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監督が出禁になってしまった、北朝鮮の実態暴いたドキュメンタリー『ザ・レッド・チャペル』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2021年11月29日

(C)2009 Zentropa RamBUk All rights reserved 2009

 

北朝鮮の人々の素顔を暴くため、異文化交流と称した舞台公演の許可を取り、ふたりのコメディアンと共に北朝鮮に渡り、リアルな姿に迫っていく『ザ・レッド・チャペル』が12月3日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『ザ・レッド・チャペル』は、第2代国連事務総長ダグ・ハマーショルドの死の真相を追求した『誰がハマーショルドを殺したか』、平凡な一般市民が北朝鮮の武器闇取引の実態を暴き出した『THE MOLE』などで注目されるデンマークのジャーナリストでドキュメンタリー作家のマッツ・ブリュガー監督が、2009年に初めて手がけた長編ドキュメンタリー映画。北朝鮮の独裁国家としてのリアルな実態を暴いたことで、ブリュガー監督が北朝鮮から出入り禁止処分となった一作。知られざる北朝鮮の人々の素顔を暴くため、異文化交流と称して舞台公演の許可を得ることに成功したブリュガー監督は、韓国系デンマーク人で脳性麻痺を持つヤコブとシモンの2人のコメディアンと共に北朝鮮に向かう。熱烈な歓迎を受ける一方で、彼らの行動は常に監視され、本番までの間にヤコブとシモンのコントは幾度となく修正を加えられる。そんな中、ヤコブが金日成広場で行われる軍事パレードに参加させられることになる。軍事パレードの圧倒的な威圧感に、ブリュガー監督もさすがに恐れを抱くが…

 

(C)2009 Zentropa RamBUk All rights reserved 2009

 

映画『ザ・レッド・チャペル』は、関西では、12月3日(金)より大阪・心斎橋のシネマート心斎橋、2022年1月2日(日)より京都・烏丸の京都シネマで公開。

一般市民が北朝鮮の犯罪組織に潜入し実態を暴くドキュメンタリー『THE MOLE』内でも取り上げられたマッツ・ブリュガー監督の初ドキュメンタリー作品である本作。韓国系デンマーク人で脳性麻痺を持つ人とギター弾きのコメディアン2人を率いて北朝鮮に乗り込むという…一歩間違えれば国際問題になりかねない、と感じるが。だが、熱烈な歓迎を受けてしまう。とはいえ、常に監視人が付いている。その光景は、冷静になってみれば、自由が一切なく異様な状態。闇が深い。その深さ故に、監視人から涙まで見せられてしまうと、言葉を失ってしまう。息子だと思って接する姿には噓偽りしかないように感じざるを得ない。

 

そして、本来の目的である国立劇場での舞台公演についても一切の自由がなかった。演出家と呼ばれる人物に一通りを仕切られ、2人にとってもコメディアンの意義を失ってしまう。オリジナリティのない作らされた舞台を観た北朝鮮のエリート達は何がおもしろいのだろうか。やはり闇が深すぎる。つまり、本作は北朝鮮に潜む闇の深さを伝えようとしているのだ。結局、本作が世界で公開され、北朝鮮は怒り、彼等は出禁に…しかし、本作が結果的に『THE MOLE』の制作につながっていくので…目的のために手段を選んでいるような、選んでいないような…衝(笑)撃のドキュメンタリーを存分に楽しんでほしい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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