライブ映像や、奴隷として連れてこられた祖母の故郷ベナンを訪れるアフリカの地への回帰など、さまざまな角度からカリプソ・ローズの波乱の人生を追っていく。
(C)Maturity Music / Dynamo Productions / T TFC
映画『カリプソ・ローズ』は、関西では5月21日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、5月22日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。また、神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターでは8月に延期して公開予定。
トリニダード・トバゴ発祥と云われる伝統音楽の一つ、”カリプソ”。一聴すると耳に残るのは、独特で陽気なビート。スティールパンが使われることも多く、世間一般に、カリブ海をイメージした時に聴こえてくる音楽が、一番近いかも知れない。ヒットチャートでは、ほとんど触れられない”カリプソ”のドキュメンタリーに、音楽好きとしての血が騒ぐ。本作が見せてくれるのは、80歳を超えても尚、現役で世界を飛び回り活動を続けるカリプソの女王、”カリプソ・ローズ”。舞台の上はもちろん、会話の中にも彼女の歌声が響き渡り、日常のあらゆる事柄を歌にしてゆく。
カリプソには、TVやラジオの様な媒体が生まれる以前から、ニュースなどの情報を歌詞に載せて、島中に届けている側面があった。陽気なリズムとは裏腹に、意外にも、痛烈な政治批判や憂いを、かなりストレートに表現しており、初期のブルーズにも似た、この音楽性にも、やはり奴隷制度が関係している。カリプソ・ローズが活動を長年続けていく中で、様々な差別や批判などの苦悩にも立ち向かい、負けじと歌い続ける”唄”には、彼女の人生の重みや生き様が感じられ、次代のカリプソニアンや、”ソカ”アーティスト等の若い世代にも、彼女を慕い、敬愛し、スピリットがしっかりと受け継がれていた。
本作を鑑賞し、早速、Spotifyを開きカリプソやソカ(ソウル+カリプソ)をプレイリストに加えたよ。時間のある時に、レコードを探しにいこう。こうして、異国の音楽に出会えることができた。だから、音楽モノの映画はやめられない。
from関西キネマ倶楽部
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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