何かを始める最初の初期衝動になれる映画!『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』若葉竜也さんを迎え舞台挨拶付き先行上映開催!
写真家の地引雄一さんによる自伝的エッセイ「ストリート・キングダム」を基に、1970年代後半の日本を舞台に、パンク・ロックを生み出した若者たちを描く『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が3月27日(金)より全国の劇場で公開。3月7日(土)には、大阪・難波のTOHOシネマズなんばに若葉竜也さんを迎え舞台挨拶付き先行上映が開催された。
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は、『アイデン&ティティ』の監督である田口トモロヲさんと脚本家の宮藤官九郎さんが再タッグを組んだ青春音楽映画。日本で初めてパンクロックを自分たちの手で生み出した若者たちによるムーブメント”東京ロッカーズ”の姿を、彼らのカメラマン兼マネージャーだった写真家・地引雄一さんの自伝的エッセイ「ストリート・キングダム」を原作に描く。1978年、ラジオで耳にしたセックス・ピストルズに突き動かされて上京したカメラマンの青年ユーイチは、小さなロックミニコミ誌「ロッキンドール」をきっかけに、ライブハウスを訪れる。そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーにあふれた場所で、ボーカルのモモが率いるバンド”TOKAGE”のライブに衝撃を受けたユーイチは夢中でシャッターを押す。正式にカメラマンとして撮影を依頼されたユーイチは、彼らと交流を重ねていく。やがて彼らの音楽は若者たちを熱狂させ、そのムーブメントは”東京ロッカーズ”と呼ばれ日本のロックを塗り替えることとなる。峯田和伸さんがユーイチ役、若葉竜也さんがモモ役で主演を務め、吉岡里帆さん、仲野太賀さん、間宮祥太朗さん、大森南朋さん、中村獅童さん、中島セナさんが共演。『アイデン&ティティ』の大友良英さんが音楽を手がけた。
今回、上映後に若葉竜也さんが登壇。実は、大阪には毎年プライベートな旅行で来ている若葉さんは、大阪人にとってもディープなお店にもよく行っており、親しみを込めて語ってもらった。
主人公のモモを演じた若葉さんは「ユーイチとラジカセを聞きながら2人で思い出しながら喋るシーンがあって、あのシーンはすごい印象に残っていて…」とお気に入りのシーンを挙げ「撮影も終盤で、もう終わるなぁ、みたいな頃で、台本上ではもっと全然サラッとしたシーンだったんですよ。現場に入って峯田さんとラジカセを聞いているシーンから、なんとなく寂しいなぁ、とお互いの気持ちとかも出てきて、ああいう感情的なエモーショナルなシーンになっていって、最後に西日がばぁってホントに部屋中に入ってきて…思いがけない映画の奇跡みたいなシーンになりましたね」と思い返す。
共演したキャストの皆さんとの撮影現場について「やっぱり、軋轢のバンドメンバーとは、あまり口を聞かない」と告白。「僕と間宮君は普通に喋っていたんですけど、やっぱり、バンドメンバー同士はちょっとピリッとしている。お互いのライブシーンは見に行って、後ろの方でポッケ突っ込んで見ている。 だから、そういうのを見ていて、おもしろいなとは思いましたね」と回想していく。現場では「軋轢、今ライブやっているよ、と控え室で聞こえてきて、”行くかぁ”で、バンドメンバー皆で見に行ったり、後ろで見てふらって出てきて皆が喫煙所でギター練習をし始めたり。なんか、本当のバンドみたいだな」と不思議な感覚だったようだ。なお、現場では見ていなかった、中村獅童さんが出ているシーンで大いに笑い「強烈だな、と思った。やっぱり、獅童さんって迫力あるな」と試写で実感していた。そして、レコーディングスタジオでのシーンでは、ギターをかき鳴らしており「ホントにピークな状況だったので、皆めちゃめちゃ緊張していた」と振り返りながら「撮影は、段取りがあって、テストがあって、本番、という3分割になっているんです。段取りから皆エンジンかかっていて…弾いているのは生音なんですよ。元々、ガイドがあったんですけど、なくていいです、と話をして撮影して、段取りから皆がフルでやってトモロヲさんが”撮っときゃ良かった”と言っていた。シーンとしても、もっとぐちゃぐちゃになっていた。台本に登場する人物達1人1人の感情をトモロヲさんが整理して、精査しながらやって出来上がったシーンだったんですよね」と明かしていく。モモの役作りにあたり「これをただのモノマネにしちゃいけない」という皆の共通認識があったことから「”自分の音を鳴らせ”、”自分の踊りを踊れ”というメッセージを掲げておきながら、誰かのモノマネを形骸的にやる、ということでは我々は絶対にいけない」という皆と一緒の意識だったようだ。 また、田口監督から「若葉君ならどうする?」「若葉君だったらどう思う?」と問いかけられたことが多く「僕だったらこうと思います」と積み重ねていったことで、1シーン1シーンが出来上がっていったことを語ってもらった。
