Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

吐きたくなるほど愛されたい!恋愛映画の皮を被った戦争映画『ぼくらの亡命』大阪上映初日トークショー開催!

2018年1月20日

「他者への依存」をテーマに、社会に希望を見い出せない男が抱く愛の行方を描き出す『ぼくらの亡命』が1月20日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で1週間限定公開。公開初日には、上映後に内田伸輝監督を迎えてトークショーが開催された。

 

映画『ぼくらの亡命』は、孤独な男女の他者への依存をテーマに描いた自主制作による長編劇映画。東京近郊の森でテント暮らしをするノボルは、ある日、キフユという女性に出会う。美人局をやらされているキフユをその境遇から救う目的で、ノボルはキフユを誘拐し、キフユの男・シゲヒサに身代金を要求する。ノボルの要求を意に介さないシゲヒサに捨てられることを恐れたキフユはシゲヒサの元に戻るが、シゲヒサは別の女に美人局をさせていた。そのことに逆上したキフユはシゲヒサを刺してしまう。その様子を見たノボルは、キフユと2人で日本からの脱出を企てる…

 

上映後、内田伸輝監督が登壇。挨拶と共に「この映画は、1年かけて撮影した後、半年かけて編集を行った作品。完全な自主映画として、スタッフ3人でじっくりコツコツと作ってまいりました。完成し上映できることを嬉しく思います」と喜びを表す。

 

内田監督は、2010年に『ふゆの獣』を自主映画として映画祭含め劇場公開。2012年に『おだやかな日常』を制作会社と共に作り、同時に『さまよう獣』も商業映画として制作してきた。そんな中で「もう一度、自分たちで時間をかけ、ゆっくりとしたペースで映画をつくっていきたい」と想いを抱く。商業映画の場合、時間が決められ、タイトなスケジュールであることから「スケジュールに縛られないことを前提にした自主映画をやってみよう」と発起。内田監督と撮影監督の斎藤文さん、録音の新谷寛行さんの3人がキャストのスケジュールを調整しながら土日に集まって撮影を敢行した。

 

今作のきっかけは、内田監督が、若い男女のカップルが美人局をして逮捕されたニュースを見て「美人局ってまだあるんだ」と衝撃を受けたことに由来する。美人局は中世エジプトの時代からあり「未だに古典的な詐欺があるんだ」と興味が湧いた。戦後70年となった2015年、戦争を絡めたものを作りたいと思っていたが「戦争は領土の奪い合いが起きるが、男女の奪い合いとリンクする。恋愛の皮をかぶった戦争映画にしよう」と企てる。

 

主人公のノボルについて、内田監督は「基本的にネガティブな人間。ヘイトスピーチの塊みたいなキャラクターを充てた。テントに恨み辛みを書道で書く姿は、ある種のヘイトスピーチ」だと解説。監督は、生活弱者や弱い立場の人達の方に目を向けたい。それは「必ずしも、集団でデモをしている人たちではない。むしろ真逆で、自分達は強いと言っていながら、実は弱い人達にスボットを当てた。精神的な弱者に惹かれる部分があり、そういう人達に注目して描いている」と冷静に分析する。また、善良な人達について「果たして良い人は世の中に存在するのか」と疑問があり「結局、正義を振りかざしても叩いていくとボロが出てくる。人間の弱さを彼の中で描きたかった」と胸中を明かす。

 

撮影時、内田監督はリハーサルと段取りを行った後、同じシーンを数十回繰り返した。以前までは即興で映画を作り一発本番で撮影することが多かったが「即興の自由度と熱量を台本ありきで表現すると演技の質が下がり、レールに沿った芝居をしてしまう」ことに気づき、そのレールが外れるまで、徹底的にやり直す。現場では、怒鳴ることはなく、ダメ出しをし続けるが「一発OKを出す時もあり、その時はみなさんビックリしている」と俯瞰する。役者の演技に対し「1回目は気合が入り過ぎ、空回りしているように見えてしまう。そこを指摘すると、2回目はやり尽くしたのか気が抜けている。さらに指摘し、3回目ぐらいに立ち直ってくる。そこでOKが出ないと回数が増えていく」と厳しく指導してきた。全て妥協しないという形式ではなかったが「ここは大丈夫かなと思ったらOKを出すが、どうしても妥協出来ないところは譲らなかった。どんなに疲れていてもOKを出さないようにした。時間切れになったらまた来週」と徹底している。ようやく1本の作品となった時、荒い編集版として繋げていくと4時間程度になった。それを切り刻んでいくと3時間から2時間半の作品になっていく。その辺りから「自分とのせめぎ合いが起き、どこを残すか考えるようになる。もっと沢山撮っているが、バッサリ切って繋げて成立した時、ようやく出来上がった」と本作に満足している。

 

最後に、次回作について「今、書いている最中です。次は共感して感動するような話を作りたい。だが、簡単に感動すると表現するものではない。嫌なものを観たという感覚は残りつつも、人間は助け合って生きていくと訴えられる映画を作りたい」と熱い想いを込めながら、感謝の気持ちと共にトークショーは締め括られた。

 

映画『ぼくらの亡命』は、大阪・十三の第七藝術劇場で1月20日(土)から1月26日(金)までの1週間限定公開。連日20時からの上映となっている。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆

Popular Posts