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カラフルにトランスする恋のヒリヒリとドキドキと混沌のドキュメンタリー!『恋とボルバキア』小野さやか監督とみひろさんを迎えトークショー開催!

2018年1月13日

セクシャルマイノリティの人々を見つめたドキュメンタリー『恋とボルバキア』が、1月13日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。公開初日には、上映後に小野さやか監督と出演のみひろさんを迎えてトークショーが開催された。

 

映画『恋とボルバキア』は、セクシャルマイノリティの人々をテーマに撮り上げたドキュメンタリー。トランスジェンダー、レズビアン、女装者など8人のセクシャルマイノリティたちの恋愛模様、日常を追い、彼らの姿を通して曖昧で混沌とした性や恋、人によってさまざまな夢、幸せのかたち、生きづらさなどを描き出していく…タイトルの「ボルバキア」は宿主を性転換させる共生バクテリアの一種。プロデュースは佐村河内守を追った森達也監督の「FAKE」、坂本龍一を追った「Ryuichi Sakamoto: CODA」などを手がけた橋本佳子。

 

満員御礼の初日、上映後は小野さやか監督とみひろさんが順に登壇。みひろさんが上映初日を迎えたことに感謝すると共に、小野監督は「この映画は撮影と編集含めて4年間かけて制作しました。編集自体は9カ月程かかり、校正は50回もかけ何度も何度も直しました。皆さんに観て頂いた形になるまでに、出演がNGとなった方が出たり、先方の都合で使えなくなった箇所もあったり。限界を迎えながらつくりました」と感慨深げに話す。本作に出演したみひろさんは「今まで様々なメディアに出させてもらったが、小野さやかの作品は心の入り方や思い入れが全然違う」と称賛する。

 

本作を作るきっかけについて、小野監督は「私がテレビの制作会社で働いていた時、会社から『今、女装がブームだからドキュメンタリーを作れないか』とお声がけ頂いた」と明かす。小野監督の知り合いに該当する方がおらず、どういう人達なのかと思っていたが「実際にお会いし『メディアは嫌いだ』と告げられた。『私達のことを見下し、馬鹿にして笑っている。そんなドキュメンタリーを撮るなら出たくない』とハッキリ言われた」と打ち明ける。そこで「抱いていたイメージと全然違う。自分がドキュメンタリーを作るのであれば、当事者達から本当の声を描きたい」と思うようになり、取材を通して多くの人と話し、監督が尊敬できる人達に出演頂いた。

 

みひろさんが本作を最初に観たのは、公開の1ヶ月前頃。パンフレットに作品への印象やコメントを掲載する為だ。みひろさんは「5年前に共演した人達の近況に興味を持って作品を通して観た。自分が出ているシーンは恥ずかしくてほとんど観られない。自分以外を真剣に観た」と告白。小野監督について「撮影後、完成するまで誰にも作品は見せない。プライドがある。距離感はとても近く、グイグイ入ってくる。人を巻き込んでいく力は小野さんがこれまで一番強い人間」だと思っている。これを受け、小野監督は「みひろさんはやる気があるタイプ。どんなお願いをしても本気で応えてくれる」と評価した。

 

今作の出演者は皆ほぼ知り合い。小野監督は群像劇だと捉え「皆をつなげないと意味がない。ドキュメンタリーで重要な要素は、まず距離感。年月と共に近づいていかないと、その人達の関係性やテーマに迫れない」と考える。本作は、出演者に協力を仰いで完成した作品であり「出演者達は自己表現が得意であることに大きく影響している。自分が演じたい性やなりたい性だけでなく、他者に見られている性であることを演出に加えたかった。好きになる人の性が変化していき、本人自身の性も無意識に変化していった」と気づく。みひろさんに対し「格好良いところばかり見せないでほしい。みひろさんが見せたいみひろさんは美しい部分だけだ、と本人は思っていたかもしれないがそうじゃない。人間は弱くて傷ついたり、誰かに愛していると言いながら受け入れられなかったり、と誰もが一度は経験したことがある。だから、自分に共感してくれる」と格好悪い部分も見せてほしいと説得。みひろさんは小野監督と出会う前に幾度かメディアに出演していたが「この子に撮ってもらう映像は全然違う。心を込めた映像になっており、誰を撮っていても美しい。様々な面も含め、この子だったら撮ってもらいたい」と思うようになった。

 

ドキュメンタリーを撮るにあたり、小野監督は「撮影手法として俯瞰的な視点が必要になるが、今作はエンターテインメントとしてドキュメンタリーが成立するかやってみたかった。自分がおもしろいと思っている劇映画を観るように、ドキュメンタリー映画も楽しんでもらいたい」と本作に想いを込めている。みひろさんは、小野監督について「普段の姿と撮影時は、ほぼ変わらない。カメラを持ったら貪欲さが2割増しになる」とコメント。これを受け、小野監督は「私は日本映画学校に入学し、3年次の担任が原一男監督だった。そこで『マイクは刺すものだ』と教わった。撮影していることを意識させ、映像を撮りつつプレッシャーをかける方法論は否めない。先生が違えば方法論は違っていた」と振り返る。本作に出演し、みひろさんは「撮影していく中で、要求されていることを考え先回りして動くことはあっても、指示が一切なかった。ありのままを撮るのがドキュメンタリーだと教わった。自分の人生の幅が広がる貴重な体験をしたのではないか」と満たされた。現在は「撮影が終わっても人間関係が続くことはめったにない。今度は小野さやか自身が幸せになって結婚してくれたら一番良い」と応援している。

 

最後に、みひろさんは「映画になり、どんな方に観に来て頂いたか分かるのは物凄いこと。感動しています」と満面の笑みで表す。小野監督からは「みひろさんに『劇場で観てほしい』と言いたい。今日、映画の最後を皆さんと観て、終了後に直ぐにみひろさんのご両親から拍手が挙がった。私は物凄く泣けた」と素直な気持ちを伝え、トークショーは締め括られた。

 

映画『恋とボルバキア』は、1月13日(土)から2月2日(金)まで大阪・十三の第七藝術劇場で公開。1月21日(日)には、小野さやか監督と尾辻かな子さん(一般社団法人LGBT政策情報センター代表理事・衆議院議員)によるトークショーを開催。なお、神戸・元町の元町映画館と京都・出町柳の出町座でも順次公開予定。また、小野さやか監督の前作『アヒルの子』が2月3日(土)から2月9日(金)までの1週間限定で第七藝術劇場で上映することも決定した。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆

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