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1つ1つの作品が完成するたびに嬉しくて、早くお客さんに見せたくなりました…元町映画館10周年記念作品『きょう、映画館に行かない?』元町映画館支配人の林未来さんに聞く!

2021年11月25日

2010年8月21日に開館した兵庫・元町映画館の10周年を記念した作品『きょう、映画館に行かない?』が11月27日(土)より公開される。今回、元町映画館の支配人である林未来さんにインタビューを行った。

 

映画『きょう、映画館に行かない?』は、2010年8月21日に開館した兵庫・元町映画館の10周年を記念した作品。短編で構成され、衣笠竜屯が事実をもとに手がけた「神戸 ~都市がささやく夢~」、加藤綾佳が元町を舞台に贈る“現代版ローマの休日”「オードリーによろしく」、本プロジェクトの発起人・小田が夢、暗闇、電車、車窓など好きなものを詰め込んで制作した「Night Train」等を楽しむことができる。

 

2019年の秋頃、小田香監督から、2020年に元町映画館が10周年を迎えることを記念した作品について提案を受けた林さん。支配人という立場から「映画監督に映画を作ってください」というお願いは畏れ多く、思ってもみなかった発想だった。とはいえ「元町映画館が主体になって声をかけると、気を遣わせてしまう可能性がある」と感じ、小田監督が積極的に企画案を挙げ、作品に協力してほしい方への呼びかけも担う。林さんは今までお世話になり関係性を作ることが出来ている監督をリストアップし、小田さんが「映画館への思いや元町映画館へのお祝いの気持ちを込めた15分以内の作品を作って下さい」と依頼し、良いお返事を頂いた。当初は2020年夏頃の完成を予定していたが、コロナ禍となり、締め切りについては無理強いせず、3度延期し、11年目の2021年に公開することを目指す。

 

作品の製作にあたり、実行委員会を組み、小田さん、シネ・ヌーヴォの山崎紀子さん、映画宣伝の松村厚さん、元町映画館の林さんと石田涼が参画。林さんからは、元町映画館での撮影を積極的に依頼したわけではないが「使いたいと言って下さった監督さんがいたので、その場合は、どうぞ是非」と快く提供した。また、京阪神のミニシアターを支援するプロジェクト「Save our local cinemas」のTシャツを使用したいというリクエストも頂き、様々なリクエストに応じていく。各作品のキャスティングに対する要望は一切口出しせずお任せしたが「親しい方が沢山出演しており、嬉しくなっていました」と感慨深い。

 

全ての作品が揃い、実行委員会の5人で試写を行い、上映順を話し合った。順番に関しては「作品同士の繋がりやニュアンス、作品に隠されたテーマを考えていくと自然とまとまりある流れが出来上がりました」と説く。「鈴木宏侑監督の『光の窓』には、本作のタイトルになった台詞があり、ラストにしたかった」と述べ、皆が賛同しており「衣笠竜屯監督のの神戸を題材にした作品はこの中では異色であり、配置できる場所が限られていたので、導入部分に入れました。この作品を始まりとして映画の世界に入っていけることをイメージしました」と柔軟に考えながら、順調に決めることが出来た。上映順を整えた後に再び試写を実施し、本作のタイトルも会議を経て決定。林さん自身はどの作品もおもしろく素敵だと感じており「宝箱のように開けて驚くような様々な作品が入っていて楽しい印象があります。それぞれの監督らしい作品が作られているので、いち映画ファンとして嬉しい」と喜んでおり、特にお気に入りの作品として「ポスターやタイトルに引用させて頂いた、最後の作品が素晴らしく、客観的に全体を表現できるビジュアルが印象深い」と『光の窓』をピックアップする。本作が完成した当時を振り返り「1つ1つの作品が届く毎に鑑賞し、都度嬉しくて盛り上がっていました。そして、早くお客さんに見せたいという気持ちが強くなっていきました」と思いが募っていく日々を懐かしんだ。今夏には一足早く、お披露目版として上映しており「元町映画館に所縁が深い監督達なので、それぞれの監督が好きなお客さんに作品の意外性を楽しんでもらえた」と満足している。

 

今年で開館11年となった元町映画館は、一般社団法人コミュニティシネマセンター での繋がりによって「『そんな映画館があったんだぁ』と云われることも少なくなりました」と話す林さんとはいえ「関西以外の劇場の方と普段から連携したり共に企画したりする機会はまだまだ少ない。全国での上映もゼロからの営業になる」と認識しており「コミュニティシネマセンターの繋がりやそれぞれの監督作品を上映している劇場に興味を持ってもらえるかな」と様々なアプローチの方法を考えており、本作を全国の映画館で上映すべく活動していく予定だ。

 

映画『きょう、映画館に行かない?』は、11月27日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。また、12月18日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、2022年1月には京都・九条の京都みなみ会館でも公開予定。なお、本作に参加した11名の監督達の作品を一挙上映する特集「元町映画館と映画作家たちの10年ちょっと。」を11月27日(土)から12月3日(金)まで開催。連日、上映作品の監督による舞台挨拶を開催予定だ。

元町映画館10周年を記念して集まった9組の短編作品と2組のメッセージからなる本作。宇治茶監督と今井いおり監督の熱いメッセージから幕を開ける。短編作品群の先陣を切るのは、『神戸〜都市がささやく夢〜』。神戸の街と映画の密接な関係を、とても丁寧教えてくれる、関西の映画好きは必修科目かもしれない!そもそも、導入の一作からして、すでに映画館に行きたくなる!そして『オードリーによろしく』『Night Train』『これから』『Moment』『Home Coming Daughters』『あなたが私に話しかける言葉を聞きたい』『すずめの涙』『光の窓』と駆け抜けて行く。各々の作品が、それぞれの感性で映画/映画館愛を、溢れんばかりに語りかけてくる、監督と元町映画館の想いが紡ぐ、全9作。さて今日も、映画館に出かけようか。

from関西キネマ倶楽部

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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