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家族の尊厳死をめぐる葛藤を描く映画『尊く厳かな死』シアターセブンで公開中!舞台挨拶開催!

2017年8月19日

8月12日(土)より大阪・十三のシアターセブンで、母親の尊厳死を受け入れるか否かで葛藤する家族を描いた映画『尊く厳かな死』が公開中。8月19日(土)には、出演のイワゴウサトシさんと中川駿監督を迎えて舞台挨拶が行われた。

 

映画『尊く厳かな死』は、母親の尊厳死を受け入れるか否かで葛藤を繰り広げる家族の姿を描いたヒューマンドラマ。ある日、転倒して頭を強打した母親がそのまま植物状態になってしまった直樹。妹の由佳、妻の綾子ととともに、突然の出来事に動揺を隠せずにいた直樹だったが、母が「尊厳死の宣言書」(リビングウィル)を作成し、尊厳死を望んでいたことを思い出す。直樹らは、母の尊厳死を受け入れるかどうかで苦悩する…

上映後にイワゴウサトシさんと中川駿監督が登壇。「本日は朝早く暑い中、お集まり頂きありがとうございます」と中川監督が感謝を伝え、舞台挨拶が始まった。

本作について、中川監督は「本作は僕の実体験を基に製作している作品。5年前ぐらいに祖父が転んで頭を打ってしまい、脳挫傷で植物状態になり意識が戻ることはないと診断をされた。そんななかで、祖父が尊厳死の宣言書(リビングウィル )のカードを作っていたので、それをどう受け止めるか家族の中で葛藤があった」と打ち明ける。リビングウィル のカードについては「祖父が予め作っていた時から、『ワシ、こういうの作ったから、なんかあったらよろしくな』と話を受けていた」と中川監督は話す。とはいえ「事前に聞いてはいたが『縁起でもない話はやめて』と軽く聞き流している我々がいた」と家族としての本音を表す。「祖父が実際にどういう気持ちで作っていたか。それは本心か、それとも残された者への気遣いか、全然聞いていなかった。カードの内容をそのまま受け止めていいのか葛藤があり、この経験を形にしたいと思い映画にしました」と中川さんは経緯を話す。中川監督は「僕の実体験を基に企画をつくり脚本が出来ていくなかで、キャスティングの段階になった時、イワゴウさんを初めて知り、出演して頂きたいとお願いした」と当時を振り返る。イワゴウさんは「テーマがおもしろいと思った。時々、尊厳死がニュースのホットな話題になる。それまでは、自分がそのような状況になったら延命処置はしないでください、と漠然と思っていた。脚本を読んだ段階で、自分の死が自分のものじゃないことに気づいた。自分の意思をちゃんと決めておかないといけない。今回、映画という形で描く意味はある」と思った。

 

中川監督は「自分の死が自分のものだけじゃないという思考は日本固有の文化らしい」と日本尊厳死協会主催のイベントに参加した中で発見したことを話す。「海外事情は全く違う。尊厳死ではなく安楽死として考えている。海外だと自分の安楽死を決めるにあたって家族に相談しない。家族に内緒にし事後報告にしていた」という事例を挙げる。「そんなケースは結構多くある。話すと止められるから言わない。死はその個人のものであるという考えが海外は強いようだ。日本は家族やつながりを大事にする国民性があるので、そうはいかない」と日本と外国の違いを語る。「実は、尊厳死自体への関心は日本が一番強い。世界各地に尊厳死協会はあるが、日本が会員数トップ。会員になってリビングウィルを残し、延命処置をしないでくれと言っている人数は日本が世界で一番多い。ただ蓋を開けてみると、尊厳死という形で最期を迎えられている人は、先進国の中では日本が圧倒的に少ない。本人が望んでいても、家族が許さない」と実情を伝える。イワゴウさんは「この映画のおかげで、少しだけ家族と尊厳死について話をした。やはり、縁起が悪いという感覚は否めず、テーブルを囲んでする話ではない。ふとした時に会話の流れで話す機会があれば自分の意思を伝えたい」と現在の心境を語る。

 

なお、8月20日(日)には中川監督とイワゴウさんに加え日本尊厳死協会副理事長の長尾和宏さんが登壇し、トークショーの開催を予定している。日本尊厳死協会は、自分の命の終え方を意思として残しておくことが家族にとっても本人にとっても重要だということを発信している団体である。中川監督は「団体の副理事長をしている長尾和宏さんでさえも、お母さんと尊厳死について話した際には『なんと縁起の悪い話をするんだ、私は死なない』と激怒された」と明かす。「副理事長でさえそんな状況なので、我々なら話せない。ましてや、死がリアルになってくる時や病気や怪我をしてしまった時に話せるわけでもない。身近に死がない時に話せば、縁起でもない話をするなと言われる。身近になった時は、さらに話せない」と、尊厳死は話しにくい題材だと本音を明かす。「なかなか話し合いにくい議題ではあるが、今日のお客さんには良い口実ができた。映画を観たことをきっかけに、私達だったらどうするかな、とご家族と自然に話せるのでは」と最後に提案し、舞台挨拶は締め括られた。

映画『尊く厳かな死』は、8月25日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで公開。8月20日(日)までは10:40~、8月21日(月)から8月25日(金)までは11:35~の上映、一般1,300円専門・大学生1,200円シニア1,100円中学生・高校生1,000円小学生以下700円シアターセブン会員1,000円となっている。なお、8月20日(日)にはイワゴウサトシさんと中川駿監督と日本尊厳死協会副理事長の長尾和宏さん によるトークショーが予定されている。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