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小林勇貴監督作品「特襲上映」!最強・最恐・最狂・最凶の秘伝を大公開!ゲリラワークショップ特別開催!

2017年9月4日

9月2日(土)より大阪・十三のシアターセブンで、小林勇貴監督作品「特襲上映」が開催されている。9月4日(月)には、小林勇貴監督、小峰克彦さん、大石淳也さんを迎えて、ゲリラワークショップが特別開催された。

 

小林勇貴監督作品「特襲上映」は、過去公開された3作品と劇場未公開作品を含めた、合計4作品を一週間連続特襲上映する。上映作品は『Super Tandem』(2014年)、『NIGHT SAFARI』(2014年)、『孤高の遠吠』(2015年)、『逆徒』(2017年)。

 

今回、開催されたゲリラワークショップは、これまでに宇多丸、白石晃士監督らも巻き込んだ犯罪スレスレ?!の 野蛮なゲリラ宣伝の成功体験を監督自らが振り返るイベント。映画は祭りだ!見世物小屋だ!宣伝だって派手に仕掛ける!心意気を大いに小林監督は語った。

まずは、小林監督が登場するや「ゲリラワークショップだ、コノヤロー」と威圧感全開、緊張感ある空気の中でイベントは開始。冒頭に、特別講師の大石淳也さんが前日に泊まった西成区で行ったゲリラ宣伝映像を公開し参加者は爆笑、和やかな空気となった(なお、公開された映像は到底公開できるものではない)。小林監督は「これまでの作品を追いながら、どういう撮影や宣伝をしていたかを説明します」と今回の趣旨を述べた。

 

最初に『Super Tandem』の映像を流し、小林監督は、ゲリラ撮影の基礎中の基礎としてカーチェイスから説明を始めた。

カーチェイスは、以前は有料道路だったが、現在は無料になった道路で撮影された。小林監督は「お金をかけない撮影手法としてゲリラで撮る」と、ゲリラを行う理由の一つを明かす。撮影のコツについて3つの視点。追われる車と追う車、その2台を捉える車の3つ視点で説明。大石さんからはスピード感を出すための技法も解説。

 

次に『NIGHT SAFARI』の映像を流し、立体駐車場で段ボール箱を積んだゲリラ撮影の手法を説明した。小林監督は、撮影時のヒヤリ経験までも告白。さらに『NIGHT SAFARI』からは銭湯で撮影したシーンも流した。

小林監督は、暴力映画に床屋か銭湯での襲撃シーンが必要だと考える。下調べをする共に、一緒に撮影した不良の子から、様々な銭湯の入り方を訊いた。「不良は味方にしておくべき。何でも知っている」と豪語する。

 

『NIGHT SAFARI』の宣伝は、ぴあフィルムフェスティバルの監督同窓会でも行われた。これまでぴあフィルムフェスティバルに関わった全ての監督を招待した同窓会が開催された時、小林監督も入選していたので呼ばれていた。友人らと共に正面突破し、トイレで着替えた後に記念品と称して『NIGHT SAFARI』のDVDを配布した。小林監督は「変装はトイレで行う。僕達が心を躍らせた全ての映画はトイレで着替えていた。さらに著名な監督に渡す」ことは浪漫だと表現する。この方法について、白石晃士監督がTwitterで反応し、さらに作品を早速鑑賞してくれ、親交ができるに至った。「巻き込まれた人はタダじゃ済まされない。出演依頼にもつながった。パッケージも作り込めば、騙されて嫌な気分にならなず、楽しませられる」とゲリラ宣伝の目的の一つを挙げた。

 

さらに、『孤高の遠吠』から本当の暴走族による暴走シーンを流した。

ここで、小林監督は暴走三カ条として、暴走行為の打合せはGoogle Mapを用いる、撮影者はケツモチのニケツに乗らない、コンデジのカメラによる撮影を挙げる。本当の暴走族による暴走シーンをいかにして迫力ある映像に仕上げたかが伝わって来た。

 

