Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

豪華ゲストを迎え開催!菅田将暉さん登場のサプライズも!おおさかシネマフェスティバル2018授賞式開催!

2018年3月4日

大阪の映画ファンのための映画祭「おおさかシネマフェスティバル2018」が、3月4日(日)に大阪・堂島のホテル エルセラーン大阪で開催。豪華ゲストの登壇による表彰式が行われた。

 

おおさかシネマフェスティバル」は、1976年に大阪・中之島の関電ホールで「第1回映画ファンのための映画まつり」としてスタート。 関西在住の映画ファンが選ぶ前年度の邦・洋画ベストテンと個人賞を表彰するイベントで、受賞者の映画人と映画ファンが、 大阪でスキンシップを図る映画祭として多くのファンに愛され、親しまれてきた。 第25回(2000年)で「映画まつり」の灯は一度消えたが、2006年に「」として復活し毎年開催している。選考対象となる映画は、大阪で2017年1月から12月20日までに公開された作品。年間200本以上の映画を鑑賞した関西の映画ファンによる投票を基に、選考会を開き「ベストテン」と「個人賞」を決定した。

 

授賞式では、まず、関西を中心に活躍する若き才能に送るワイルドバンチ賞が『月夜釜合戦』(佐藤零郎監督)に送られた。佐藤零郎監督は「資本と行政の都合によって使いやすい労働力として集めらた日雇労働者ですが、高齢化に伴い野宿している人や生活保護を受けている人がおり、炊き出しで大釡を用意して行っている」と釜ヶ崎について説明。映画をつくるにあたり「立地条件が良く、近くには通天閣やあべのハルカスがある。再開発の流れが押し寄せて、日雇労働者や生活者が場所を奪われること(ジェントリフィケーション)に対し、抵抗する意味合いを込めた。」と経緯を述べる。本作は「泥棒達が釜を奪い合うストーリーですが、本当の泥棒は誰なんだ」ということを描いた。撮影にあたって「10年ぐらい活動しており、日雇のおっちゃんや友人も多く苦労なかった」と話す。また、本作は16mmフィルムによる作品であるが「プロデューサーが撮影して編集し映写も行った。映写機がなく、機材からかき集めた」と大変さを振り返った。

 

新人監督賞は、『ハローグッバイ』の菊地健雄監督。菊池監督は「主演の久保田紗友さんと萩原みのりさんの若い二人のあの時期にしかない魅力を映画で引き出したかった。そのために、もたいまさこさんや渡辺真起子さんらベテランの女優さん達と共演してもらった」と真意を説く。作中で印象的な石段について「元々は坂道だったがロケハンで最適な場所が見つからず。階段を良いタイミングでスタッフが見つけてくれ、階段が使えないかな」と検討した。2人にとって初めての主演映画だったが「気合が入っていた。本人達が友達じゃない設定だったので、リハーサルの段階から互いに喋らず、撮影現場の外でも演出を考慮した役作りをして、素晴らしいキャラクターになった」と満足。8日間の撮影だったが「夏真っ盛りの中で、俳優さん達が皆頑張ってくれた」と讃えた。

 

音楽賞は、『ハローグッバイ』を担当したSchroeder-Headzの渡辺シュンスケさん。渡辺さんは映画音楽の仕事が初めてだったが「今作は音楽が大事な映画。監督から初恋の気持ちを思い出してほしいと言われ、当時の気持ちを思い返した。この映画がなかったら出てこなかった素敵な音楽」と満足している。菊池監督も「素晴らしかった。音楽が肝の作品。作ってもらっては意見を出させて頂いた。曲がなかったら生まれなかった芝居となりました」と太鼓判を押す。なお、渡辺さんは、もたいさんの初恋相手の息子役として作品にも出演したが「演技は小学校の学芸会以来だったが、監督に指導して頂いた」と感謝している。

 

撮影賞は、『幼な子我らに生まれ』の大塚亮さん。大塚さんは「楽しんで撮影しました。毎回作品が違うので、何が良いのか探しながら撮影するのは楽しいですね」とカメラマンの醍醐味を語った。

 

脚本賞は、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石井裕也さん。本作の監督であり「撮っている時は、いつも楽しいし難しい」と話す。主演の石橋静河さんに対し「注文はあまりしておらず…本人に聞いてみてください」と述べた。

 

監督賞は、『彼女がその名を知らない鳥たち』の白石和彌監督。白石監督は同名小説の映画化にあたり「原作の設定を出来るだけ忠実にした。蒼井優さんが演じ役を膨らませてくれたことも大きい。基本的に登場人物には共感できない。でも実は少しだけ共感しちゃう!?というところをキャラクターで狙っていった」と成功したと感じている。決して人に好かれるキャラクターではないが、蒼井さんが演じ「キャラクターの演技も引き出しました。あぁいうところは誰にもあるんじゃないか」と共感を求めた。

 

