10.7以降のパレスチナを日本人ジャーナリストが撮影した『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』がいよいよ関西の劇場でも公開!

©Kawakami Yasunori
ジャーナリストの川上泰徳さんが、イスラエルとパレスチナを取材したドキュメンタリー『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』が9月5日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』は、ジャーナリストの川上泰徳さんが2023年10月7日以降のパレスチナ・イスラエルを取材したドキュメンタリー。2023年10月7日、イスラエルに「壁(分離壁)」で封鎖されたパレスチナ・ガザ地区からイスラム組織ハマスが越境攻撃を行い、それに対してイスラエル軍は「壁の向こう」へ凄まじい報復攻撃を行った。死者は5万人を超え、そのうち1万8000人以上が子どもという惨状で、いまだ停戦の兆しが見えず犠牲者は増え続けている。外国人ジャーナリストがガザに入ることが困難な状況のなか、2024年7月、川上監督は同じく壁で分離されたパレスチナ・ヨルダン川西岸地区に取材に入る。パレスチナ側のベツレヘムからヘブロン、さらに映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』の舞台にもなったマサーフェル・ヤッタも訪れ、イスラエル軍による攻撃・破壊やユダヤ人入植者の暴力を目の当たりにする。一方、イスラエル側では国民の多くが壁の向こうの惨状を知らずにいるなか、兵役を拒否する3人の若者がいた。壁の外側と内側の現状を生々しく映し出し、イスラエルとパレスチナの戦争の背景を浮かび上がらせていく。
©Kawakami Yasunori
映画『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』は、関西では、9月5日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、9月6日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも順次公開。

2023年10月7日、ハマス主導によるガザのパレスチナ人戦闘員による越境奇襲攻撃に対して、イスラエルによる未曽有のジェノサイド攻撃が始まった…攻撃開始から僅か2週間で、ガザのパレスチナ人の死者は4000人を超えており、そのうちの半数近くが子どもであることに憤りを隠せない。亡くならなくていいはずの人達が亡くなっている、という事実にどのように対峙すればよいか…岡真理さんによる「ガザとは何か」という書籍を読むと、パレスチナで起こっていることを知ることが出来る。宗教問題が絡んだ複雑な出来事で理解することは難しい、と思う方は多いのではないか。実際は、宗教問題ではなく、一方的なジェノサイドであることを知り、しっかりと理解しなければ、という思いに至っている。そして、書籍だけでなく、本作のような映画や映像を通して、実情をさらに深く理解を進めることに繋がっていくのだ。壁で分離されたエリアがあることに驚くばかり。内側と外側でこのようにも違うのか。お互いに壁の向こう側で何が起こっているか知る由もない国民がこの地球上に存在するということの恐ろしさも感じてしまう。されど、兵役を拒否する若者がいる事実すらもカメラで捉えていく監督の真摯さも伝わってきた。日本人ジャーナリストといった肩書でカメラを持つことの危険性がありながらも歩を進める度胸に畏れ入るしかない。この行く末がどうなっていくのか、日々の報道だけでなく作品としても追いかけていいはずだ。この壁が壊されていく未来があることを願ってやまない。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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