パリ同時多発テロで妻を失った男の実話を描く『ぼくは君たちを憎まないことにした』がいよいよ劇場公開!
©2022 Komplizen Film Haut et Court Frakas Productions TOBIS / Erfttal Film und Fernsehproduktion
2015年にパリで起きたテロで妻を失った男性が、残された息子と現実を受け入れていく様を描く『ぼくは君たちを憎まないことにした』が11月10日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ぼくは君たちを憎まないことにした』…
2015年11月13日の朝、ジャーナリストのアントワーヌと幼い息子メルヴィルは、仕事へ急ぐ妻エレーヌを送り出す。しかしその夜、パリで多数の犠牲者を出すテロ事件が発生し、エレーヌも命を落としてしまう。アントワーヌは誰とも悲しみを共有できない苦しみと今後の育児への不安をはねのけるように、妻の命を奪ったテロリストへ向けてメッセージを書きはじめる。ひと晩で20万人以上がシェアした彼の「憎しみを贈らない」宣言は、動揺していたパリの人々を落ち着かせ、テロに屈しない団結力を生み出していく。
本作は、2015年のパリ同時多発テロ事件で最愛の妻を失ったアントワーヌ・レリスが、事件発生から2週間の出来事をつづった世界的ベストセラーを映画化。主演は『エッフェル塔 創造者の愛』のピエール・ドゥラドンシャン。『陽だまりハウスでマラソンを』のキリアン・リートホーフが監督・脚本を手がけた。
©2022 Komplizen Film Haut et Court Frakas Productions TOBIS / Erfttal Film und Fernsehproduktion
映画『ぼくは君たちを憎まないことにした』は、11月10日(金)より全国の劇場で公開。関西では、11月10日(金)より、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OS等、11月17日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロ事件。襲撃を受けたバタクラン劇場で妻を失ったアントワーヌ・レリスさんが綴った手記を、彼の心情を丁寧に映像化した本作。その日の朝までには一緒に過ごしていた妻を突然失い、家の中には妻がいたことが分かる光景がありふれていて、どれだけ苦しかっただろうか。犯人とされている者達の国の人を見るだけでも、苦しみは増していくだろう。だが、美しいまま亡くなった妻の遺体を見て、冷静になり、自身が考えたことをつらつらとFacebookに書き込んでいく…「君たちは僕の一番愛する人を奪った。でも、僕は君たちを憎まないことに決めたんだ」と。憎たらしくてたまらない感情を文字にして吐露してしまいそうになりがちだが、犯人を憎み報復をすることになれば、それはテロリストが望む戦争になりうる可能性もあり、犯人の思うつぼだ。ならば、あえて憎まないことにした決心はどれだけ重要であるか、と気づかされた。とはいえ、アントワーヌは夫であったと同時に1歳ちょっとの息子にとっての父親である。息子にとっては母親がいないことの意味が分からず、アントワーヌはどうしたらいいか分からない。怒りの連鎖を断ち切るためにはどうしたらいいか、と考えると共に、母親を失った家族が再生していく物語を折り重ね、今世界で起こっている出来事に対してメッセージを送っているような作品であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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