念願の田口トモロヲ監督作品に初参加であり、主演となり、現在が一番プレッシャーを感じているようだ。撮影中は「集中しきっているし、研ぎ澄まされ過ぎている」と万全だったようだが「こんな大きい映画だったんだ。10館ぐらいミニシアターから始まるのかな、と思っていたんですけど、TOHOシネマズ!みたいな…これ、やばいんじゃ…これ、ちゃんとやらないと…というので、今ちゃんとやらなくちゃな。しっかり宣伝しないとな」と責任の大きさを感じていた。『アイデン&ティティ』にも出演している大森南朋さんや峯田和伸さんや中村獅童さんの姿を見ながら「すごい楽しそう」と受けとめており「ホントに、昔バンド組んでいた人達みたいに、”あの時、ああぁだったよね”という話がしょっちゅう繰り広げられていた。 僕は『アイデン&ティティ』のファンなので、それに聞き耳を立てたり、喋っているところを離れた所から写真に撮って後でズームしてオォ!本物だ!みたいになったり」と打ち明けた。特に、間宮さんが『アイデン&ティティ』を無茶苦茶大好きだと聞いていたようだ。本作の公開を今月末に迎える現在においては「もしかしたら10年後、やっぱり『ストリート・キングダム』で自分のスイッチが変わったんだな、と気づくんじゃないだろうか」と考えており「そんなに急には成長できない器の人間でして…」と謙遜。「色々と目指していたものを到達してきて、この田口トモロヲ組に参加できたのが、やっぱり一番大きい」と受けとめており「様々なことが叶っていく一方で、自分の中で積み上げてきたものを一度ぶち壊して、もう一回、ゼロから自分がどういう戦い方ができるか、というのはやらなきゃいけないな、と今は思ってはいますね。 それが、もしかしたら心境の変化かもしれないですね」と冷静に話す。

今作のエンディングテーマには、峯田さんと共に「宣戦布告」という楽曲を披露しており、若葉さんは「こんなズブの素人でいいのか」と恐縮ぎみ。撮影終了後、しばらくしてから田口監督から電話がかかってきて「若葉君と峯田君に主題歌を歌ってほしいんだ」と依頼があり「僕でいいんですか!?」と反応。監督からは「映画を観に来てくれた人達にとって最高のプレゼントをしたいんだ」と言われ「それは断る理由がない、というか…絶対に断れない。”やります!”と言って収録した、という感じですかね」と謙遜しながら、経緯を明かす。峯田さんと共に歌うことに関しては「峯田さんがいてくれて良かった」と思っており「自分が今ちゃんとできることを一生懸命やるしかない、というか。大きい声で一生懸命に歌おう、とだけ思ってスタジオに行って…そうしたら40分で終わりました。 1回しか歌ってないです、僕。峯田さんも僕も1回しか歌ってなくて…あとはエンディングでサビのちょっと重なる部分等をもう1回録取って終わり」と正直に話していく。なお、若葉さんのレコーディングで、向かい側の編集ルームで田口監督と峯田さんが2人で並んで”OK!”を出している様子にも歓喜していた。
ちなみに、タイトルにある”自分の音を鳴らせ”た瞬間について「自分の音を鳴らす、自分の踊りを踊る、自分らしくいることは、特別なテーマに聞こえるかもしれないですけど、ホントは当たり前、だと僕は思うんですよ。それでいいはず、自分らしくいていいはず、自由に何でもやっていいはずなのが、目に見えない抑圧的な空気がそうしちゃいけない、という呪縛を作っていて、今このメッセージが2026年には特別なことになってしまっている」と説きながら「当時の彼らにとって最大の武器であり、モノを表現する、作る、誰かと向き合う、でもいいんですけど、本当は当たり前のことだったはず、と僕は受け取っています。 だから、もう1回その原点に立ち返らないか、みたいなこととか…」と述べていく。ラストに、若葉さんと峯田さんと吉岡さんと皆で笑顔になって笑っているシーンがあり「トモロヲさんが”自由に生きていいんだ、というのを全身で表現してくれ”と言ったんですよね。 この映画を観に来ている人達に、そんなこと言ったっていいじゃん、と思わせたいから、”これでもくらえ、という感じで、自由でいいんだお前ら”とやって、という感じだったんですよね」と撮影エピソードを披露しながら「ブレーキかけず、これを台詞にして、自分がフラストレーションを抱えていた言葉を映画の中で台詞としてぶちまけていいんだ…と解放感がありました」と明かした。そして、自分らしくあることについて「自分がお客さんだったら観たい作品にしっかり参加する、ということ。そうじゃないと、観に来てください、と言えないですよね。 映画館に行かない俳優に”映画館に来てください”と言われても説得力がないじゃないですか」と伝え「20年前、『アイデア&ティティ』を観に、自転車を漕いで行っていた映画小僧の自分だったら、観たいと思う作品にちゃんと反応して参加していくことが、観に来てくれるお客さんにできる一番の誠心誠意なんじゃないか、と思っています」と真摯に語っていく。
そして、本作の魅力について「東京のパンク、1978年~79年の東京ロッカーズの映画だ、と言い過ぎると、ハードルが上がるんですよね。敷居が高そうに見える、というか、共感できないんじゃないか、とか…パンクって、ごちゃごちゃしていて、うるさい音なんでしょ」といったイメージが先行することを危惧しながらも「全然そんなことなくて…どんな人でも楽しめるように、僕らも誠心誠意作っているし、懐古主義な映画ではない。あの時は良かったよね、とか、あの時が懐かしい、こんな時代が良かったよね、という映画では全然ない。今、何かを始めたい、とか、チャレンジしたい、とか、今の状況を少しでも変えたい、とか、ちょっと息苦しいな、という人達が何かを始める最初の初期衝動になれる映画だ」と伝えていく。最後に「足を運びたい、と思う映画を、僕ら映画に携わっている人間達が一生懸命頑張って作りますので、まだ失望しないでください」とメッセージを送り、舞台挨拶を締め括った。
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は、3月27日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や大阪ステーションシティシネマ、難波のTOHOシネマズなんばやなんばパークスシネマ、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・岩屋の109シネマズHAT神戸等で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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