分からなくても、引っ掛かりを感じてもらえたら…「MOOSIC LAB 2017」で観客賞!『少女邂逅』枝優花監督を迎え舞台挨拶開催!
いじめがきっかけで声が出なくなった17歳の少女と、謎めいた転校生の交流を描く『少女邂逅』が8月18日(土)より京阪神の劇場で公開。上映初日、大阪・十三の第七藝術劇場では、本作を手掛けた枝優花監督を迎えて舞台挨拶が開催された。
映画『少女邂逅』は、孤独な女子高生と転校生の交流を描いた青春ドラマ。いじめられたことがきっかけで声が出なくなってしまったミユリ。そんなミユリの唯一の友達は一匹の蚕だった。ミユリは山の中で拾ったこの蚕に「紬」と名付け大切に飼っていたが、いじめっ子の清水にその存在がバレて、蚕を捨てられてしまう。唯一の友達を失い絶望するミユリ。そんなある日、ミユリの学校に亡くなった蚕と同じ名前を持つ「富田紬」という少女が転校してくる…
「MOOSIC LAB 2017」で観客賞した本作は、ミユリ役を「ミスiD2016」グランプリの保紫萌香さん、富田紬役を「RADWINPS」のアルバムジャケットで知られるモトーラ世理奈さんがそれぞれ演じる。監督は「美味しく、腐る。」で早稲田映画まつり観客賞を受賞した枝優花さん。「転校生」名義で活動していたミュージシャンの水本夏絵さんが音楽を担当した。
上映前に本作を手掛けた枝優花監督が登壇。関西での上映を喜びながら、感謝の言葉を伝えた。
本作は、枝監督が14歳の頃に経験した出来事が基になっている。その後、大学の映画サークルに入り、映画を作るために脚本を執筆。当時を振り返り「18歳で何もわからない私には撮れない内容だと思った。その後の5年程度、映画撮影の現場に入ってみて勉強し、23歳になった去年、ようやく撮ることが出来た」と懐かしむ。
撮影にあたり、出身地である群馬県高崎市にも全面協力して頂いた。主演の保紫萌香さんとモトーラ世理奈さんのキャスティングについてはオーディションから選考。枝監督は、200人ぐらいの応募に対し、ほぼ全員について前情報を入れず先入観を持たずに直接会い演技力を見定めた。2人について「入ってきた時から雰囲気が違い、ポテンシャルを感じた。思い描いた人物像にピッタリ合っていた」と評価する。さらに「立った時の印象や性格が似ている。だが、芝居へのアプローチの仕方が水と油で違っていたので、共演させてみたら、化学反応が起きそうだと感じ、2人に賭けてみた」と告白。枝監督の実体験を基にしており、保紫萌香さんが演じた主人公の小原ミユリに重ねているが、時間を経て「彼女に投影しているだけでなく、他の子達にもかつての自分にあったものが表れている。私の中に理解できない人間性やキャラクターが出ているかもしれない」と受けとめた。
劇場公開された本作について、枝監督は、ミニシアターに初めて来た人もいると感じながら「シネコンで観るような映画のように分かりやすい映画とは言い切れない。『100%理解出来なかったです』と言われることがある。分からなくてもいいから、この2人を観て引っ掛かりを感じてもらえたら」と思いを込める。なお、制作当時、男女スタッフ間でシナリオについて意見がハッキリと分かれ「男性スタッフがシナリオに意見すると、女性スタッフ側では”わかってねぇな”という空気になった」と明かす。本作は20代の女性スタッフが多い現場で、カメラマンも平見優子さんという女性が担い、一心同体で撮影が行われた。
また、枝監督は本作のスピンオフ作品『放課後ソーダ日和』を制作し、youtubeで現在公開中。映画と雰囲気が違い「ビックリされる。女子高生版『孤独のグルメ』とも例えられる、ひたすらクリームソーダを食べ続ける内容」だと解説。なお、大阪・十三の「旬菜ココット」さん(劇場から出て徒歩15秒、日曜定休日)では、公開期間中、クリームソーダをご注文の上、映画の入場整理券をご提示で、『少女邂逅』オリジナルコースターがプレゼントされる。京都・出町柳の出町座内にあるカフェ「出町座のソコ」でも公開期間中にクリームソーダをご注文の方全員にオリジナルコースターがプレゼントされる(クリームソーダはシアター内持ち込み不可、店内のみ)。
最後に、枝監督は「この映画は、自主映画として作っており、まさかこんな風に東京に限らず関西で沢山のお客さんに観て頂けるとは夢にも思わなかった。小さい映画なので、皆さんの声でしか広がらない。友達に話したりSNSに書いたりしながら広めて頂けたらありがたいです」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『少女邂逅』は、8月18日(土)より、大阪・十三の第七藝術劇場、神戸・元町の元町映画館、京都・出町柳の出町座で公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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