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性のあいまいさ映し出し、見つめ直すドキュメンタリー!『恋とボルバキア』小野さやか監督に聞く!

2018年1月21日

(C)2017「」製作委員会

 

セクシャルマイノリティの人々を見つめたドキュメンタリー『恋とボルバキア』が、現在、大阪・十三の第七藝術劇場で公開中。2月9日(金)までの上映延長や、前作『アヒルの子』が第七藝術劇場でも再上映されることが決まった今、あらためて小野さやか監督にインタビューを行った。

 

映画『恋とボルバキア』は、セクシャルマイノリティの人々をテーマに撮り上げたドキュメンタリー。トランスジェンダー、レズビアン、女装者など8人のセクシャルマイノリティたちの恋愛模様、日常を追い、彼らの姿を通して曖昧で混沌とした性や恋、人によってさまざまな夢、幸せのかたち、生きづらさなどを描き出していく…タイトルの「ボルバキア」は宿主を性転換させる共生バクテリアの一種。

 

本作は、撮影と編集含めて4年間もかけて制作された。小野監督は取材中には印象に残る出来事がいくつもあった。特に印象に残ったこととして「蓮見はずみさんに『あなたも男だったんじゃないの?』と問われたことかもしれません。当たり前に女として生まれて女である自分を疑ったことがなかったので、その質問に驚き、涙がこぼれた」と漏らす。本作の出演者達は、男性として生まれながら、身体や心の中にある女性性を大切にしたいという人。純粋な気持ちで撮影し「男の人が女性性を持ちたいと願う時、それを周りに関わる人たちが受容できるかが重要」だと捉える。監督は「もしあなたの身近な男性が女性性を持ちたいと願うとき、あなたはどう思うでしょうか」と問う。

 

出演者に対し真摯に取材していった小野監督だが、困難にも遭遇する。ドキュメンタリー映画において「対象者と出演に際して駆け引きをしていいものだろうか。本当に伝えたい想いがある人がメッセージを持って出演してほしい」と葛藤がありながらも、悔いなく撮影を続けていった。劇映画と違い、ドキュメンタリー映画では「人間関係も変化するし、恋人同士や家族などの場合、映画に出るメリットがないと難しい。この映画の出演者は4年間、ノーギャラで撮影に付き合ってくれました。そこには、出演者の生き方をメッセージとして誰かに届けたいという気持ちが強い」と受けとめる。

 

本作の中盤以降では、50代の一子さんが登場し、作品の持つテーマに広がりを与えた。小野監督は、一子さんについて「女装という家族にも認めてもらえない日陰的なイメージを全く感じさせない人だった。その他の出演者の中には、女装や女性であることを望む過程に家族との離婚を経験している人もいたが、一子さんは、自分の本当の願望を二の次にして、家族に必要とされる父親を演じ続けている」と捉えている。考え方は人それぞれだが「一子さんの生き方は慎ましい性格を表している」と表現した。

 

なお、男性の心を持つ女性や男装女子が登場しない。当初、「女装がブーム」というテレビ番組から始まっているため、小野監督は男装女子等に興味を持つ以前に「なぜ女を装うのか」という疑問に対する答えを探ろうとした。実際に撮影を薦めていくうちに「誰も女装の一括りで説明できる人がいなかったので、男や女、LGBTというカテゴリーも外した、その人たちの人間として共感できる部分を撮影する形となった」と明かす。結果的に「多様な性を映画は描いているが、分類化したLGBTの中の他のパターンの切り口の方達を記号化で人間を描こうとしていなかったので、特に偏っているという感覚を持っていません」と応える。続編を作るならば「同じ対象者やその友人たちと作るかもしれません。出演者たちがいやでなければですが…」と控えめだ。

 

小野監督は、今後について「制作したいドキュメンタリーのテーマやアイデアは沢山ある。企画は何度落とされても、タイミングがあえばすっと引き上げられることがある。共同体や家族と性の問題について、絡んだ企画が多い気がしますが、皆様にお披露目できる日を楽しみにしています」と未来を見据えている。

 

映画『恋とボルバキア』は、2月9日(金)まで大阪・十三の第七藝術劇場で公開。また、小野さやか監督の前作『アヒルの子』が2月3日(土)から2月9日(金)までの1週間限定で第七藝術劇場で上映することも決定した。2月3日(土)には、『アヒルの子』の上映後と『恋とボルバキア』の上映前に小野さやか監督の舞台挨拶を予定している。なお、神戸・元町の元町映画館と京都・出町柳の出町座でも順次公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆

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