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過去と向き合う女性の再生を描いたヒューマンドラマ『おくびょう鳥が歌うほうへ』がいよいよ劇場公開!

2026年1月6日

©2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.

 

ロンドンで生物学を学んでいた女性が、10年ぶりに故郷のスコットランド・オークニー諸島へ戻り、荒れ狂う風と海の中で自らを見つめ直し、断酒した新たな人生を歩もうとする『おくびょう鳥が歌うほうへ』が1月9日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』は、大都会で自分を見失った生物学者が故郷で新たな生き方を模索する姿を描いたドラマ。ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナは、スコットランドの故郷に10年ぶりに帰ってくる。恋人との別離、暴力的な体験、入院など、人生が限界を迎えた末に、彼女は依存症の治療施設に入所し、90日間のリハビリプログラムを経て断酒生活を開始した。故郷の野鳥保護団体で働きながら孤独な時間を過ごすなかで、少しずつ自らの内面と対話を重ねていくロナだったが、数々のトラブルを引き起こしてきた記憶の断片が彼女を悩ませ続ける。

 

本作では、シアーシャ・ローナンが初プロデュースを手がけて自ら主演を務め、イギリスでベストセラーとなったエイミー・リプトロットのノンフィクション回想録「THE OUTRUN」を原作に、『システム・クラッシャー』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したドイツ出身のノラ・フィングシャイト監督が映画化。スコットランド・オークニー諸島の雄大な自然を背景に、主人公の断片的で混濁した内面世界を繊細な演出で描き出す。『MEN 同じ顔の男たち』のパーパ・エッシードゥ、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のスティーブン・ディレイン、『記憶探偵と鍵のかかった少女』のサスキア・リーブスが共演している。

 

©2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.

 

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』は、1月9日(金)より全国の劇場で公開。関西では、1月9日(金)より大阪・心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のなんばパークスシネマや堺のMOVIX堺、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮の kino cinema 神戸国際、1月10日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、1月23日(金)より兵庫・尼崎の塚口サンサン劇場で公開。

映画を観ていると禁酒のためのグループセラピーがよく登場する。それぐらい、アルコール依存症に苦しむ人は多く、お酒を飲む人なら誰もがなり得る身近な精神疾患だといえる。エイミー・リプトロットの回顧録を映画化した『おくびょう鳥が歌うほうへ』は、アルコール依存症に陥った彼女自身の再生の過程を雄大な自然の風景とともに描き出す。

 

主人公のロナは10年ぶりに実家のあるオークニー諸島へ帰郷。彼女はそこで父の牧場の手伝いや野鳥保護団体での仕事を始める。かつてロンドンに暮らしていたロナはアルコールに溺れてしまい、更生プログラムを経てようやく新しいスタートを切ったのだ。しかし、再生の道のりはスコットランドの荒々しい自然のように険しい。恋人を傷つけてしまった記憶が幾度となくフラッシュバックし、彼女を悩ませ続ける。生活のストレスや将来への不安から逃れるようにアルコールにのめり込み、人生や人間関係を壊してしまう。アルコール依存症には寛解というものはない。少しでもお酒に手を出してしまったら再び荒んだ精神状態になってしまう。ただひたすら「お酒を飲まない日」を地道に積み上げていくしかないのだ。

 

そんなロナの葛藤や孤独な戦いをノラ・フィングシャイト監督は過去と現在を入り混ぜながら、幻想的な自然と彼女の人生を重ねる。曇天の空模様とゴツゴツとしたオークニー諸島の岩礁は、ロナの過酷な人生と尊さを雄弁に伝えているかのよう。変化するロナの髪色も、彼女の心模様を映す。シアーシャ・ローナンの存在感も素晴らしく、彼女の新たな代表作となったといっても過言ではないだろう。

 

ちなみに、タイトルにある「おくびょう鳥」とはウズラクイナのことを指している。かつては数多く生息していたのだが、今ではその鳴き声を聞くことは少なくなったという。めったに聞けない鳥の鳴き声を聞くことは苦難に満ちた人生に光を見出すことと同じぐらい難しいことだ。果たして、彼女はその鳴き声を聞くことができるのか。ぜひ、スクリーンで彼女の行く末を観届けてほしい。

fromマリオン

 

年末年始。地元の友だちや家族、大切な人と過ごす中でお酒を飲んだ人も少なくない、と思う。アルコールを摂取することで楽しい気持ちが増幅される気がするし、普段は隠している自分も酔いの勢いで出しちゃうことで気持ちがスッと晴れるような気がする。うまく付き合う分には素敵な効能だけど、周囲の環境やそれによるストレスによって悪影響を及ぼすものに変わってしまう。更に依存症という厄介な状況に陥ると、制御もできないし、解消できるとも思えなくなるし、何もかも上手くいかないように感じてしまう。

 

映画の冒頭、主人公のロナの痛々しい姿が映し出される。閉店したい店主を他所にもう一杯だけ!踊ろう!と叫びながら店を追い出される姿も、診察室で片目に黒いアザを作ったことも全てアルコールのせいだ。彼女は地元や母とのしがらみや、人間が生きるには厳しく騒がしい大自然の島を避けるように都会への進学を決めたらしい。しかし、一見自由に見えた都会での生活は人間関係はより複雑になるし、学業や仕事においては実績や態度を常に視られ、それに追われ続ける。そんな生活の中で、ロナは都市の夜の世界に溺れ自分を見失ってしまう。

 

原題の「THE OUTRUN」には「〜を振り返る」「〜より速く走る」という意味があるが、ロナの地元スコットランドのオークニーやシェトランド諸島の農業における方言として「農場を囲む放牧地」や「農地の外周部」という意味をもつ。地元にいた頃のロナは、家族や農園周辺の人間関係に退屈し、煩わしいと思い、自分自身の変えられそうにない現状から逃れるように都会へ出た。都会でのロナは逃れようとするあまり酒に溺れ、そんな自分からも逃れ逃れて再び島に戻る。あのころ嫌っていた自然や島の人々の煩わしさや厳しさも、どこか暖かく自分を受け入れてくれており、背中を押すように再生の旅を支えてくれているようにも見えた。

 

主演を務めるシアーシャ・ローナンの代表作といえば、『レディ・バード』や『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/私の若草物語』等が挙がると思うが、自分を探す旅、母親との母親との心のすれ違いなど共通するテーマを持った過去作を持つ彼女が、本作で初めてプロデューサーを務めるのも納得である。着実に役者として、映画人としてのキャリアを突き進む彼女の新章のスタートになる作品を見逃すなんて手はないはず。

fromブライトマン

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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