『孤高の遠吠』の宣伝については、TBSビルでも行われた。小林監督は、ゲリラの心得として、デカくてエバっているものには喧嘩売れ、と訴える。宇多丸のタマフル24時間ラジオで、1ヶ月後に予定していたカナザワ映画祭での『孤高の遠吠』上映を宣伝のために友人と共に潜入。どうにかして収録現場まで到着したが、番組スタッフが勢ぞろいで待ち構えられ叱られた。それでも、ポスターをTBS内に配っておくことは約束された。「ダダをこねることは大事で、思わぬサプライズが待っている」と考えている。結局、宇多丸が番組内で『孤高の遠吠』を紹介し、おもしろかったと反応があった。「ゲリラに成功すると、誰かしら屈服する人が出る。その後の行動がやりやすくなる」と感じている。その後、カナザワ映画祭での上映当日は、【小林勇貴監督『孤高の遠吠』プレミア上映 富士宮市不良一同】と書かれた花輪を小林監督が自ら贈った。「たくさんのお客さんに来てほしかったので、初上映を盛り上げるために、列に並んでいる状態から、お客さんたちをざわつかせたかった。”不良一同から花を贈られている映画ってなんだ!?”と不意打ちを食らわせたかった」と打ち明ける。『孤高の遠吠』はこれがきっかけとなり、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016グランプリを受賞。その後、これが強烈に印象に残り都内で公開の際に当時の写真がTwitterに公開されたこともあった。「仕掛けを常に考え段取りして展開していくことをゲリラとしてやりたい」と考えている。

 

最新作『逆徒』の冒頭では、嘘の予告編『爆破人生』が上映される。小林監督は爆破三カ条として、導火線が下についているものを選ぶこと、天井を狙うこと、火災報知器に動じないことを挙げる。なお、花火の威力はレベルが分かれているため、説明を読んで段取りを組む必要がある。『逆徒』では、作中に乗用車を破壊するシーンがある。監督は、様々なシーンを検討し、最悪を想定した上で撮影に挑む必要がある。最悪を知っている人に話を聞き、怪我なく安全に撮影するよう徹した。

 

小林監督は「素材を持ち帰るまでがゲリラ」だと論じる。「素材を持ち帰ることが本当に大事。無茶苦茶なことをしたかったり、人を馬鹿にしたかったりするわけでない。おもしろい映画を撮るためには、そのシーンが必要だからゲリラを行う」と意図を明確にする。「俺達は撮ることではなく、作品を完成させることが目的である。場合によっては、逃げないといけない。やり始める段取り、やる時の段取り、逃げる段取りの三工程を作り込んでからゲリラに挑む。映像素材が一番大事であり、決して被害者を出したくない」と映画制作に対する姿勢を伺わせる。「ゲリラは、自分がやりたいことについて駄目だと言う人を出し抜く行為のことだ」と思っており「映画を撮りたいということに乗じてくれた人達と一緒に、駄目だと言う人を覆す」ことであり、反対する者を同調圧力で屈服させることではないと強調する。


最後に、小林監督はゲリラワークショップを開催した意図を語った。小林さんは当初、映画美学校に通う予定だった。黒沢清監督や高橋洋監督といったバイオレンスの神様と呼ばれる方が講師をやっている学校であったが、入学式でゲリラ撮影禁止と言われ、立腹。「ゲリラ撮影は、それでしか撮れない緊張感があり、その方法でしか撮れない映像が確実にある撮影技法の一つ。技の一つを学び舎である学校が封じる、そんなところで学ぶ必要はないことを発狂して、騒いで追い出され入学式で退学になった」と打ち明ける。その後、小林さんは高橋洋監督にお会いした際に打ち明けたところ、その気持ちはわかる、と言われた。「ゲリラ撮影を学校で教えてしまうと、学生たちは学校が責任をもってくれると思いがちになる。好き放題でき段取りが要らなくなってしまうと、ボロボロになってしまうので、大切な技法の一つでも教えられない。大好きな監督がそれで悔しい思いをしていることも含めて悔しい」と吐露する。「学びたいから学校に通っている学生が、学ぶことを放棄している。やりたいことを実行するには工夫が必要であり、試行錯誤できないか。それを放棄する人に対して悔しい思いがあった。ゲリラワークショップを開催し皆に伝えたい」と心情を語る。「やりたいことをやる時は、人や物事が邪魔をし気持ちが挫けてしまうが、それに対抗する術が必ずあるはずだ。ゲリラを通じてそれを知り、ワークショップを行いました」と伝えた。最後に、「映画は喧嘩祭り。喧嘩していって頂いたら嬉しい。宜しくお願いします」と述べ、感謝と共にゲリラワークショップは締め括られた。

 

小林勇貴監督作品「特襲上映」は9月8日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで開催。9月5日(火)は『孤高の遠吠』、9月6日(水)は『逆徒』『NIGHT SAFARI』、9月7日(木)は『孤高の遠吠』、9月8日(金)は『逆徒』『NIGHT SAFARI』を上映。なお、小林勇貴監督最新作『』が11月18日(土)より京阪神の映画館で公開予定、シアターセブンでも特典のポストカードが付いた前売り券が発売中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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