満員の客席に「今日は一生に残る思い出」…『ひとくず』なんばパークスシネマで上西雄大監督、木下ほうかさん、徳竹未夏さん、古川愛さんを迎え舞台挨拶開催！

2021年2月21日

虐待されている少女と、その母親、虐待された過去を持つ男の心の通い合いを、真摯なまなざしで描き出す『ひとくず』が関西の劇場でロングラン上映中。２月１９日（金）からは、大阪・難波のなんばパークスシネマでも公開となり、上西雄大監督、木下ほうかさん、徳竹未夏さん、古川愛さんを迎えて舞台挨拶が開催された。

映画『ひとくず』は、児童虐待や育児放棄をテーマに描いたヒューマンドラマ。母親の恋人から虐待を受け、母親からは育児放棄されている少女・鞠。ガスも電気も止められた家に置き去りにされた彼女のもとに、ある日、さまざまな犯罪を繰り返してきた男・金田が空き巣に入る。幼いころに自身も虐待を受けていた金田は、鞠の姿にかつての自分を重ね、自分なりの方法で彼女を助けようと、鞠を虐待していた母親の恋人を殺してしまう。一方、鞠の母親である凜も、実は幼いころに虐待を受けて育ち、そのせいで子どもとの接し方がわからずにいた。金田と凜と鞠の3人は、不器用ながらも共に暮らし始め、やがて本物の家族のようになっていくが…

上映後、主人公の母親役を演じた徳竹未夏さんと娘を虐待する母親役の古川藍さんが司会となり、上西雄大監督と木下ほうかさんが登壇。満員の客席と今までにない巨大なスクリーンを見て感極まって半泣き状態になった上西監督が御礼の挨拶。木下ほうかさんが絶妙なタイミングで「１シーンしか出ていません。気まずい、なんで呼んだん」と合いの手を入れ、会場の笑いを誘う。

本作を作ろうとした時、上西監督は、劇団員の前で「木下ほうかさんに出てもらいたい」と言った時、誰もが夢のような話だと思い、信じなかった。木下さんに脚本を読んで握手してもらい「がんばろう」と言われ「この映画がここまでこれたのは木下ほうかさんのおかげ」と感謝の気持ちは止まらない。木下さんは「小さい小規模の映画で３月から上映が開始されて、１年以上も上映が続いていて、こんなにでっかいスクリーンで！というか画質大丈夫？あら目立たへん？」とツッコミながらも「ものすごい低予算で作られて、こういう場所でかけられるのは信じられへん」と改めてヒットを喜んでいる。なお、出演の決め手を聞かれ「特にない。知り合いじゃなくて、最初は人伝えで紹介されて、最初はGmailが届いた。シナリオを送ってきて、なかなかおもしろい。知らんから１回会いたいって、大阪のロイホで、２人で夜中に会ったんです。ハンバーグ食べて、ドリンクバーだけか」と振り返ると、上西監督は「ほうかさん、ワイン飲んでました。僕は車だったんで」と冷静に返す。改めて、木下さんは「それならやりましょうか、という話だけで。僕は勝手に決めて、事後報告。今日も言うてへん。結構そんな乗り。僕はアイドルでもなんでもないんで」と謙虚な姿勢をあらわす。

感極まっている上西監督の姿を見ながら、木下さんは「感動しいやな～」とつっこんでいくと、徳竹さんが「ここ最近、よく泣いてます！」とフォロー。さらに、木下さんは「次もどんどん新作撮れる。それはもっと目立つ役で！」とリクエスト。上西監督は「次はラスボス役でがっつり！」応えていく。現在の状況について「一旦、コロナで劇場がロックダウンされて、半年止まっていたが、１０月から大阪で上映が再開。こういう状況なので、劇場で舞台挨拶出来るのは本当にありがたい。こういう状況のなかで観ていただけるのはありがたい。最上段までお客さまがおられて感無量です。やっとの思いで東京でロードショーにこぎつけた。今日の方が本当に一生に残る思い出です」と万感の思いを述べ「ここまで来れる力を与えていただいて、本当にありがとうございます」と感謝の思いを伝えていく。

児童虐待や育児放棄をテーマにした本作について、上西監督は「現状について知って心が壊れまして、救いを求めて書いた本ですが、非常にたくさんの方が受け取って頂いた。映画が終われば様々なお言葉をいただけて、その人の人生のそばに置いていただける。僕は役者として意義を持てました」と実感。さらに「こういう事態の中、走っていますが、こんな土砂降りの中でも、走りきれると思います。コロナの波が終わる後まで走りきる力を持っている映画。観ていただいて、口コミの方を広げていただいて、たくさんの方にいろんな思いを伝えられるように力添えをお願いいたします。みなさま、誠にありがとうございます」と込み上がってきた思いを伝えていく。最後に、サポーターの方々からの花束の贈呈後、フォトセッションが行われ、木下さん「これちょっと泣きそう・・・ちょっとかっこ悪い」と本音を漏らしながらも、舞台挨拶は締め括られた。

映画『ひとくず』は、関西では、大阪・難波のなんばパークスシネマ、十三のシアターセブン、堺のＭＯＶＩＸ堺、兵庫・豊岡の豊岡劇場で上映中。また、２月２７日（土）から神戸・元町の元町映画館、３月１２日（金）から京都・九条の京都みなみ会館でも上映予定。