厳しい環境下で、ささやかな絆を育む3人の子供たちを描く『ぼくらの居場所』がいよいよ劇場公開!
©2021 2647287 Ontario Inc. for Compy Films Inc.
厳しい環境下にある子供たちと地域教育センターとの繋がりを描く『ぼくらの居場所』が11月7日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ぼくらの居場所』は、それぞれ過酷な環境下で生きる3人の子どもたちが地域の教育センターで絆を育んでいく姿を通し、社会の片隅に生きる人々を実直なまなざしでとらえたカナダ製ドラマ。多様な文化を持つ人々が暮らす、トロント東部の街スカーバロー。精神疾患を抱える父親の暴力から逃げるようにこの街にやって来たフィリピン人のビンと、家族4人でシェルターに暮らす先住民の血を引くシルヴィー、ネグレクトされ両親に翻弄され続けるローラの3人は、ソーシャルワーカーのヒナが責任者を務める教育センターでは安心して過ごすことができた。厳しい環境に置かれながらも、ささやかな絆を育んでいく3人だったが…
本作では、主演に映画初出演となる3人の子ども達を抜てきし、共演にもスカーバロー出身の演技未経験者たちを起用。カナダの作家キャサリン・エルナンデスが実体験をもとに執筆したデビュー小説「Scarborough」を自ら脚本化し、ドキュメンタリーの分野で高く評価されてきたシャシャ・ナカイ監督とリッチ・ウィリアムソン監督が長編劇映画初メガホンをとった。2022年の第10回カナダ・スクリーン・アワードで作品賞・監督賞など8部門に輝いている。

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映画『ぼくらの居場所』は、11月7日(金)より全国の劇場で公開。関西では、11月7日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、12月12日(金)より兵庫・豊岡の豊岡劇場で公開。
本作の原作は、フィリピン、スペイン、中国、インドの血を引くカナダ出身の作家であるキャサリン・エルナンデスによる小説。彼女は、10歳からカナダのオンタリオ州にあるスカボロー地区に住み、シングルマザーとして自宅で託児所を経営しながらアーティスト活動を続けてきた過去がある。実体験をもとに執筆した小説とのことで、託児所を経営しながら様々な親子を目の当たりにしたことで作品が出来上がったのだろうか。そういった内容であるならば、ドキュメンタリーの分野で高く評価されてきた監督に映画化を依頼するのは自然な流れのようにも感じられる。
本作に登場する3人の子ども達は、それぞれ過酷な環境下で生きてきた。そんな子ども達と親御さんが交わっていくのが、地域の教育センター。子供を預ける場所ではなく、親も一緒になって子育てについて場所でもあろうか。”子育ては親育てでもある”ということを体現しているような場所だと感じられた。とはいえ、教育センターに通うことについて、子どもも親御さんもモチベーションはバラバラ。親との接し方、子どもとの接し方が分からない中で、教育センターの先生が、皆に対して真摯に接している姿を見ていると、場合によってはいたたまれない気持ちにもなってしまう。それでも、いつしか教育センターが皆にとって必要な場所になっているように感じられる時もあった。だかこそ”ぼくらの居場所”といえようか。されど、現実は追い打ちをかけるような出来事が起こってしまう…あらためて地域コミュニティの在り方を考えさせてくれる作品であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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