新人女優賞は、『映画 夜空は最高密度の青色だ』の石橋静河さん。石橋さんにとって初主演映画だったが「全て難しかった。台本を読む段階から未知の世界。やってみて違うと言われ試行錯誤しながら、なんとか食らいついていった。ナレーションの大変さを考える余裕もなかった」と苦労を振り返った。今後は「自分の性格と真逆な人や役に入り込んで様々な世界を見てみたい」と見据える。

 

新人男優賞は、『君の膵臓をたべたい』の北村匠海さん。今作の主人公を演じるにあたり「映画の中の僕というキャラクターが自分自身の過去と重なる部分があった。一人で塞ぎ込んでいた時期があり、気持ちが理解出来たので、自然に演じられそうだ」と役に挑んだ。本作を手掛けた月川翔監督とはこれまでに仕事をしていたことがあり「スムーズに意思疎通をしながら撮影出来たので、難しさより楽しさの方が大きかった。現場の空気感と当時のリアルな感情を以て演じた」と振り返る。

 

助演女優賞は、『幼な子われらに生まれ』の田中麗奈さん。複雑な家族関係の中にいる主婦を演じた田中さんは「旦那さんの真面目さが好きだけど、自分自身が元妻に嫉妬してしまう心が渦巻いてしまう。お母さんなので子供たちに明るく能天気に接していくのがお仕事ですからね」と冷静に役を捉えた。共演の浅野さんについて「プレッシャーがあったと思います。渦巻いている悩みを発散できず沸々とされているのを横で見ていました。耐え忍んで家族の真ん中に立って頂いたおかげで、私が演じた主婦の役を見て頂けた」と感謝している。

 

助演男優賞は、『あゝ、荒野』のユースケ・サンタマリアさん。今作でボクシングのトレーナー役を演じたユースケさんはそれまでボクシングの経験はなく「ジムへ練習に通いました。僕がボクシングをする演技はないですが、ミットでパンチを受けないといけない。手を出しているだけでは駄目、パンチの力を殺さないといけない。皆が何カ月も前から凄い量のトレーニングをやっていましたが、僕は一ヶ月~二ヶ月通っていました」と明かす。共演したヤン・イクチュンさんに年齢が近いが「菅田君と同じように練習し、最後まで演じ切った」と尊敬している。

 

主演女優賞は、『彼女がその名を知らない鳥たち』の蒼井優さん。蒼井さん自身も「よく企画が通ったなぁ」と感じながらも「本当に不快な人しか出てこない。こんな賭けに出る企画でキャストの皆さんやスタッフが集まったのは白石和彌監督と仕事がしたくて集まっていたから」と白石監督の凄さを物語る。十和子という役を演じるにあたり「現場のスタッフさんに嫌われているんじゃないかなって心配はありました。現場の皆さんに十和子というキャラクターが嫌われるようでは、お客様にはもっと嫌われる」と感じ、そのバランスは注意しながら演じたことを明かす。

 

主演男優賞は、『火花』『ビジランテ』の桐谷健太さんと『火花』『帝一の國』『あゝ、荒野』の菅田将暉さん。菅田さんは当初、欠席の予定だったが、スケジュールを調整し授賞式に出席頂いたので、一際お客さんの盛り上がりが大きかった。『火花』について、桐谷さんは「僕らは漫才師に見えることが大事。相方役の三浦誠己さんと一緒に代々木公園やカラオケルームで練習したり、劇場に行っていきなり漫才をやらせてもらったりしました。そこでウケたりスベッたりを経験しながら本番に挑みました」と明かす。菅田さんは「漫才シーンの撮影では、お客さんはネタを知らないので、ウケたりスベッたりシーンがリアルだった」と振り返った。

 

外国映画作品賞は『ラ・ラ・ランド』。配給を担当したGAGA株式会社関西支社の下高原啓人さんは「今日も『ムーンライト』と言われるかと思った。昨年のアカデミー賞で『ラ・ラ・ランド』と読み上げられ、祝杯でシャンパンをつぎ回っていたが、『ムーンライト』と訂正され、こっそり下げた」と昨年のエピソードを明かした。

 

日本映画作品賞は『彼女がその名を知らない鳥たち』。本作をプロデュースしたクロックワークス株式会社深瀬和美さんは「原作がとてもおもしろい。『凶悪』の白石監督がラブストーリーを作ることにワクワクし、迷いがなかった。最初から蒼井優さんの主演は念頭に置いていたが、やってもらえないんじゃないかと監督とも話していた。チャレンジングな役なので、ダメもとでいってみた」と明かす。授賞式後の特別上映にあたり、白石監督は「一昨年10月に大阪で皆で必死になって撮った映画です。栄えある作品賞を頂き光栄に思っております。楽しむ映画ではないかもしれませんが、最後まで見て頂ければ」と託し、感謝の気持ちを伝える。蒼井優さんは「こんなに笑い泣きされている方がいる授賞式は滅多にない。これから様々な俳優仲間がここに参加できると思うとワクワクします。私もここに戻ってこれるように頑張りたい」と意気込みながら、授賞式を讃えた。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts