昏睡状態の母を兄3人と自宅で介護する14歳の少年が歌に魅せられる姿を描いた『母へ捧げる僕たちのアリア』がいよいよ関西の劇場でも公開!
(C)2021 – Single Man Productions – Ad Vitam – JM Films
昏睡状態の母親の介護をする兄弟たちと、母の好きなオペラに魅せられた、末の弟を描く『母へ捧げる僕たちのアリア』が7月1日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『母へ捧げる僕たちのアリア』は、南仏の海辺の町を舞台に、3人の兄たちと一緒に母を介護する少年の芸術への目覚めを、オペラの名曲の数々と共につづったヒューマンドラマ。古ぼけた公営団地で家族と暮らす14歳の少年ヌール。昏睡状態の母を3人の兄たちとともに自宅介護しながら、家計を助けるためバイトに明け暮れる日々を送っていた。そんなヌールの日課は、夕方に母の部屋の前にスピーカーを持っていき、母が大好きなオペラを聴かせてあげること。ある日、教育矯正の一環として校内を掃除していたヌールは、そこで歌のレッスンをしていた講師サラと出会い、歌うことに夢中になっていく。
本作が長編デビュー作となるヨアン・マンカが監督・脚本を手がけ、自身の体験を交えながら詩情あふれる映像で描き出す。『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』のダリ・ベンサーラ、『女の一生』のジュディット・シュムラが出演した。
(C)2021 – Single Man Productions – Ad Vitam – JM Films
映画『母へ捧げる僕たちのアリア』は、関西では、7月1日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、7月15日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
昏睡状態の母を支える兄弟4人。年齢も様々であり、仕事や勤しみたいこともバラバラ。母に対する受けとめ方も様々であり、一つの家族としてギリギリ成立しているのが奇跡のようにすら思えてくる。そんな過酷な状況下、主人公のヌールが兄に文句を云われようと、母が大好きなオペラを聴かせてあげることがせめてもの救いだ。そこで感性が磨かれていったのならば、歌のレッスンには自然と興味が湧いていく。素養があるわけだから、観る者の立場としては、無事に才能が発揮されていくことを願ってやまない。だが、現実が容赦なく過酷な環境を叩きつけていく。ろくでもない兄がいるのなら、貴重な時間やお金も奪われてしまう。親戚にいたっては、良かれと思ってやったことが家族を遠ざける結果しか生み出さない。南フランスにおける低所得者層の生活がこれほどまでに厳しいのか、と叩きつけられてしまった。だが、兄弟皆がヌールの成長を願うような光景を見せてもらったのがせめてもの救いだ。ヌールの未来に幸あれ!
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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