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住みやすい社会が実現するきっかけの1つになれば…『カランコエの花』中川駿監督迎えトークショー開催!

2018年9月1日

社会問題として国際的にもメディアで多く取り上げられているLGBTを主題に、当事者ではなく周囲の人々にフォーカスを当て、過剰な配慮によって翻弄されていく当事者の姿を映し出すヒューマンドラマ『カランコエの花』が9月1日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。公開初日には、中川駿監督を迎えてトークショーが開催された。

 

映画『カランコエの花』は、LGBTが抱える問題を、当事者ではなく周囲の人々の目線から描いた短編作品。とある高校の2年生のクラスで、ある日唐突に「LGBTについて」の授業が行われたことをきっかけに、クラス内にLGBT当事者がいるのではないかという噂が広まっていく。日常に波紋が広がり、思春期ならではの心の葛藤を抱えた生徒たちは、それぞれに行動を起こすが……

 

上映後、中川駿監督が登壇。本作は、2年前に制作され、昨年は全国の様々な映画祭に出品。映画祭を周り20回程度上映していくなかで、中川監督は、お客様から「もっとこの作品を広く色々な方に届けてほしい」「上映の機会を沢山設けてほしい」と多くの言葉を頂いた。後押しを受け、遂に劇場公開を迎え「39分という短い作品は劇場で上映頂くことが難しい状況で今回実現したのは、本当に皆さんの応援のおかげです」と深く感謝の言葉を述べた。

 

本作が製作される以前、2015年に、東京都渋谷区でパートナーシップ証明書の交付制度が始まり、メディアでLGBTというキーワードが取り上げられるようになった。中川監督も必然的に関心を持つようになり、LGBTをテーマに作品を撮ろうと決意。自身のセクシャリティがストレートであることを踏まえ、LGBTの題材に作品を撮るために仲間内で相談した際に「僕が『LGBTはセンシティブな題材なので、迂闊に手を付けられない』と話した時、『その考え方が差別的なんじゃないか』と指摘を受けた」と明かす。ハッと気づかされ「経緯は違えど、敬遠してしまっているという結果だけを見たら、差別していることと大差ない。反省すると同時に、そういう観点で描かれたLGBT映画は観たことがなかったので、映画を撮ることで実りの多いものになるんじゃないか」と制作に至った。

 

当たり前に考えられてきた社会の常識や意識を変えていくことは難しい中で「LGBTについて常識が少しずつ変わってきているという現状が大変凄いことだ」と、中川監督は受けとめている。さらに、LGBTに限った話に終わらない、と捉え「皆の口コミや活動で常識を変えていく事例が1つ出来たら、生活環境や家庭環境、ワークスタイルやライフスタイル等、様々な分野において、当たり前とされてきた人の意識や考え方は変わらない、と諦めていた沢山のことについて、言い訳がきかなくなる」と考えざるを得ない。変化していくことで「LGBTだけでなく全ての人々にとって住みやすい社会が実現できる」と期待している。

 

最後に、中川監督は「広く様々な方に観て頂きたい。SNSでの拡散やチラシを配っているが、僕達だけの活動では情報が届く範囲が限界があり、その向こう側に届かないと痛感している」と告白。気に入って頂けたら「SNS等で投稿して頂きたい。ハッシュタグは#カランコエを止めるな」とユニークなお願いも添えて、上映後のトークショーは締め括られた。

 

映画『カランコエの花』は、9月1日(土)より9月12日(水)まで、大阪・十三の第七藝術劇場で公開。9月1日(土)から9月7日(金)までは19:30~、9月8日(土)から9月12日(水)までは13:10~の上映となっている。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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