定年退職した男性が突如スパイに?被害者本人の主演・脚本で映画化した『ジェリーの災難』がいよいよ劇場公開!

© 2023 Forces Unseen, LLC.
離婚・定年退職を経て、ひとり暮らししていた男性が、国際的なマネーロンダリング事件の容疑者と断定され、警察の潜入捜査に巻き込まれていく『ジェリーの災難』が3月20日(木)より全国の劇場で公開される。
映画『ジェリーの災難』…
長年アメリカで暮らしてきた69歳の中国人男性ジェリーは、妻と離婚して定年退職を迎え、3人の息子たちとも離れて独り暮らしを送っていた。ある日、彼のもとに中国警察から電話が掛かってきて、自分が国際的なマネーロンダリング事件の第一容疑者になっていると告げられる。ジェリーがフロリダに持つ銀行口座を通して、128万ドルが違法に移動されているというのだ。逮捕して中国に強制送還すると言われたジェリーは、中国警察のスパイとして捜査に協力することに。その後の数週間にわたり、銀行を監視して写真を撮ったり、極秘の送金をしたり、さらには隠しマイクを着けて窓口係を探ったりと、中国警察の指示通りに潜入捜査を手伝うジェリーだったが…
本作は、定年退職後の男性が1本の電話をきっかけにスパイに仕立てあげられ、違法行為に加担させられた実在の事件を、その被害者であるジェリー・シューが自ら脚本・主演を務めて映画化。ブルックリンを拠点に活動するロー・チェン監督が長編初メガホンをとった。
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映画『ジェリーの災難』は、3月20日(木)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマや桂川のイオンシネマ京都桂川、奈良・橿原のユナイテッド・シネマ橿原で公開。

詐欺電話の被害を受けてしまったおじいちゃんの体験談を御本人自らが脚本を書いて演じて映画化!?そんな作品が公開される報せを知った時は、本当にそんなことがあるの!?と驚く共に興味津々になってしまった。実際に本作を観てみると、おじいちゃんの視点を以て想像が具体化されており、これは、一歩間違えば誰もが恐怖と共に騙されてしまうかもしれない、と思ってしまうかも。警察や公安から、国際的なマネーロンダリング事件の容疑をかけられてしまうと、それは焦るだろう。でも、冷静になってみれば、そういったことで物理的に捜査が入り込んでくるのではなく、あくまで電話だけなら疑ってみる意味がある。まさに焦りは禁物だ。とはいえ、相手の策略に嵌ってしまえば、どんな妖しい依頼にも応じてしまうしかない。なぜなら、いつ自分が逮捕される分からないから。ならば、高額な預金の振り込みが必要ならば、銀行に疑われそうになっても回避しながらミッションを遂げていくしかない。だが、気づいた時には全財産を失ってしまうかもしれないんだな。よくぞ自身の体験を映画化しようと思い立ったな、と尊敬してしまう。そして、本作は、日本ではミニシアターだけでなくシネコンでも公開される。シネコンで広く公開される意義がある作品だ。是非とも社会的に意義深い作品を観に劇場に駆けつけよう。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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